VNEXTの会社紹介資料
2023/11/20
「AIの仕組みを説明して」と言われたら、多くの人はこのようなイメージをするのではないでしょうか?
「AIにデータを学習させる」
「学習データを基に予測・推測をする」
「特定のタスクの処理をする」
大まかには上記の流れですが、「AIに学習をさせる」部分の学習方法では”機械学習”や”ディープラーニング”という言葉を思い浮かべると思います。
本記事では、ディープラーニングについての基礎知識と仕組み、機械学習との違い、活用事例などをわかりやすく解説していきます。
目次
|ディープラーニングとは?
ディープラーニングとは、AIの機械学習の方法の1つで、深層学習とも呼びます。
一言で表現すると「機械学習の効率と効果を向上させた学習方法」です。
ディープラーニングでは、データの背景にあるルールやパターンを学習するために、多層的(ディープ)な構造で考えます。
一般的なデータ分析は、入力データ(インプット)と出力データ(アウトプット)の関係を直接分析しますが、ディープラーニングは「中間層」と
呼ばれる構造を設け、さらに多層化することで、データの背景にあるルールやパターンを考えることができます。
他の学習方法よりデータ分析のための階層が多い結果、複雑な判断や細かな処理ができるようになることが特徴です。
|機械学習との違い
機械学習とは、AIにおける“学習”のことを指します。
人間が学習するように「機械自身が学習する」という意味が込められています。
機械学習はAIを支える技術の1つであり、ディープラーニングは機械学習の手法の1つです。
位置付けとしては、「AI > 機械学習 > ディープラーニング」となります。
機械学習とディープラーニングの大きな違いとしては、以下のように「AIに学習をさせるのか(受動的)」と「AIが学習するのか(能動的)」という
部分です。
機械学習:判定基準を人間が与えることによって、与えられた基準を元に学習を行う
ディープラーニング:自ら判定基準を学習し、自律的にどんどん学習を行う
次は、ディープラーニングの仕組みについてみていきましょう。
|ディープラーニングの仕組み
ディープラーニングのディープ(深い)とは、情報処理をする階層が多い(=深い)という意味です。
ディープラーニングにおいては、人間の脳の神経回路を模した「ニューラルネットワーク」という仕組みが使われています。
ニューラルネットワークは、脳内神経のネットワークで行われている情報処理の仕組みを、計算式に落とし込み、人工ニューロンを使って数学的に
モデル化したものです。
簡単に説明すると、下図のように、学習データをインプットする「入力層」、データの分析処理(学習)を行う「中間層」、そして分析結果をアウト
プットする「出力層」で構成されています。
「入力層」「中間層」「出力層」の各役割は以下のとおりです。
上記のとおり、ニューラルネットワークでは階層構造の分析ルートを持っており、
・中間層の数を増やすことができる
・中間層の中で特に重視する条件など、重みを設定できる
ことが特徴的な仕組みになっています。
|ディープラーニングの代表的なアルゴリズム
ディープランニングの手法のうち、代表的なものを2つご紹介します。
|CNN(畳み込みニューラルネットワーク)
CNN(Convolutional Neural Network)は、主に画像認識や画像分類に用いられるニューラルネットワークの一種です。
「畳み込み層」と「プーリング層」という特殊な層を持ち、画像処理に特化した構造を持っています。
・畳み込み層:画像の特徴を抽出する
・プーリング層:抽出した特徴を分析する
CNNは、画像に対する高いパターン認識能力があり、素早く識別できることが特徴です。
また、膨大なデータセットから自動的に特徴を抽出できることから、画像分類やセグメンテーション、物体検出などのタスクに利用されます。
|RNN(再帰型ニューラルネットワーク)
RNN(Recurrent Neural Network)は、ニューラルネットワークの一種であり、時系列データを扱うことができる手法です。
RNNは、各時刻での入力データに対して過去の情報を保持し、その情報を次の時刻に渡せます。これにより、時系列データに含まれる時間的な
パターンが学習可能です。
これは、自然言語処理や音声認識、音楽生成、動画解析など、時系列データを扱うタスクに向いています。
|ディープラーニングの活用事例
ディープラーニングにより、従来ではデジタル化するのが難しかった非構造化データ(画像・自然言語・音など)をAIが学習できるようになりました。
現在では、さまざまな分野でディープラーニングが活用されています。以下ではその活用例をご紹介します。
|自然言語処理(NLP)
自然言語処理(NLP)とは、日常的なコミュニケーションで使われる書き言葉や話し言葉をコンピューターに理解させる技術のことです。
ディープラーニングを応用することで、自然言語処理(NLP)は次のように進化しています。
◆ 自然言語生成
・ディープラーニングによる自然言語生成により、文章や対話が自動生成される
・文章作成やチャットボットの開発にも活用される
◆ 機会翻訳
・ディープラーニングを使用した機械翻訳は、高度な翻訳精度を実現可能にする
・多言語コミュニケーションを支援する
◆ 感情分析
・ディープラーニングを用いた感情分析では、文章や発言の感情や意図を正確に判定する
・これにより、レビューやソーシャルメディアの分析が可能になる
|画像認識
画像認識は、画像から物体やパターン、属性を自動的に抽出し、分類する技術です。
ディープラーニングを応用した画像認識では、CNNを用いて画像内の特徴を自動抽出し、高度な分類が可能です。
大量の画像データを学習に用いることで、物体認識や顔認識、手書き文字認識などのさまざまな用途での利用が期待されています。
身近な例としては、iPhoneの顔認証、Facebookのタグ付けなどがあります。
|音声認識
音声認識は、人間の話す声認識する技術で、スマホアプリやビジネス環境で広く使用されています。
ディープラーニングを活用した音声認識は、高い認識精度と自然な言語処理を実現しました。
たとえば、SiriやAlexaの音声入力、音声議事録のテキスト化などが挙げられます。
|異常検知
異常検知は、正常なデータやパターンから外れた異常なものを自動的に検出する技術です。
セキュリティ監視や設備管理、品質管理などの領域で重要な役割を担っています。
日常では、クレジットカードの不正利用の検知などに使われています。
|シミュレーション
精度の高いシミュレーションも、ディープラーニングの得意分野です。
他の機械学習に比べ、より多くのデータをより複雑な条件で分析できるディープラーニングでは、複数の要素に優先順位を付けながら判断すると
いった、予測をすることも可能です。
たとえば、以下が挙げられます。
・レコメンド機能(おすすめ表示)
・需要予測
・株価予測
・危険予測(自動運転の異常探知)
|企業のディープラーニング活用事例
次は、企業でディープラーニングを活用している事例をみてみましょう。
|花王株式会社
花王株式会社では、肌状態予測システムにディープラーニングを活用しています。
油取りフィルムで人の皮脂を採取して、1人当たり約13,000種類のRNA情報を測定します。
皮脂のRNAをモニタリングすることで、肌内部の情報を知ることや、将来の肌ダメージのリスクの説明、遺伝情報をもとに美容アドバイスやスキンケアの
アドバイスの実現が可能になりました。
|楽天グループ株式会社
楽天グループ株式会社では、ストリーミング動画に自動翻訳システムを導入しています。
動画に表示される字幕を、ディープラーニング技術で最大35カ国語に翻訳するシステムです。
実際にテレビドラマ・映画配信で導入して、コンテンツの平均視聴時間が約2.5倍に増えるなどの成果を上げています。
|Yahoo!知恵袋
Yahoo!知恵袋は、ユーザーが閲覧した質問の履歴をもとにAIがおすすめの質問を回答者に表示するリコメンド機能を導入しました。
ユーザーが求めている回答を的確に提示することで、UX(ユーザー体験)の向上を目的としています。
具体的には、ディープラーニング技術を用いた推薦アルゴリズムを導入し、ユーザーの閲覧履歴や過去の回答履歴などから関心のある質問を自動的に
選択し、回答者に提供します。
これにより、ユーザーはより的確な回答を得られるようになりました。
|ディープラーニングの導入方法
では、ディープラーニングを導入するためにはどのような工程が必要なのでしょうか?
基本的な流れは以下の5つのステップとなります。
Step1:ディープラーニングで解決したい課題の特定
Step2:データの収集および整理
Step3:モデルの選定とトレーニング
Step4:モデルの評価とチューニング
Step5:システムの構築および運用
Step1:ディープラーニングで解決したい課題の特定
まずは、自社が抱えている問題を洗い出し、ディープラーニングで解決できるかどうか検討します。
その中で、ディープラーニングを活用することで問題解決や達成したい目的が図れそうなものがあれば、ディープラーニングの導入を検討すると
いいでしょう。
Step2:データの収集および整理
ディープラーニングは、大量のデータを学ばないと有効的に活用できません。
そのため、ディープラーニングに学ばせたいデータの収集や整理をして、まとめることが重要となります。データは、品質がよくバリエーションに
富んだものを用意します。
Step3:モデルの選定とトレーニング
ディープラーニングにはさまざまなモデルがあります。
自社の抱えている問題が、どのモデルを利用すると効率よく解決できるか選定しましょう。
モデルを選定した後は、実用的に利用できるようになるまでトレーニングを実施します。
トレーニングには時間がかかりますが、品質がよいデータを学ばせることで精度の高い検知や予測ができるようになります。
Step4:モデルの評価とチューニング
トレーニングが終わったら、モデルの評価をします。
評価の結果、予想していたものと違う場合はチューニングを実施し、精度を向上させていきます。
Step5:システムの構築および運用
モデルの評価とチューニングによリ、良好な結果が得られるようになったら、いよいよシステム構築フェーズに入ります。
システムがリリースされ、運用を開始した後も定期的にモデルを評価し、求める結果と異なる場合はチューニングを繰り返していきます。
そうすることで、自社の目的に合った運用が可能になります。
以上が一般的な流れとなります。抱える課題は企業によって異なるため、導入手順が上記とは異なる場合もあります。
自社のみでディープラーニングを導入するのは、リソースの確保から手間も時間もかかります。
そのため、まずはAIコンサルタントなどのサポートを受け、どのような業務にディープラーニングを利用できるか把握するといいでしょう。
|まとめ
ディープラーニングは、機械学習の1つの手法であり、多層のニューラルネットワークによって機能する「モデル」を活用することで、より複雑な予測や
検知が可能になります。
AIを支える技術として期待されている一方で、「大量のデータ学習が必要になる」「ブラックボックス化するリスクがある」などの問題も抱えています。
これらを自社のみで実施するのは相当な知識と技術が必要になるため、AI開発会社などのサポートを受けるといいでしょう。
弊社VNEXTでは、AI活用のコンサルタントから開発までを一気通貫でサポートしています。
ディープラーニングを導入してみたい、AI活用を検討されている方は、まずはお気軽にご相談ください!
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