VNEXTの会社紹介資料
2024/01/15
近年、サービス開発の現場では「API」というキーワードが頻繁に登場しています。
特にWEBに関わっていると、この「API」という言葉を聞くことがあるのではないでしょうか?
また、開発現場などでエンジニア同士の会話に耳を傾けていると、以下のような会話は頻繁に登場します。
「それってAPIで繋げないの?」
しかし、IT業界に縁もゆかりもない人にとっては「APIって何?」となるのではないでしょうか?
本記事では、APIの基礎知識や仕組み、APIの活用事例を紹介しながら詳しく解説していきます。
目次
|APIとは?
APIとは「Application Programming Interface」の略語で、「アプリケーションをプログラミングするためのインターフェース」という意味です。
APIの3つの単語には、下記の意味があります。
・アプリケーション:パソコンやスマホの中で動くソフトのこと
・プログラミング:プログラミング言語を利用して、パソコンやスマホに実行させる指示を出すこと
・インターフェース:IT分野においては「何か」と「何か」を繋ぐもの
APIでは、この「何か」と「何か」が「アプリケーションやソフトウェア」と「プログラム」を指しています。
つまり、”アプリケーションやソフトウェア同士が情報をやり取りする際に使用されるプログラミング上の窓口” と理解しておくといいでしょう。
APIを利用すれば、異なるソフトウェアやプログラムを連携させられるようになります。
|API連携とは
いざ、開発プロジェクトを進めるとなると、よく聞くのが「API連携」という言葉です。
API連携とは、外部のアプリケーションやシステムを、APIを使ってデータ連携をさせることで利用できる機能を拡張することです。
たとえば、SNS分野でもAPI連携がされています。
API連携により、さまざまなWebサイトにログインする際にSNSのアカウントを利用できます。
たとえば、Instagramで投稿する内容を同時にFacebookに投稿できる機能も、API連携により実現しています。
|APIの仕組み
APIの基本的なプロセスは「リクエスト(要求)」と「レスポンス(応答)」で構成されます。
リクエストをするのがAPI利用者で、レスポンスをするのがAPIの提供者です。
最初に、API利用者が、事前に定められた形式に従って使いたい機能や情報をまとめて「リクエスト」します。
それに対して、API提供者側はリクエストを受け取ると、送信された条件を処理して「レスポンス」を返します。
たとえば、ECサイトでユーザーがクレジットカードを用いて決済する機能でAPIを用いた場合、ECサイト側でクレジットカードの決済機能を開発する必要はありません。
クレジットカード運営会社が用意しているAPIに対してカード番号や氏名といった情報を含めリクエストすると、決済の可否を表すレスポンスが返ってきます。
そのため、ECサイトで独自にカード情報を管理したり、情報漏洩を防ぐためにセキュリティを充実させたりする必要がなく、ユーザー側の視点では手軽に安全な買い物を実現できます。
|APIの種類と提供方法
APIにはさまざまな種類が存在し、また、APIの提供方法も異なります。
次は、APIの種類とAPIの提供方法についてご紹介します。
|APIの種類
APIには、主に以下の種類が存在し、API提供者も異なります。
前述のECサイトに使われるようなAPIは「Web API」と呼ばれるもので、いわゆる「HTTP/HTTPS」の通信方式を使ってインターネット経由でリクエスト/レスポンスのやり取りが行われる方式です。
基本的にブラウザでできることはWeb APIにもできることがほとんどで、「必要な情報だけをもらいたい」といった用途にも使われます。
そのほかにも、WindowsやAndroidのようなOSが提供する「ネイティブAPI」があります。これはOSが持っている機能を、他のアプリケーションでも呼び出すことができるAPIです。
さらに、JavaやC++のようなプログラミング言語が提供する「ライブラリAPI」や「ランタイムAPI」があり、プログラミング言語が持つ能力を最大限発揮できるような環境を整えています。
また、データベースが提供する「データベースAPI」では、データベース内部のデータを効率的に扱えるようなAPIを提供しています。
|APIの提供方法
APIの代表的な提供方法は、以下の4つです。
ー Open API
ー パートナーAPI
ー プライベートAPI
ー コンポジットAPI
では、それぞれの提供方法について詳しく解説していきます。
|Open API
Open APIは、多くの開発者やユーザーが利用できるように公開されているものです。
最小限のセキュリティ対策に留められていて、登録なしで利用できるものも存在します。
また、簡単な登録作業を済ませてから利用するものも存在します。
Open APIを利用すれば、情報提供側は幅広い人や企業に情報を利用してもらうことが可能です。
一方、開発側はAPIを利用するだけで情報の取得が可能となり、スムーズな実装ができます。
|パートナーAPI
パートナーAPIは、パートナー企業や協力組織が使用するAPIです。
上記のOpen APIは幅広く情報が提供されていましたが、パートナーAPIはある程度、絞られます。
基本的には事前に登録しているユーザーしかAPIを利用できません。
利用できるユーザーが限られているため、パートナーAPIには認証機能が設けられています。
その認証機能をクリアできるシステムだけが情報を収集して利用できます。
|プライベートAPI
プライベートAPIは、特定の開発者や組織内などプライベートな空間で利用されるAPIです。
外部に公開されているものではない点が、上記で説明したAPIとは性質が大きく異なります。
プライベートAPIの種類は多岐にわたります。
たとえば、部門間のデータ連携などが考えられ、従業員情報のように組織内で多用するデータをAPIで提供します。
組織内でのみ利用するため、利用にあたってはその組織に属していることの証明が求められます。
|コンポジットAPI
コンポジットAPIとは、1つのAPI連携で複数のWebアプリケーションや他のAPIにアクセスを可能にするAPIです。
基本的にAPIは1つのアプリケーションに対応しているため、コンポジットAPIは例外的な仕組みだといえます。
同時に多くの情報を収集できるため、開発側は負担を軽減できます。本来は複数のAPIを利用する必要があっても、コンポジットAPIに集約できます。
ただし、コンポジットAPIはAPIを提供する側に負担がかかるため、複雑な実装が必要となり、コンポジットAPIが提供されていないケースも多々あります。
|APIのメリット
APIを利用して機能を拡張することは、サービス開発する上で大きなメリットがあります。
次は、APIを使う代表的なメリットを3つ紹介します。
|最新のデータを簡単に取得できる
APIを使えば、それぞれのサービスの最新情報をサービス提供側が毎回更新しなくても取得・利用することができます。
最新のデータをいち早くシステムに反映したい場合にAPIが役立ちます。
また、データが整理されて提供されているため、処理をスムーズに進められることもメリットです。
APIは「欲しい情報だけ」を提供してくれる仕組みです。
これにより実装すべき処理が減るため、最新情報の収集などスムーズな処理が求められる実装に役立ちます。
|開発の効率化
APIによって、実装済みの機能を活用することにより開発効率が向上します。
たとえば、何かの機能を自社でゼロから開発する場合、仕様の決定だけでもさまざまなデータ収集が必要になります。
また、作りたい機能が複雑な処理を必要とする場合、開発工数が大きくなるため、その分だけ機能実装が遅れてしまうことにもなるでしょう。
APIを活用すれば、サービス提供事業者側が用意している機能をそのまま利用できますし、収集データも常に最新のものを利用できるため、開発を効率的に進められるのです。
開発スピードを速められれば、他の機能の開発にリソースを割り振ることも可能です。
結果としてシステム全体の開発効率が高まり、コスト削減につながるだけでなく、開発の品質向上も期待できます。
|セキュリティの向上
API連携を利用することで、セキュリティ面の向上にもつながります。
たとえば、利用者の会員情報などを管理する場合、自社で独自に登録画面を作成するとなると、セキュリティを含めた機能についても一から構築しなくてはなりません。
しかし、GoogleやFacebookといった世界基準の非常に高いセキュリティ対策を行っているAPIと連携すれば、会員情報はそれらのサービスのセキュリティレベルによって担保されます。
独自に個人情報を管理するより、高いセキュリティを保つことが可能となります。
自社でセキュリティレベルの高い会員登録システムを入れるよりも、既にあるセキュリティレベルの高い会員システムを導入する方がユーザーも安心です。
また、ユーザー側には新たに会員登録をしなくてもよいという大きなメリットがあり、より多くの人に使ってもらえる、というメリットが提供側にもあります。
|APIのデメリット
上記ではAPI利用のメリットをご紹介しましたが、APIにはデメリットも存在します。
主なデメリットを3つ挙げて、解説していきます。
|APIの提供元に依存する
APIのデメリットの1つに、APIの提供側に依存するという側面があります。
API連携は、連携先のサービスに仕様変更があった場合、変更に合わせてアプリ・コンテンツの修正が必要になります。
また、APIの提供側が、何らかの理由でサービスの提供を停止したりすると、それを使用している自社のサービスにも影響を及ぼすため、サービスが提供できなくなってしまう恐れがあります。
|トラブルによる不具合の発生
サービス提供事業者側の設備トラブルやネットワークトラブルなどの不具合によって、APIの機能停止が発生する可能性もあります。
自社の設備に異常がなくても、API機能に異常がある場合は自社サービスにも不具合が発生してしまいます。
そのため、定期的にAPIの仕様変更がないか定期的にチェックを行い、影響がありそうな場合は速やかに改修しましょう。
|利用に応じてコストがかかる
APIの多くは無償で提供されているものの、課金的に費用を課すものもあります。
従量課金制のAPIを利用する際に、誤って膨大な回数のリクエストを送付してしまい多額の利用料金を請求される、リクエスト回数の制限があるAPIの上限に達してしまいそのAPIを利用できなくなるなどの問題が発生する可能性があります。
また、APIにコストがかかる場合とそうでない場合とでは、自社が提供するサービスの利益率にも影響を及ぼします。
|APIの使い方
続いては、APIを利用するまでの代表的な手続きの流れについてします。
詳細な利用方法はサービスごとに異なるため、利用したいAPIが決まったらきちんと調べておきましょう。
|Step.1:APIを提供しているサービスに登録する
まずは、APIの提供会社を選択し、サービスに登録することから始めます。
例として、Web APIのサイトのGoogle APIサービス登録手順をご紹介します。
- Web API提供会社の選択(例:Google)
- Web APIサイトアカウント登録(例:Googleアカウント作成)
- Web APIサイト(例:Google Cloudプラットフォーム)にアクセスする
- プロジェクトを作成し、使用するAPIを指定する
あくまで、Google APIの手順なので、他のAPIサービス登録とは手順が異なるので注意しましょう。
|APIキーとシークレットを取得する
サービスに登録したら、「APIキー」と「シークレット」が発行されます。
APIキーは、要求ごとにランダムに生成された文字列です。APIキーと受取側の両方が、有効な場合にサービスが使えます。
シークレットは、APIキーのパスワードのようなものです。APIキーとシークレットは、第三者に漏洩しないよう管理しましょう。
|実装
自社サービスで利用しやすいよう、API連携用に使われる固定情報を設定します。
設定が完了したら、いよいよAPIと連携した機能の実装を行います。
使い方のドキュメントにしたがって、利用要求を出しましょう。送信内容が正しければ、サービス側で処理した結果を受け取れます。
APIを活用するためには、プログラミング言語の知識をある程度理解しておく必要があります。
また、セキュリティ管理の設定方法も確認し、セキュリティ対策しておくことも大切です。
|APIの活用事例
インターネット上には著名なサービスのAPIが数多く公開されており、多くの開発者が利用できるようになっています。
最後に、国内のサービス開発でよく利用されている、代表的なWeb APIについて紹介します。
|Google API
検索サービスで有名なGoogleでは、多種多様な多くのAPIを公開しています。
◆ Google MAP API
Google MAP APIは、飲食店や美容室のホームページなどで頻繁に活用されています。
店舗の住所情報を基に、Googleが提供する地図サービス「Google MAP」の画面を自社のホームページ上に表示できます。
◆ Translation API
Translation APIは、翻訳機能を提供するAPIです。
翻訳したいサイトのHTMLを送るだけで、翻訳結果をレスポンスとして返してくれるため、企業ホームページを多言語化したいケースにおいて人気があります。
その他にも、Googleスプレッドシートと連携して様々な操作をすることができる「Google Sheets API」や、近年注目されている機械学習を簡単に行えるようにする「Google Cloud Machine Learning」など、Webサービスが提供するさまざまな機能を簡単に実現するためのAPIを利用できます。
|Twitter API
2023年2月に、X(旧Twitter)が「Twitter API」の有料化を発表し、業界内外で大きな話題となりました。
このAPIは、外部アプリケーションからX(旧Twitter)への投稿、投稿の検索、ダイレクトメッセージの送信など、多岐にわたる機能を提供しており、多くの企業がマーケティング活動の一環として活用しています。
有料化の背景として、botを利用した詐欺行為や情報操作などの悪質な行為の増加がありました。
これらの悪用を排除するための措置として、X(旧Twitter)はAPIの有料化を決定したのです。
|Amazon API
大手ECサイトのAmazonでは、自社のサービスを便利に活用するためのAPIを提供しています。
このAPIを利用することで、Amazonに掲載されている商品の情報を自社サービス内で利用でき、以下の点が可能になります。
・商品の最新情報を表示する
・店舗運営者向けに、1日当たりの売上情報を開示する
・商品の在庫管理や登録を行う
Amazon以外にも同様のAPIを提供しているECサイトが増えてきたことから、複数のECサイト間で在庫情報や売上、顧客の購入情報等を一元的に管理したりするなど、ECサイトの管理に便利な機能の開発が進められています。
|まとめ
APIは、「アプリケーションやソフトウェア同士が情報をやり取りする際に、使用されるプログラミング上の窓口」 です。
APIを使用すれば、異なるソフトウェアやプログラムを連携させられるようになり、スムーズかつ正確に情報を取得できるようになります。
API活用により、最新情報をスムーズに取得、開発を効率化しコスト削減、セキュリティの向上などといった、さまざまなメリットを享受できます。
しかし、メンテナンスや提供側のサービス終了など、API提供者側の都合に依存する部分もあるため、メリットとデメリットを充分に考慮した上で自社に取り入れる必要があります。
近年は、多種多様なAPIが続々と公開されているため、APIの基礎をきちんと理解し、自社のサービス開発に合ったAPIを活用してみてはいかがでしょうか。