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2023/08/07
仮想通貨などで注目を集めてきたブロックチェーンですが、世界的にブロックチェーンの市場規模が拡大しています。
Fortune Business Insightsによると、世界のブロックチェーン市場規模は、2021年に46.7億ドルと評価され、2022年の71.8億ドルから2029年までには
1,638.3億ドルに成長すると予測されています。
なぜ、こんなにもブロックチェーン市場の規模が拡大しているのでしょうか?
本記事では、ブロックチェーン市場規模予測と市場規模拡大の理由、そして注目されているベトナムのブロックチェーン技術について解説します。
目次
● ブロックチェーンとは?● ブロックチェーンの市場規模予測▶️ 日本国内でみるブロックチェーン市場予測▶️ 世界でみるブロックチェーン市場予測● ブロックチェーン市場規模拡大の理由● ブロックチェーンの活用が期待されている分野▶️ 食品のトレーサビリティ▶️ 海外送金▶️ AI技術● ブロックチェーン技術が注目されているベトナム |
|ブロックチェーンとは?
ブロックチェーンとは、「取引履歴を暗号技術によって過去から1本の鎖のようにつなげ、正確な取引履歴を維持する技術」を指します。
ここでは、「取引データを適切に記録し、保存されたデータの集積(≒データベース)」としてイメージしてください。
ブロックチェーンの特徴は、データ管理手法に関する新しい形式やルールをもっていることです。
また、ブロックチェーンは中央に管理者を置かず、ネットワーク上の参加者同士で取引履歴を共有し、最初から最後まで取引履歴を正確に記録することで
お互いを監視した状態で取引が行われるため、透明性・正当性を高く維持できます。
データの改ざんが非常に困難なことやシステムダウンが起きないことなども特徴です。
ブロックチェーンは、「AI」「IoT」と並んで、DX分野で期待される有望技術の一つでもあります。
既存技術では解決できなかった課題を乗り越える新しい手段として、ビジネスのみならず、官公庁の取り組みにおいても広く注目を集めています。
ブロックチェーンについては、こちらの記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
|ブロックチェーンの市場規模予測
ここからは、ブロックチェーン市場規模について、日本国内と世界それぞれの視点から解説していきます。
|日本国内でみるブロックチェーン市場予測
ブロックチェーンの国内市場規模に関するマーケット予測は、経済産業省から発表されていることはご存知でしょうか?
経済産業省の『我が国経済社会の 情報化・サービス化に係る基盤整備 (ブロックチェーン技術を利用したサービスに関する国内外動向調査)
報告書概要資料』から紐解いていきます。
同資料では、大きく下図の5つのテーマでブロックチェーンの社会変革・ビジネスへの応用が進むとした上で、この5つの分野の合計値で将来的に、
国内67兆円の市場に影響を与えると予想されています。
※出展:経済産業省(上記資料)
これは、ブロックチェーンの潜在的可能性に対する期待を膨らませる一つの要因になった資料になります。
しかし、同資料は市場がまだ大きく形成されていない初期に発表されたことから、ブロックチェーン関連市場の内容となっており、ブロックチェーン
市場そのものの規模予測ではありません。
そこで、ブロックチェーンを活用したサービスの市場規模を予測しているのが、2022年に矢野経済研究所が発表した「ブロックチェーン活用サービス市場に関する調査を実施(2021年)」です。
この調査によると、2021年度では約783億円、2025年度には7,247億円6,000万円に達すると予測されています。
※引用:矢野経済研究所のデータを基に弊社が作成したグラフ
同社によると、2019年度までは、大手企業を中心にブロックチェーンの特性などを学んでいた最初期のフェーズであり、実際に実証実験の多くが
「お試し」の状況で、試行錯誤をしながらブロックチェーンに係る知見を吸収してきたと見解を述べています。
一方、今後の展望として、「フェーズ(段階)別では、実証実験が多いものの、2019年度以降、商用化に向けた効果検証フェーズや本格的な
商用化フェーズへと進む案件が増えていく」ことを踏まえ、さまざまな領域へと広がりをみせていくものとしています。
ブロックチェーンの活用として、以下の3つが牽引すると予測しています。
・トレーサビリティ
・認証
・NFT
トレーサビリティとは、「そのデータがいつ、どこで、だれによって作られた(取引された)のか」を明らかにする追跡可能な状態のことです。
この特性から、現在では、商流管理や物流管理をはじめ、多くの領域で流通経路における透明性の確保や最終ユーザーの特定など、応用範囲が急速に
広がってきています。
認証においては、マイナンバーカードとデジタルIDを紐づけた自治体の取組みが徐々に始まってきており、他の自治体への広がりが期待されています。
特に、ペーパーレス化への移行により、資格の証明や大学の卒業証明書などを電子化するなどの導入が近年ではみられます。
そして、NFTとは「Non-Fungible Token」を省略した語句で、「非代替性トークン」のことを指しています。
NFTは、ブロックチェーン上に存在するデジタルデータ単位で、“非代替性”の文字から推測できるように、デジタルデータに対して、唯一無二の
資産的価値を付与することができます。
NFTの活用については、2021年度からNFTの急速な普及に伴い、特にゲーム業界において大手ゲームソフト会社を筆頭に、既存コンテンツを活用した
NFTの提供などの取り組み事例が出てきています。
日本国内でもブロックチェーンの特性を活かし、幅広い業界・分野で導入がされており、今後も市場規模は大きくなることがうかがえます。
NFTについては、こちらの記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
|世界でみるブロックチェーン市場予測
では、世界のブロックチェーン市場はどのようになっているのでしょうか?
世界のブロックチェーン市場は、米国を中心に、技術的発展、市場規模ともに日本よりもはるかに進んでおり、すでに大手企業による大規模なブロック
チェーンプラットフォームをリリースするなどの動きがあります(Mearsk社とIBM社の共同による海運プラットフォーム「Trade Lens」など)。
世界市場のマーケット規模に対する統計の一つとして、Global Informationによる市場調査レポートがあります。
同社によると、世界のブロックチェーンの市場規模は、2022年の74億米ドルから、2027年には940億米ドルまで成長すると予測されています。
この驚異的な数字の根拠として、北米を中心とした市場における銀行・金融セクターでのマーケット維持を土台に、プライベートチェーンの台頭、
SEMs(中小企業部門)の高成長が市場に成長をもたらすとの見方をしています。
プライベートチェーンは、ユーザー権限などでセキュリティが確保された共有データベースまたは台帳の役割をもったブロックチェーンの種類です。
書き込み権限は単一の組織に一元管理され、読み取り権限は組織の使いやすさに基づいて制限できるため、企業間のユースケースに活用するという点で、
企業にとってより多くの機会を提供すると、同社では言及しています。
日本でも、プライベートブロックチェーンを活用し、企業間でのやりとりを行なっている企業は出てきています。
このように、日本と世界でのブロックチェーン市場規模はこれから大きくなっていくことがわかります。
仮想通貨のイメージが強いブロックチェーンですが、特性を活かすことで活用の幅が広がる技術のため、今後に期待です。
|ブロックチェーン市場規模拡大の理由
ブロックチェーン市場の規模が拡大した理由の1つが、COVIT-19の影響だと言われています。
COVIT-19のパンデミックにより、ほとんどの生産施設が閉鎖され、経済全体とデジタル技術への投資が混乱し、また、自宅で過ごす時間が増えたことで、
自宅で享受できるオンラインサービスの需要が高まりました。
その流れを汲み、企業もインターネットを経由して消費者にサービスを提供するようになり、ビジネスにおいては、テレワークが推進されたことで、
仕事でホームサーバーを利用する機会が増えました。
以上のように、新型コロナウイルスの流行を経て、プライベートやビジネスにおいても、スマートフォンやタブレットのような、モバイルデバイス、
インターネットが、いっそう普及するようになりました。
そして、モバイルデバイス、インターネットの普及でデジタル利用者が増加したことで、セキュリティとプライバシーの問題が発生します。
これらの問題に対して、ブロックチェーン技術による課題解決が求められるようになったことで、ブロックチェーン市場の規模が拡大したのです。
|ブロックチェーンの活用が期待されている分野
ブロックチェーンといえば、暗号資産(ビットコインや仮想通貨)を思い浮かべる方も多いでしょう。
ブロックチェーンは、「同じ情報を複数の当事者がリアルタイムに共有することで効率化が進む業務」や「経緯、履歴の信頼性を保ち、改ざんを防ぐ
必要がある業務」に適しています。
以下では、ブロックチェーンが活用されている事例をご紹介します。
|食品のトレーサビリティ
食品業界では、食の安全性を確保するために「トレーサビリティ(追跡可能性)」を高めることが求められています。
材料が「どこから調達され、どこで加工され、どのように運ばれて売られているか」を把握することで食品の安全性を高める動きです。
しかし、サプライチェーンをつなぐ関係者の数が多いほど、情報伝達が正常に行われず、トレーサビリティが確保しにくくなります。
そこでブロックチェーンを活用し、食品の信頼性をチェックする仕組みが登場しています。
|海外送金
海外送金は手数料が高いだけでなく、数日単位の時間を必要とするため、頻繁に送金を行う事業者やユーザーの負担となっていました。
これは、SWIFT(スイフト=国際銀行通信協会)と呼ばれる組織のインフラを使用していることが原因です。この仕組みは、送金データが複数の銀行を
バケツリレーのように伝達していくことで送金が実行されます。
一方、ブロックチェーンを利用した海外送金では、分散型台帳による自動的な承認処理で取引の正当性が担保されるため、数秒〜数十分程度の時間で
送金が完了し、手数料も非常に小さい額になります。
海外送金は、ブロックチェーンが注目される大きな理由のひとつになっています。
|AI技術
ブロックチェーンは、AI技術と組み合わせることで効果が高まり、さらに多くの分野へ活用ができます。
たとえば、ブロックチェーンの暗号技術をAIに活用することで、暗号を解読せずに暗号のまま扱うことが可能です。
暗号技術を活用することで、セキュリティの向上や専門的識のない企業でも扱いやすい技術となります。
また、ブロックチェーンは過去の取引データから時系列に記録していくため、AIに解読させた過程をブロックチェーンに記載することで、
AIの意志決定の検証を行うことも可能です。
|ブロックチェーン技術が注目されるベトナム
ブロックチェーンの活用分野が広がったことで、ブロックチェーン技術の需要も高まっています。
各IT企業はブロックチェーンの開発サービスを提供し始めており、ITに強いベトナムの企業も例外ではありません。
昨今、ベトナムのIT企業では、ブロックチェーンに集中して開発サービスを提供しています。
また、Statistaの調査結果によれば、ベトナムは世界で最も仮想通貨が普及している国の1つと結果が出ています。調査対象となったベトナム人の中で、
暗号通貨を使用または所有していると答えた人の割合は21%という結果であり、世界首位のナイジェリア(32%)に次ぐ数値の高さです。
※出展:Statista
日常生活にもブロックチェーンが根付いているベトナムは、ブロックチェーンエンジニアも多く、近年注目されているオフショア開発において、
需要が高い国でもあります。
このことから、現在、ベトナムのブロックチェーン技術には大きな期待が寄せられています。
実際に、海外からの投資によりベトナムのIT企業が大きく成功した事例もあります。
2021年、暗号資産で影響力を持つ世界の10人に選ばれた1人に、ベトナム人エンジニアのグエン・タイン・チュン氏がいます。
グエン・タイン・チュン氏がCEOを務めるベトナムのスタートアップ企業スカイメイビス(Sky Mavis)は、経営が厳しかった頃、同社が開発した
ブロックチェーンゲーム「Axie Infinity」を介して資金を確保しています。結果、現在は8,000人を超える従業員を擁する大企業となりました。
ブロックチェーン技術に期待が寄せられる一方で、ベトナムのブロックチェーン市場は課題も抱えています。
現時点でベトナムでは、支払い手段に関して、中央銀行の認可する方法以外は法的に認められていません。違反した際には高額の罰金が科されます。
規制さえ緩和されれば、ブロックチェーン市場において、ベトナムの地位はいっそう向上することでしょう。
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