VNEXTの会社紹介資料
2023/09/11
近年、Webサーバやストレージ、データサービスなどの機能において、クラウドサービスを活用する企業が増えています。
その代表的なクラウドサービスが、Amazonが提供する「AWS」です。
最近では、物理サーバーを設置するよりも導入コストが低く、高いセキュリティの観点から、幅広い業界で企業の規模を問わずAWSを採用しています。
しかし、実際に利用したことのない人にとっては、AWSがどのようなものなのかイメージするのは難しいものです。
本記事では、AWSの基礎知識からAWSで何ができるのかなどを初心者にもわかりやすく解説していきます。
目次
|AWSとは?
AWSとは、Amazon Web Serviceの略で、Amazonが提供している200以上のクラウドコンピューティングサービスのことです。
サーバやデータベース、ストレージなどのサービスがクラウド上で提供されており、ユーザーは必要なサービスを個別に利用できます。
AWSは当初、Amazonが自社のサービスを提供するために構築したシステムで、そのノウハウを活用して、2006年に公開されました。
AWSとは、クラウドコンピューティングを使ったサービスと紹介しましたが、クラウドコンピューティングとは何かがわからないと、
AWSとはどんなサービスかも理解できません。
次は、クラウドコンピューティングについて解説します。
|クラウドコンピューティングについて
クラウドコンピューティングは、クラウド環境(インターネット環境)でコンピューターを使った様々なサービス(サーバー、ストレージ、
ネットワーク、データベース、ソフトウェアなど)を利用することです。
従来、システム構築には物理サーバーやネットワークなど、様々なものを準備する必要がありました。
そのため、莫大な初期コストが発生したり、システムが利用可能になるまで時間がかかるといった課題が顕在化していました。
しかし、クラウドコンピューティングを活用することで、これらをすべてインターネット経由で提供することが可能になったのです。
つまり、1台のPCとインターネット接続環境さえあれば、サーバーや大容量のストレージ、高速なデータベースなどを必要な分だけ利用できるわけです。
クラウドコンピューティングの技術によって企業は様々なメリットを享受することができるため、近年では自社にサーバや機器を設置せずに、
クラウドサービスを利用する企業が増えています。
|パブリッククラウドとプライベートクラウド
クラウドコンピューティングには、大きく分けて「パブリッククラウド」と「プライベートクラウド」の2種類が存在します。
以下では、それぞれの違いと特徴を解説します。
◆ パブリッククラウド
パブリッククラウドとは、クラウドサービス提供者が構築した環境を他の利用者と共同利用するクラウドサービスのことです。
AWSは、このパブリッククラウドに属します。
パブリッククラウドは、クラウド環境の構築に不可欠なサーバやストレージ、ネットワーク機器といった機械類の購入や、データセンターの契約
といった対応が不要で、簡単に導入できます。
そのため、初期コストを抑えることやデリバリーのスピード面で非常に優れていることが魅力です。
一方、共有環境であるため、自社の業務や要件に完全にはマッチしない場合があったり、ハードウェアの故障といったトラブル発生時に、
クラウド運営会社の対応を待つしかないといったデメリットもあります。
調査会社MM総研が2022年に発表した「国内クラウドサービス需要動向調査」によると、パブリッククラウドは2020年から2021年の1年間で、
年率21.1%の伸びを見せています。
これは、大規模な設備投資を必要としないことや、システム規模に応じた拡張性などの導入メリットが広く認知され、インフラの構築に欠かせない
サービスとして定着していることが理由のひとつだと提言しています。
◆ プライベートクラウド
プライベートクラウドとは、自社のみ利用できるクラウドサービスを整備・構築し、利用する形態のことです。
利用者は自社しかいないため、自社の業務に応じた独自のクラウド環境を作り上げることができ、カスタマイズ性が高いのが特徴です。
一方で、自社でサーバなどのハードウェア類や、サーバを配置するデータセンターなどを個別に契約する必要があり、またデータセンターや
ハードウェア類の設置、構築、運用保守といった対応も自社で行っていかなければなりません。
そのため、構築や運用におけるコストが高くなる、サーバー等の柔軟な追加や廃棄が難しいといったデメリットがあります。
|パブリッククラウドにおけるAWSの立ち位置
パブリッククラウドを提供している企業としては、以下の3社が多くのシェアを占めています。
・AWS(Amazon)
・Azure(Microsoft)
・Google Cloud Platform(Google)
この大手3社の中でも、企業の50%以上がAWSを利用しており、クラウドサービス黎明期からのリーダーであるAWSは、長くクラウドサービスの
No.1シェアを誇っています。
|クラウドと従来型サーバーの違い
現在、AWSをはじめ多くのクラウド型のサーバーサービスが提供されています。しかし、「他のサーバと何が違うの?」と思っている方もいるでしょう。
そこで、物理サーバー(オンプレミス)やVPSなどの従来型のサーバーの違いについて解説します。
|物理サーバー(オンプレミス)
クラウドサービスが登場する前まで、サーバーを利用する必要があれば自社の建物の中などにサーバー機器を設置して利用するのが一般的でした。
この運用形態のことを「オンプレミス」といいます。
オンプレミスが主流だった時代は、セキュリティが不安、コストが高い、自由度が低いなどの理由からクラウドに乗り換えない企業が多くありました。
しかし、クラウドが普及した現在では、最低限の継続コストで運用可能、カスタマイズが自由に行なえる、セキュリティも安心という認識になってきています。
オンプレスのデメリットは、初期コストが高額になること、導入の際には設備を揃える必要があるので、すぐには使えないこと、ソフトだけでなく
ハードの保守も必要になることなどがあります。
このようにオンプレミスは、物理的にハードを購入する必要があり、準備期間を要するだけでなく、ハードウェア保守もしなければなりません。
そのため、導入ハードルがどうしても高くなってしまう傾向にあります。
|VPS
VPSとは、「Virtual Private Server」を略した名称で、日本語では「仮想専用サーバー」などと呼ばれます。
VPSはクラウドと同じく、仮想化技術を使ったサーバ活用方法で、どちらも仮想的なサーバーを借りて運営します。
仮想化技術とは、サーバーなどのハードウエアリソース(CPU、メモリ、ディスクなど)を抽象化し、物理的な制限にとらわれず、ソフトウェア的に
統合・分割できるようにする技術のことです。
VPSとクラウドとの違いは、カスタマイズの自由さです。
VPSは、借りた領域の拡大や縮小、性能の改良はクラウドと比較し自由度が限られます。
また、サーバー機能のアップダウンもできず、あくまで決められた機能のサーバーを借りるだけというイメージです。
その反対に、クラウドの場合、借りている領域のスケール変更や性能の改良、機能の拡充などをソフトウェアで管理できるため、都合に合わせて
運用ができます。
|AWSでできること
ここまで、AWSの概要とクラウドやサーバーについて解説してきました。
さらに深掘りし、以下ではAWSで実際にどのようなことができるのかを紹介していきます。
|200種類以上のサービス
AWSではサーバーやネットワーク、コンピューティング、ストレージ、データベースなどのインフラ構築といった200以上のサービスが提供されています。
そして、AWSでは続々と新サービスが登場しています。
たとえば、AIによる機械学習や画像認識、データ分析、IoTシステムの構築といった最新鋭のテクノロジーに至るまで提供されており、コンピューターを
使ってできることの大半はAWSを利用すれば実現できます。
このように、「豊富な機能」がAWSの最大の特徴と言っても過言ではないでしょう。
|代表的な5つのサービス
AWSは200以上の豊富な機能から、目的別に使い分けることができます。中でも、よく企業で利用されている代表的な5つのサービスをご紹介します。
◆ Amazon EC2:サーバー環境構築
Amazon EC2は、AWS上にLinuxやWindowsベースの仮想サーバーを自由に構築できるサービスです。
これを、IaaS(Infrastructure as a Service)といい、サーバー1台をまるごと利用できます。
画面上の簡単な操作でサーバーを構築できるため、オンプレミスでサーバーを用意するよりも圧倒的に速いスピードでサーバを用意することができます。
また、サーバーの台数やメモリ、CPUなどのスペックをワンクリックで変更することが可能です。
大きな特徴としては、利用する容量やアクセス量によって料金が自動的に変動することです。
たとえば、自社サーバーの場合、キャンペーンなどで一時的に自社サイトへのアクセスが急増するとサーバーがパンクしてしまいます。
これを考慮し、ピーク時に合わせて容量を多く設定すると、平常時にコストが高くついてしまいます。
しかし、Amazon EC2では、利用料に応じて料金が変動するため、余分なコストの発生を抑えることができます。
◆ Amazon S3:データ保存
Amazon S3は、AWSのストレージサービスです。
保存できる容量やファイル数に制限がない上に、99.999999999%(イレブン・ナイン)という非常に高い耐久性を誇り、データ消失の可能性が
”無限” に近くなっています。
データをクラウド上に保管して、どこからでも閲覧や編集を行なうことができます。
複数のシステムにまたがって自動保存されているので、エラーや障害によりデータが消える可能性が極めて低いことも特徴です。
また、暗号化やデータアーカイブの機能、Webサイトの代わりとなるホスティング機能も備えており、多様なユースケースに対応しています。
◆ Amazon RDS:データベース利用
Amazon RDSは、AWSのデータベースサービス(顧客リストや商品リスト、従業員リストなどの情報を効率的に管理できるサービス)です。
PostgreSQLやMySQLのようなオープンソースのデータベースや、Oracleなどの商用データベースなど、様々なデータベースエンジンを選択できます。
RDSはPaaS(Platform as a Service)といい、OSやミドルウェアの設定、ライセンス管理などの保守作業はAWSが担当しています。
そのため、機能が一部制限されてしまうものの、運用・保守は、通常のサーバにデータベースをインストールする場合と比較し、圧倒的に楽になって
いることが特徴です。
また、自社のPCにデータベースを構築する場合は、データベースのソフトやバックアップなどのセットアップが必要ですが、RDSは契約後すぐに
データベースの機能を利用できます。
◆ Amazon Lambda:プログラムの実行環境
Amazon Lambdaは、AWSで利用できるサーバーレスアプリケーション用プラットフォームです。
サーバーレスとは、サーバーの運用負担なしで、任意のプログラムを実行できる環境を指します。
クラウドを利用する形式には、EC2のようなIaaS、RDSのようなPaaSなどがありますが、こちらはFaaS(Function as a Service)という、
アプリケーションのプログラムコードだけ利用者側で管理すればよいという形式です。
このように、Lamdaは利用者側でサーバーを意識する必要がありません。
プログラムコードだけを用意すれば、アプリケーションを実行できるため、非常に早いアプリケーション開発が可能になります。
◆ Amazon CloudWatch:運用監視機能
Amazon CloudWatchは、AWS上に構築したサーバーやアプリケーションの状態をモニタリングすることができる監視サービスです。
システム管理をするためには、オープンソースのZabbixなどのシステム監視ツールが利用されていますが、AWSの場合は、Amazon CloudWatchが
運用監視サービスとして標準で準備されています。
Cloudwatchの機能は、システムの監視だけでなく、以下のような機能を有しています。
・Cloudwatch Logs:ログを保存する
・CloudWatch Alarm:アラートを発信する
・CloudWatch Events:リソースの変更を示すシステムイベントをリアルタイムに取得し、イベントに応じたアクションを自動化する
これらの機能を組み合わせることで、一定のCPU利用率になったらアラートを発してサーバーの台数を増やす、といったAWS上の運用作業を
自動化することができます。
|AWSを利用するメリット・デメリット
多くのサービスを提供し、さまざまなことができるAWSですがメリットだけでなく、デメリットがあるのも事実です。
以下では、AWSのメリットとデメリットをそれぞれ紹介していきます。
|メリット
◆ コストを削減できる
AWSの多くのサービスは従量課金制なので、定額制と比べて無駄なコストが発生しにくいです。
また、自社にサーバーを構築する場合は、機器の購入費用や工事・設定費用がかかりますが、クラウドサービスの場合は月額のみで利用できる点も
メリットです。
必要なときに必要な機能を、最低限のコストで準備できるため、オンプレミスのようなシステムと比較してスムーズに対応できます。
◆ 強固なセキュリティを確保
常に最新のセキュリティが施され、さまざまな第三者機関認証を取得したセキュアな環境を利用できるため、強固なセキュリティを確保できます。
最高レベルのセキュリティ強度を必要としている金融機関や政府機関が、サーバーをAWS上に設置していることからも、セキュリティ面で安心できる
ことがわかります。
サービスの個々にセキュリティ対策が徹底されているほか、高度化・多様化するサイバー攻撃に対して、日々セキュリティ機能を増強している点も
AWSのメリットです。
◆ 柔軟性と拡張性が高い
企業では、データ容量が不足してしまったり、CPUの処理速度が追いつかなくなったりすることがあります。
AWSは、サーバーの台数やメモリ、CPUなどの各リソースを数クリックで変更できます。
このような柔軟性や拡張性もAWSのメリットです。
|デメリット
◆ 全体像の把握が難しい
AWSでは、200以上のサービスが提供されているため、さまざまな機能が利用できますが、機能が多すぎることから使いこなすのが難しいです。
AWSのサービスは、複数のサービスを連携させることで利便性が向上しますが、できることや、どのようなサービスが自社に合っているのかといった
知識が必要です。
また、AWSのサービスは次々と登場するため、トレンドを知ることも重要です。
◆ クラウド運用のスキルが必要
AWSを運用する場合、従来型のサーバーとは異なる専門知識が必要になります。
クラウドサーバーの設計・構築のスキルだけでなく、豊富なAWSのサービスに対する知識も必要不可欠です。
上記のように、AWSのサービスは、日々アップデートが行われ、新機能や新サービスが発表されています。そのため、設計にはある程度の知識や
ノウハウが必要です。
◆ サーバーに障害が起きると影響を受ける
AWSはサーバーの一部を借りるサービスのため、サーバー本体に障害が起きるとその影響をダイレクトに受けます。
AWS は世界中のどこにいても均一なサービスを提供するために、各地域をリージョンという物理的なロケーションに分割してサービスを提供しています。
日本には、東京リージョンと大阪リージョンがあり、そこで障害が発生するとそのリージョンを利用しているユーザーが影響を受けてしまいます。
実際に起きた事例として、2019年8月23日に AWS の東京リージョンで障害が発生しました。
仮想マシンサービスの「Amazon EC2」とリレーショナルデータベース(RDB)サービスの「Amazon RDS」に障害が起こったとしています。
日本のサービスへの影響としては、2019年8月23日昼頃に始まったシステム障害により、ユニクロ・楽天・PayPayなど多くのAWS利用企業で
「アクセスができない」といったトラブルが続出しました。(情報元:日経XTECH)
このようなトラブルを回避するためには、クラウドサーバーの仕組みをしっかり理解し、複数のサーバーで運用するなどの対策をするなどの
予防策を用意する必要があります。
|まとめ :利用する目的を明確にし、AWSのメリットを活かすことで利便性が向上する
今回は、AWSの基礎知識と関連のあるテーマを解説しました。
AWSは、Amazonが提供するクラウドサービスで、クラウド上にある仮想レンタルサーバーやデータベースといった基本サービスから、
AIやIoTシステムの構築などの最新技術まで、200以上のサービスを利用できます。
この豊富な機能から、コンピューターを使ってできることの大半はAWSを利用すれば実現できます。
しかし、多種多様な機能を自社のサービスに活かすためには、まず「利用する目的」と「実現したいこと」を明確にし、AWSでそれができるのかを
把握することが大切です。
独自の概念や最新機能を理解しなければ使いこなせないことや、サーバー障害の危険性を含んでいるなどの、デメリットが存在していることも念頭に
おいておきましょう。
また、AWSは機能のアップデートや新しいサービスを次々と提供しています。
事前にサービス仕様を確認するだけでなく、導入後にも最新情報のキャッチアップをする必要があるといえます。
しっかりと情報取集を行い、自社に合っているのかを見極めて活用することで、AWSのメリットを最大限享受できるでしょう。
|VNEXTはAWS Consulting Partner
弊社VNEXTは、「AWS Consulting Partner」の企業として認定されています。
AWS Consulting Partnerとは、AWSの活用を支援するコンサルティングやマネージドサービスの提供において、どのような企業からの相談にも
十分応えられる知識と実績がある会社を指します。
また、エンジニアが取得する全12種類の基礎レベル〜専門知識レベルのAWS認定資格があります。
- FOUNDATIONAL(基礎)
- ASSOCIATE(アソシエイト)
- PROFESSIONAL(プロフェッショナル)
- SPECIALTY(専門知識)
400名以上在籍するVNEXTのエンジニアの多くは、これらの認定資格を取得しており、AWSに精通した豊富なリソースが強みです。
AWSを活用したシステム開発を検討されている方や、もっとAWSについて知りたい方は是非VNEXTにお問い合わせください。
幅広い業界および規模の企業がクラウドへの移行を加速できるよう、コンサルティングやマネージドサービスを自信を持って提供します!
▶️ お問い合わせ:https://vnext.co.jp/contact.html?view=contact