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【ニューラルネットワークとは】基礎や仕組み、AIとの関連性を解説!

2024/06/24

ニューラルネットワーク(Neural Network)とは、脳の神経細胞(ニューロン)が持つ回路網を模した数理モデルで、AI(人工知能)技術に欠かせない重要な技術です。

 

今後さらなる発展と活用が予測されるAI技術を導入する上で、ニューラルネットワークの仕組みや役割について理解しておく必要があるでしょう。

 

そこで今回は、ニューラルネットワークの基礎から仕組み、種類、学習方法について解説し、活用事例もご紹介します。

 

 

 目次 

● ニューラルネットワークとは?

● ニューラルネットワークの仕組み

 ▶︎ 入力層・中間層(隠れ層)・出力層を構成

 ▶︎ ノード結合箇所の「重み」

 ▶︎ 入力と出力の反復学習

● ニューラルネットワークとAIの関連性

● ニューラルネットワークの主な学習手法

● ニューラルネットワークの種類

● ニューラルネットワークの活用事例

● まとめ

 

 

 

|ニューラルネットワークとは? 

ニューラルネットワーク(Neural Network)とは、脳の神経細胞(ニューロン)が持つ回路網を模した数理モデルです。脳内神経のネットワークで行われている情報処理の仕組みを、計算式に落とし込み、人工ニューロン(パーセプトロン)を使って数学的にモデル化したものを指します。

 

ニューラルネットワークはデータから学習できるため、音声や映像、制御システムにおけるデータ識別・分類やパターン認識に向いている点が特徴です。また、時系列予測やモデリングにも活用できるので、未来の予測といった場面でも採用されています。

 

 

|機械学習・深層学習(ディープラーニング)との違い 

ニューラルネットワークは、ディープラーニングの基礎技術として知られる機械学習の一種です。一般的なニューラルネットワークは、以下の3層で構成されています。

 

入力層

中間層(隠れ層)

出力層

 

 

 

下図のように3つの層からなるニューラルネットワークのうち、中間層を重ねて複数所有させたものをディープラーニングといいます。

 

ディープラーニング以前に用いられていた「パーセプトロン」という学習方法では、中間層がない、もしくは少なかったこともあり、単純な情報処理のみに留まっていましたが、ニューラルネットワークによる中間層を重ねたディープラーニングが確立されたことで、より複雑な情報処理が可能になったといえます。

 

 

|ニューラルネットワークを学ぶ上で知っておくべき関連ワード 

ニューラルネットワークに関して調べていると、必ずといっていいほど「パーセプトロン」と「マルチパーセプトロン」という単語が出てきます。ここからは、この2つについて解説します。

 

 

|パーセプトロン 

パーセプトロンとは、複数の入力データに対して、一つの値のみを出力するアルゴリズムです。2層で構成される「単純パーセプトロン」と3層以上で構成される「多層パーセプトロン」がありますが。現在は後者の多層パーセプトロンが主流となっています。1943年に誕生した世界初の神経細胞モデル「形式ニューロン」を用いて、1958年に誕生し、第一次AIブームを牽引しましたが、カバーできない部分も多く、人気も下火傾向となりました。

 

 

|マルチレイヤーパーセプトロン 

先述した、3層以上で構成される「多層パーセプトロン」のことです。入力層と出力層の間に「隠れ層」を入れ、多層構造にすることで「単純パーセプトロン」よりも膨大且つ複雑な処理が可能になりました。「単純パーセプトロン」の発展系として、第二次AIブームを牽引しました。

 

 

 

|ニューラルネットワークの仕組み 

ニューラルネットワークは、単純な仕組みである人工ニューロンを、複数組み合わせることで、より複雑な処理を実行できます。

ここからは、ニューラルネットワークの仕組みについて、以下3つの視点から解説します。

 

入力層・中間層(隠れ層)・出力層を構成

ノード結合箇所の「重み」

入力と出力の反復学習

 

 

|入力層・中間層(隠れ層)・出力層を構成 

ニューラルネットワークは、入力層・隠れ層・出力層の3層から構成されています。それぞれの特徴は、以下のとおりです。

 

入力層:分析の基となる情報・データの入力を行う

中間層(隠れ層):データ処理・分析などを行う

出力層:分析結果の抽出・判断などの情報発信を行う

 

 

ニューラルネットワークにおいて特に重視されるのが、入力データを対象にさまざまな分析・計算を実施する「中間層(隠れ層)」です。複数の中間層を持つことにより、複雑な問題への対処を可能にするのがニューラルネットワークの特徴です。

入力・中間・出力3つの層には、それぞれ多数のノード(上図の〇部分)があり、それぞれが結合することでネットワークを形成しています。

 

 

|ノード結合箇所の「重み」

ニューラルネットワークの特徴は、結び目や中心点の意味をもつ「ノード」間の結合部分(シナプス)一つひとつに、結合強度を示す「重み」があることです。

 

重みには、入力データの重要性をパラメータとして調整する役割があります。ノード間の結合がもつ重みは、学習過程で徐々に調整されていき、最適化することで、より正しい結果を出力することにつながります。

 

 

|入力と出力の反復学習 

ニューラルネットワークは、データの入力・出力をそれぞれ繰り返し、上述した重みを最適化することで学習を進めていきます。

重みの付け方の微調整などを経て、ニューラルネットワークモデルの精度を向上させ、最終的には出力層で最適な結果を出せるようになります。

 

 

 

|ニューラルネットワークとAIの関連性 

ニューラルネットワークは、AIや機械学習において重要な要素です。AIにはタスク特化型や対話型など多数の種類がありますが、すべてにニューラルネットワークが備わっています。ニューラルネットワークはAIや機械学習における頭脳であり、ニューラルネットワークなしにAI技術は機能しないと言っても過言ではないでしょう。

 

近年AIが急速に進化を遂げた要因として、ニューラルネットワークの進歩が挙げられます。機械に、人間の脳と同じ仕組みを持つニューラルネットワークを与えることで、進化を促しているのです。

 

 

 

|ニューラルネットワークの主な学習手法 

ここでは、ニューラルネットワークの学習手法に代表される以下3つについて解説します。

 

Dropout法

確率的勾配降下法(SGD)

誤差逆伝播法

 

それぞれについて見ていきましょう。

 

 

|Dropout法 

Dropout法とは、ニューラルネットワークの学習時に、一度学習したノードをランダムに無効化する学習方法を指します。

ランダムにノードを無効化することで過学習(訓練データをコンピュータが学習しすぎて未知データに対応できなくなってしまうこと)を防止し、モデルの汎化性能を向上させる方法です。

 

 

|確率的勾配降下法(SGD)

確率的勾配降下法(SGD)とは、ノード間にある重みを更新するための方法です。

ランダムに選出された、一部のデータのみで更新を行います。確率的勾配降下法(SGD)は計算効率が良いため、大規模なデータセットに対しても効果を発揮します。

 

 

|誤差逆伝播法 

誤差逆伝播法とは、出力層で生じた誤差を逆方向に伝播させることで、重みを更新する手法です。

実際に出力された値と正解とされる値の間に発生した誤差を活用し、ネットワーク全体を学習させます。これにより、モデルの精度をより効率的に向上させることができます。

 

 

 

|ニューラルネットワークの種類 

ニューラルネットワークには、主に以下の5種類があります。

 

ディープニューラルネットワーク(DNN)

畳み込みニューラルネットワーク(CNN)

再帰型ニューラルネットワーク(RNN)

自己符号化器(オートエンコーダ)

敵対的生成ネットワーク(GAN)

 

ここでは、ニューラルネットワークに分類されるそれぞれの特徴について解説します。

 

 

|ディープニューラルネットワーク(DNN)

ディープニューラルネットワーク(DNN)とは、後ほど解説するCNNやRNNなど、4層以上の多層ニューラルネットワークを備えている深層学習モデルです。

 

DNNは、中間層(隠れ層)が2層以上の多層になっています。そのため入力層、中間層、出力層の3層のニューラルネットワークに対し、多層化されているDNNはより複雑なデータを処理できます。DNNは、従来のニューラルネットワークにあった汎用性の低さなどの弱点を補い、多様なタスクに応用可能です。

 

 

|畳み込みニューラルネットワーク(CNN)

畳み込み層・プーリング層というレイヤーを有している畳み込みニューラルネットワーク(CNN)は、主に画像認識に特化しているのが特徴です。CNNは特徴量を自動で抽出し、効率的に学習することができます。

 

たとえば、CNNは画像から特徴を自動で抽出し、最適な意思決定することができるため、それができなかった従来の画像分析より優れているといえます。また、感情分析や文書分類から文章の自動生成、チャットボットの開発といった自然言語処理でもCNNが利用されています。

 

 

|再帰型ニューラルネットワーク(RNN)

再帰型ニューラルネットワーク(RNN)は、主に時系列データの処理に用いられ文章生成や機械翻訳・音声認識などで利用されています。

 

RNNは、前にある時系列データの中間層(隠れ層)を、たとえば、時系列データAの中間層をデータBの学習に使うというように、次の時系列データの学習に用いる構造になっています。

 

RNNにおける時系列データは、時間軸に沿って時系列データをそのまま入力でき、かつ時間情報が反映できるようになっています。そのため、文章や音声の意味を理解するうえで重要な、前後の時系列データ情報を処理できるのがRNNの特徴です。

 

 

|自己符号化器(オートエンコーダ)

入力されたデータを圧縮し、重要な特微量のみを残して復元するアルゴリズムを自己符号化器(オートエンコーダ)といいます。

 

入力層・出力層のデータが同じになるよう処理されるのが、オートエンコーダの特徴です。

異常検知システムやノイズ除去、次元削除において活躍します。ちなみに、複数のオートエンコーダを重ね合わせた構造をディープラーニングというため、どちらも同じ仕組みといえます。

 

 

|敵対的生成ネットワーク(GAN)

敵対的生成ネットワーク(GAN)とは、元となるデータ分布を推測し、それに基づいたデータを生成するためのモデルです。

 

データの真偽をはっきりさせる識別ネットワークの「Discriminator(ディスクリミネータ)」と、ディスクリミネータが受け取ったデータが本物なのか予測・出力する「Generator(ジェネレータ)」という生成ネットワークで構成されています。

 

存在しないデータの生成や特徴にあわせた変換が可能であり、画像認識などに多く用いられます。

 

 

 

|ニューラルネットワークの活用事例 

ニューラルネットワークはさまざまな分野に導入され、活用されています。代表的な活用例を紹介します。

 

 

|機械翻訳・自然言語処理 

Googleは2016年よりニューラルネットワークに基づいた機械翻訳を導入しています。

ニューラルネットワークによって、文章を単語一つひとつで翻訳するのではなく、一つの文章として翻訳できるようになり、文脈を考慮したより品質の高い翻訳が可能になりました。

また、翻訳後の文章も、日常生活で人間が使用する言語のような自然な文章で生成されます。

 

 

|車の自動運転と画像認識 

車の自動運転における画像認識でも、ニューラルネットワークが活用されています。

車載カメラに内蔵したニューラルネットワークにより、映像データの解析や障害物の検知、道路の認識がより早く行えるようになりました。

また最近では、複数のニューラルネットワークを活用し、自動運転の安全性をより高めるための開発が進められています。

 

 

|金融機関での株取引 

ニューラルネットワークは、金融機関における株価予測や、物件の価格設定にも用いられています。

たとえば株価の場合、特定の時刻や時間を基準にし、専用のニューラルネットワークを使って株価の上昇・下落を予測できるようになりました。また、物件の価格設定においては、ディープラーニングの技術を用いてAIが価格を推定しています。

株価の予測や物件の価格設定では、どちらも大量のデータを利用しています。ニューラルネットワークはこの大量のデータからパターンを見つけ出すことで、金融関連の様々な予測を行っています。

 

 

|インターネット上でのコメント監視 

インターネット上に投稿される、コメントの監視にもニューラルネットワークが活用されています。

従来のコメント管理は、人力で行う必要がありました。インターネット上には複雑な言い回しによる誹謗中傷なども多く、人力で監視・削除するには限界があります。

ニューラルネットワークを用いることで、インターネット上のコメントを自動で監視できるようになりました。コメントをフィルタリングできるようになったため、不適切な内容を自動で抽出することが可能です。

 

 

|顔認証 

顔認証機能にもニューラルネットワークの技術が用いられています。空港の入国ゲートや遊園地の入場ゲートなどで使われ、手続きがスムーズになりました。また、老化や化粧で顔に変化がある場合でも認識できるのも大きな特長といえます。

 

 

 

|まとめ 

ニューラルネットワークは、世界的に注目を集めているAIを理解するために重要な基本要素です。人間の脳を模範として作られたニューラルネットワークは、約70年に渡る歴史の中で大きく進化、変遷を遂げてきました。

 

ニューラルネットワークの適切な学習方法と活用技術を用いることで、AIのさらなる発展が期待できます。すでに画像認識や音声認識といった技術が日常的に使われており、今後より身近な存在へと変わっていくでしょう。AIシステムの開発や導入を検討する上で必須の知識といえるニューラルネットワークについて、正しく理解を深める必要があります。



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