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【AIについて学ぶ】AIの学習方法と学習の流れを徹底解説!

2023/07/11

現代、企業を含め社会的にDXへの取り組みが加速しています。

その中で、AI(人工知能)への期待や注目はChatGPTがリリースされて以降、さらに高まっています。

 

AIはテクノロジーの発展に切り離せない存在となり、企業でも業務や自社サービスに活用したいという声も多くあります。

 

本記事では、AIの学習方法と学習の流れ、AI学習の応用事例などについて詳しく解説していきます。

今後、AIを取り入れる際に把握しておきたい知識となりますので、ぜひ参考にしてください。

 

 目次 

● AI(人工知能)とは?

● AIが学習する方法は2種類

 ▶️ 機械学習とディープラーニングの違い

 ▶️ 機械学習

 ▶️ ディープラーニング

● 機械学習は3種類に分かれる

 1. 教師あり学習

 2. 教師なし学習

 3. 強化学習

● AI学習の流れ

 1. 計画

 2. 準備

 3. 学習

 4. 運用

● AI学習の応用事例

 ▶️ 自然言語処理の応用

 ▶️ コンピュータビジョンの応用

 ▶️ 医療診断の応用

 ▶️ 製造業や交通分野の応用

● AI開発にかかる期間

● まとめ

 

|AI(人工知能)とは? 

AIとは、「Artificial Intelligence」の略で、日本語では「人工知能」といいます。

 

AIの定義は厳密には定まっていませんが、一般的に、「学習」「認識」「判断」などを人間と同じように遂行できるシステムのことを指します。

 

コンピュータシステムに学習や推論の能力を与え、データからパターンを抽出し、問題を解決することができるとして、

近年ビジネスシーンなどでも活用されています。

 

AIで最も重視されるのが「学習」の分野です。

AIの学習方法と学習の流れを理解することは、AIの基本を押さえるために重要となります。

 

ここからは、AIの学習方法と学習の流れについて解説していきます。

 

|AIが学習する方法は2種類 

AIの学習方法と聞くと、「機械学習」「ディープラーニング」を思い浮かべる人がいるのではないでしょうか?

 

まずは、AIの学習方法を知る上で、よく混同されがちな、機械学習とディープラーニングの違いについて解説します。

 

|機械学習とディープラーニングの違い 

AIの学習する方法として「機械学習」があり、機械学習の中に「ディープラーニング」という学習手法があります。

 

ディープラーニングは、下図のように機械学習を細分化したイメージです。

ai-learning

 

それぞれの大きな違いとしては、以下のように「AIに学習をさせるのか(受動的)」と「AIが学習するのか(能動的)」という部分です。

 

機械学習:判定基準を人間が与えることによって、与えられた基準を元に学習を行う

ディープラーニング:自ら判定基準を学習し、自律的にどんどん学習を行う

 

以下では、機械学習とディープラーニングの学習方法について詳しく説明していきます。

 

|機械学習 

機械学習は、コンピュータにデータを与え、パターンやルールを学習させる手法です。

 

AIが物事を学習するための機能であり、AIの中核を作る作業となります。

人間が学ぶのと同じように、機械学習もデータを通じて新しい知識やパターンを獲得します。

 

具体的には、大量のデータを与えて、そのデータのパターンや関連性を見つけるようにします。

その後、新しいデータが与えられた時に、学習したパターンや関連性に基づいて予測や判断を行うことができます。

 

この機械学習の成果に基づいてAIは様々なことを「予測・判断」したり、認識や分析の精度を向上させたりしていくのです。

 

また、機械学習の効果は、データの質と量に大きく左右されます。AIとビッグデータがセットで語られる理由はここにあります。

 

|ディープラーニング 

ディープラーニングは、機械学習の効率と効果を向上させた学習方法です。(深層学習ともいいます)

 

ディープラーニングにおいては、人間の脳の神経回路を模した「ニューラルネットワーク」という仕組みが使われています。

 

ニューラルネットワークは、脳内神経のネットワークで行われている情報処理の仕組みを、計算式に落とし込み、人工ニューロンを使って

数学的にモデル化したものです。

 

簡単に説明すると、下図のように、学習データをインプットする「入力層」、データの解析処理(学習)を行う「中間層」、そして解析結果を

アウトプットする「出力層」で構成されています。

neural network

 

※重み:各ニューロンの入力に対して与えられる数値のこと。入力データはそれぞれのニューロンに対して重みという係数を掛けられ、

       その結果が次の層のニューロンに渡されます。

 

ディープラーニングは、中間層(学習)の部分を何層にもわたって積み重ねることで、データから複数の種類の特徴を解析・抽出し、

より精密な認識や分析を実現しました。

 

また、画像認識や音声認識、自然言語処理などのタスクに優れた成果を上げたり、AIの自律的な学習能力を向上させる効果もあるため、

現代の多くの応用分野において大きな進展をもたらしています。

 

ニューラルネットワークは、AIや機械学習における頭脳ともいえる存在です。

 

|機械学習は3種類に分かれる 

AIが期待したとおりの性能を発揮できるかどうかは、「学習の質」にかかっています。

 

AIの機械学習は、大きく分けると以下の3種類から選択できます。

 

 1. 教師あり学習 

教師あり学習とは、人間が教師となってAIに「質問」と「正解」を与えて学習させる手法です。

 

この手法では、入力データとそれに対応する正解ラベルのペアを用いて学習を行います。

 

たとえば、画像に写っている果物を見分けるAIの学習方法について考えてみましょう。

この場合、学習用の画像データに写っている果物の種類を、「りんご」、「葡萄」、「メロン」などのラベル(正解)をつけて示すことが必要です。

すると、AIは「これは葡萄の写真だ」というように、正解を知ることができます。

 

このようなデータを大量に用意して学習させると、AIは未知の画像についても正確に判別できるようになります。

 

「教師あり学習」をする場合は、入力データと正解ラベルのセットが十分にある必要があるため、とても大変かつ時間がかかる作業となります。

 

 2. 教師なし学習 

一方、教師なし学習は、AIに「正解」を与えずに学習させる手法です。

 

この手法では、データ自体の特徴や関係性を見つけることに焦点を当てます。

ラベル(正解)のないデータから有益な情報を引き出すための強力な手法となります。

 

教師なし学習の代表的な手法の1つは、クラスタリングです。

クラスタリングでは、似た特徴を持つデータをグループ化することで、データの隠れた構造を発見します。

たとえば、顧客の購買履歴データをクラスタリングすると、類似の購買パターンを持つグループが見つかるといったことです。

 

ただし、正解ラベルがないため、データのパターンや構造の解釈にも主観的な要素が入ってしまい、結果の解釈や評価が難しい場合があります。

 

そのため、データの前処理や特徴量の選択が重要な役割を果たし、実際のデータセットに対して適切な教師なし学習手法を選択することが求められます。

 

今話題のChatGPTに実装されている"GPT"「半教師学習」で学習をしています。

GPTの学習方法については、こちらの記事で詳しく解説しているのであわせてご覧ください。

 

 3. 強化学習 

強化学習は、AIが行った判断に対してスコアを与えることで学習させる手法です。

 

AIは高得点を目指して試行を繰り返し、より正しいといえる判断を覚えてきます。

「教師あり学習」と「教師なし学習」がデータを必要とするのに対し、データがない状態からでも学習を開始できるのが特徴です。

 

強化学習の用途としては、囲碁やオセロなどのゲーム向けAIや、ロボット開発などが挙げられます。

 

身近な例としては、掃除ロボットです。

実際に動き回りながら部屋の形を学習して、すみずみまで効率的に移動できるようになるのは、この強化学習を用いています。

 

このように、機械学習では目的別に「教師あり学習」「教師なし学習」「強化学習」の手法で学習をさせていきます

 

|AI学習の流れ 

ここまで、AIの学習方法について解説してきました。

次は、AIはどのような流れで学習をしていくのかを説明していきます。

 

下図は学習の一般的な流れを図で表したものです。図のように、AI学習の流れは大まかに4つのフェーズに分かれます。

Flow of AI learning

 

 1. 計画 

AI学習の最初のステップは、解決したい問題を明確に定義し、学習の目標を設定することです。

 

たとえば、画像分類や自然言語処理など、具体的なタスクを選びます。

 

 2. 準備 

次に、学習に必要なデータを収集します。

計画で、「どんなAIを作りたいのか」という目標が決まったら、そのために”どのようなデータが必要なのか“を検討します。

 

当たり前ですが、AIはデータがなければ学習をさせることはできません。

 

たとえば、「出荷する葡萄の形を判別する画像判定を行うサービス」をAIで作るとしましょう。

そのためには、出荷できる綺麗な形の葡萄の画像と出荷できない葡萄の形の画像をデータとして大量に用意する必要があります。

 

このようにデータは、問題に応じて適切な形式で用意する必要があります。

また、データを取得する際には、必要なデータの範囲や品質、法的な規制などに注意する必要があります。

 

そして、データの前処理として、データの異常値や外れ値を発見し、欠損値や異常値、ノイズなどを処理するなどデータをクリーニングします。

 

 3. 学習 

必要なデータを収集できたら、次は適切な学習方法やアルゴリズムを選択し、データを使ってモデルをトレーニングします

 

トレーニングする前に重要な作業として「データラングリング」があります。

これは、元のデータをクリーンで使いやすい形に整えることで、データ分析やモデルのトレーニングに適した状態にするために行います。

 

その後、データを拡張し、学習・評価用にデータを分類してから、やっとモデルのトレーニングにとりかかることができます。

 

モデルの学習は、データを与えてパラメータ*を調整し、目標とする予測結果を得ることを目指します。

*パラメータ:モデルの特徴や性質を表すために使用される数値や変数のことで、モデルの振る舞いや動作を制御する役割を持っています。

 

トレーニングが終了したら、モデルの性能を評価します。

評価指標や検証データを用いてモデルの精度や汎化性能を評価し、必要に応じて改善を行います。

 

これらを繰り返し、最終的に最適なモデルを選びます。

 

 4. 運用 

最終的に、学習したモデルを実際の環境にデプロイ(使えるようにすること)し、運用ができます

 

AIモデルを実際のシステムやアプリケーションに統合するプロセスやモデルのパフォーマンスのモニタリングなど、デプロイメント*に関する要素も

重要な一環です。*デプロイメント:モデルを実行可能な形式に変換すること。

 

このような流れでAIは学習を進めていきます。

AIに学習をさせるといっても、トレーニング前の準備が非常に重要であり、大変な作業となります。

 

特に、AIは学習させるデータの量と質によって性能が左右されます

そのため、第1フェーズの計画である「問題定義と目標の設定」はAI学習に関わりのないように思われがちですが、「どんなデータを収集するか」

検討する際に肝心な要素となります。

 

|AI学習の応用事例 

AIの学習方法と流れを一通り説明してきました。

 

では、AI学習はどのように応用されているのでしょうか?いくつか事例をご紹介します。

 

|自然言語処理の応用 

自然言語処理(NLP)は、人間の言語をコンピュータが理解し、処理する技術です。

 

AI学習を用いたNLPの応用事例としては、機械翻訳や質問応答システム、感情分析、テキスト生成などがあります。

 

たとえば、機械翻訳では、大量の文書データを学習し、言語の特徴やパターンを抽出して高精度の翻訳を実現します。

 

|コンピュータビジョンの応用 

コンピュータビジョンは、画像やビデオデータを解析するための技術です。

 

AI学習を用いたコンピュータビジョンの応用事例としては、画像認識、物体検出、顔認識、画像生成などがあります。

 

画像認識では、ディープラーニングを用いて大規模な画像データセットから特徴を学習し、画像内のオブジェクトを正確に識別することが可能です。

 

|医療診断の応用 

AI学習は、医療診断の分野でも幅広い応用があります。

 

医療画像の解析では、ディープラーニングを用いてX線やMRI画像を診断し、病変の検出や疾患の予測を行います。

また、病態予測や治療効果の予測など、臨床データの解析にもAI学習が活用されています。

 

弊社VNEXTでも、瞳孔反応にAIを応用することで、科学的なアプローチにより解析・数値化し、ストレスとメンタルチェックを可能にする

「瞳孔解析システム」を開発しました。

▶️ 瞳孔解析システムの開発実績に関してはこちら

 

|製造業や交通分野の応用 

AI学習は製造業や交通分野でも利用されています。

 

製造業では、品質管理や製造プロセスの最適化にAI学習を活用し、効率的な生産を実現します。

また、交通分野では、交通制御や運行管理にAI学習を応用して、交通の流れを最適化したり、自動運転技術の発展に貢献しています。

 

これらの応用事例は、AI学習の幅広い活用性を示しています。

AI学習の技術は、データの解析や予測の精度向上、効率化など多くの分野で革新をもたらしています。

このようにAI学習の応用は進化し続け、私たちの生活や産業に大きな影響を与えることが期待されています。

 

|AI開発にかかる期間 

AI開発を自社でする、または委託する場合に開発期間はどのくらいかかるのでしょうか?

 

開発規模にもよりますが、期間は3ヶ月〜1年程度はかかると把握しておきましょう。

 

自社が開発したいAIサービスが、既に同じモデルがあったり、API連携をさせて利用するだけの場合や既存モデルを少しチューニングする程度であれば、

短期間でも行えます。

 

しかし、最初から全く新しいデータをAIに学習させることから始める場合は、1年ないし2年はかかることもあります

 

弊社でも、AI開発の受託開発を行っていますが、お客様がイメージしている開発期間と実際にかかる開発期間にギャップがあり、

「なぜそんなに期間がかかるのか?」とご質問を頂戴することが多々あります。

 

AI学習の流れで解説したように、ゼロから開発するとなると学習するまでのプロセスが長いです。

もし、AI開発をする場合は学習の流れを把握した上で、リリースまでの計画を立てることをおすすめします。

 

|まとめ 

ここまで、AIの学習方法と学習の流れについて解説してきました。

 

AIの学習方法は、「機械学習」「ディープラーニング」という異なる手法があります。

双方の違いは学習方法とディープラーニングは機械学習を細分化したものということです。

 

機械学習:判定基準を人間が与えることによって、与えられた基準を元に学習を行う

ディープラーニング:自ら判定基準を学習し、自律的にどんどん学習を行う

 

ディープラーニングについての詳細はまたの機会にご紹介します!

 

AI学習の流れは、「計画」「準備」「学習」「運用」の4つのフェーズに大きく分かれます。

「どのようなAIを作りたいのか」という目標を明確にすることが最初の一歩となり、データの品質や量、適切なモデルの選択、ハイパーパラメータの調整、モデルの評価と改善などが重要なポイントとなります。

 

AI学習の分野は急速に進歩しており、未来への可能性は広がっています。

自分の興味や関心のある領域においてAIの知識を深めていくことで、新たな発見や創造的な解決策を生み出すことができるでしょう。



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