VNEXTの会社紹介資料
2023/08/11
「DX」という言葉は、2004年にスウェーデンのウメオ大学教授、エリック・ストルターマン氏によって初めて提唱されましたと言われています。
日本でこの言葉が浸透し始めたのは、2018年に経済産業省がITシステム「2025年の崖」というレポートを発表した頃からです。
「DX」と聞くと、”社会全体のデジタル化に関わること”など、なんとなく分かるけれど本来の意味を把握していない、DX=IT化と思っている方も
いらっしゃるのではないでしょうか?
本記事では、DXとは本来どういうものなのか、IT化との違いやDX推進事例などを徹底解説していきます。
目次
|DXとは?
DXとは、デジタル・トランスフォーメーション(Digital Transformation)の略で、2004年にスウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱した概念です。
その意味は、「デジタル技術を社会に浸透させて人々の生活をより良いものへと変革すること」というものです。
DXには本来、「デジタル技術を活用し、既存の価値観や枠組みを根底から覆すような革新的なイノベーションをもたらすもの」という意味があります。
このDXの概念を、日本向けにわかりやすく定義したものが、経済産業省が2018年12月に発表した「DX推進ガイドライン」です。
経済産業省では、DXの定義を以下のように定義しています。
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革
するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」
DXを簡潔に説明すると、以下のようになります。
・企業がAI、IoTなどの先端的なデジタル技術を用いて、業務フローの改善や新たなビジネスモデルの創出をすること
・デジタル技術の活用によって、企業のビジネスモデルを変革し、新たなデジタル時代に勝ち残れるように自社の競争力を高めていくこと
|DXとIT化の違い
DXと混同されることが多いのが「IT化」です。
ITは、「Information Technology」の略であり、コンピューターとネットワーク技術の総称です。
インターネットやデジタルテクノロジーの進化に伴い、「旧来のアナログな作業をデジタル化して便利にする」という意味合いで、IT化という
言葉が使われています。
DXは「目的」なのに対し、IT化は「手段」です。
・DX:社会や組織、ビジネスの仕組みそのものを変革すること(目的)
・IT化:既存の業務プロセスのまま業務効率化と生産性向上を図ること(手段)
つまり、IT化とはDXを実現するための「手段」のひとつとなります。
|DXの取り組みが必要な理由
なぜ、ここまでDXの取り組みが注目されているのでしょうか?
以下では、DXが推奨され、企業が導入を始めている理由や背景について解説します。
|2025年の崖
現在、日本が国を挙げてDX推進を試みている理由として、「2025年の崖」の回避が挙げられます。
経済産業省が2018年9月に発表した『DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~』で、2025年には21年以上にわたって
レガシーシステムを運用している企業が6割に達し、年間最大12兆円の経済損失が生じるシナリオが示されました。
この状況を「2025年の崖」といいます。
「2025年の崖」を回避する手段として、「DX」が推奨されているのです。
もし、「2025年までの間にDXが実現すれば、2030年は実質GDP130兆円超の押上げができる」と予測されています。
|デジタル・ディスラプション
AIやIoTなどデジタル技術の利活用が急速に進展し、ビジネスの高度化が進む中で、市場における企業間の競争がますます激化しています。
また、デジタル技術を駆使するDX先進企業が成長し、従来の産業構造を根底から覆すイノベーションが起こっており、
これらを「デジタル・ディスラプション」に対する危機感と呼びます。
企業がデジタル・ディスラプションにより淘汰されることなく、市場における勝ち残りを実現するためにも、DXの取り組みが必要とされています。
|日本企業におけるDX推進の課題
DXの取り組みについて、会社の組織改革や従来のビジネスを大きく変化させるのは難しい、と感じている企業は多いでしょう。
「DX白書2023」によると、DXに取り組んでいる日本企業の割合は2021年度調査の55.8%から2022年度調査は69.3%に増加していると結果が出ていますが、米国と比べて日本企業ではDXが進んでいないと言われています。
日本企業におけるDX推進の課題として、以下の4つが挙げられます。
|DX人材不足
日本企業のDXが進まない原因として、DX人材の不足という課題があります。
DXを推進していくためには、以下の人材が必要となります。
・プロデューサー:DX推進の責任者であり、DXの戦略策定や推進を行う
・アーキテクト:会社の全体的なシステムの設計を担う技術者
・データサイエンティスト:ビッグデータを解析し、ビジネスに反映させる
・UXデザイナー:システムのUXデザインを行う
・エンジニア、プログラマー:システムの実装に関わる技術者
DXをやり遂げるためには、社内ですべての人材を採用・育成することは難しく、ベンダー企業などにアウトソーシングしている企業が多い現状です。
また、日本では「IT人材不足」の課題にも直面しています。
DX推進のためには、ITに精通している人材が必要不可欠です。
経済産業省の発表によると、2030年にはIT人材の供給と需要ギャップが広がり、最大79万人に到達すると予測されています。
|DXに対するビジョンが不明瞭
DXに対するビジョンや経営戦略が不明瞭であることも課題のひとつです。
「日本企業の経営課題2021」によると、DX によって「何を実現したいのか」や「顧客や社会に対してどのような価値を生み出していきたいのか」という
ビジョンや経営戦略のロードマップが明確に描けていない企業が66.2%という調査結果が出ています。
理由として、「DXを推進するリーダーが不在」「経営者のDX推進に関する知識が不足している」「DX推進の必要性を理解していない」といったことから、不明瞭になってしまっていることが考えられます。
|既存システムの複雑化・ブラックボックス化
経済産業省の「DXレポート」によると、既存システム(レガシーシステム)の複雑化・ブラックボックス化も課題となっています。
これは、既存システムが事業部門ごとに構築され、全社で横断的なデータ活用ができなかったり、過剰なカスタマイズがなされているなどにより、
ブラックボックス状態になっているとされています。
この状態を解消できずにいると、データを活用しきれず、DXの実現ができなくなります。
結果、市場の変化に対応して、ビジネスモデルを柔軟且つ迅速に変更することができず、デジタル競争に負けてしまう恐れがあります。
|業務フローの見直しが必要
DXに取り組むには、データ活用などのために既存システムの問題を解決しなければなりません。
そのためには、業務自体の見直しも求められます。
しかし、今までの業務フローを変えることは並大抵ではないため、現場サイドの抵抗が大きく、これを実行するためには、経営者と従業員の壁を超えた
組織全体の協力が必要不可欠となります。
DXには関係部署との連携をし、関係部署の各リーダーが協力し合い、計画的に進めていく必要があります。
|DXを成功させるためのポイント
ここまで、DX推進の重要性や現状抱える課題について解説してきました。
DXへの取り組みは一朝一夕にはいきませんが、DXを成功させるためのポイントを4つご紹介します。
|DX人材の確保
DX推進の課題でも挙げたように、現在日本ではDX人材が不足し、DXの取り組みができない企業が多いのが実情です。
もし、この理由からDX推進ができないのであれば「DX人材の確保」をしましょう。
DX人材に求められるのは、デジタル領域に精通し、率先して事業を変革できる知見・スキルを所持していることです。
DX人材を確保するためには、外部の人材を採用する方法と、自社社員のリスキリングやDX人材育成を実施してDX人材を育てる方法があります。
いずれにしても、自社にどのような人材がいて、どの人材が不足しているのかを把握することが大切です。
|開発手法の見直し
DX推進では、変化する時代のニーズや環境に合わせて柔軟にビジネスモデルや開発要件を変化させていくことが求められます。
そのため、従来通りのプロジェクトの進め方を続けていては対応できません。
時代の変化や技術革新、ユーザーニーズの移り変わりに柔軟に対応するには「デザイン思考」といった思考法や「アジャイル開発」「ノーコード開発」
のような開発手法を取り入れることが必要です。
デザイン思考は、ユーザー視点に立ってサービスやプロダクトの本質的な課題・ニーズを発見し、ビジネス上の課題を解決するための思考法のことです。
これまでにない問題の解決策を導き出さなければならないDX推進において、用いられることがあります。
アジャイル開発は、機能単位の小さなサイクルを繰り返し、試行錯誤しながら開発していく手法です。
従来のウォーターフォール型の開発と比べて仕様変更がしやすく、プロダクトの価値を最大化することに重点を置いているのが特徴です。
ノーコード開発は、ツールやプラットフォームを活用して、ソースコードを記述することなく開発ができる開発手法です。
最初からテンプレートや機能が決まっており、ドラッグ&ドロップやマウスクリックなどの簡単な操作で開発を進めることができるため、IT知識のない
人材でも開発を行うことが可能です。
しかし、こうした新しい手法の導入にハードルを感じ、DX推進が進まない企業が多くあるのが現状です。
その場合は、デザイン思考やアジャイル開発、ノーコード開発などの経験が豊富な外部パートナーと伴走して進めていくこともひとつの手段です。
|データの利活用
VUCA時代ともいわれる不確実性の高い時代において、環境の変化にいち早く対応するために、データに基づいた経営判断を実現する「データの利活用」の重要性が高まっています。
これは、「データドブリン経営」とも呼ばれます。
データドリブンとは、ビッグデータを活用して業務の効率化や新たなビジネスの創出を実現する手法のことで、これを経営に応用したものが「データドブリン経営」です。
しかし、「データは大量にあるけれど、データ利活用を適切に行えていない」企業は少なくありません。
とりあえず取得できるデータを集めている、どのデータが何に活かせるのかわからないといった課題を抱える企業がほとんどです。
まずは、自社のデータ利活用がどのレベルなのかを明確にし、把握しましょう。
|組織全体で取り組む
DXの取り組みは経営層のみならず従業員を含め、組織全体で取り組みをしなければ実現できません。
DX推進には、経営層のコミットが得られなかったり、各部署間の連携が築けなかったことが障壁となるケースがあります。
デジタル技術を活用した新たな業務フローやビジネスモデルへ移行するには、経営層のコミットや社内理解、各部署の協力関係が必要です。
|DXを進めるための3ステップ
一般的にDX推進とはどのような流れで進めていくのでしょうか?
以下では、0からDXを始める3ステップをご紹介します。
ここで紹介しているのはあくまで一例となり、本来、DX推進に決まった方法はありません。
DX推進には、自社の状況に合わせたさまざまなパターンが存在します。
|Step1:自社の現状を可視化・DXの目的を明確化
まずは、自社の現状やビジネスを可視化することが、DX実現の第一歩です。
「何から着手したらよいのかわからない」といった問題に直面する企業はよくあります。
たとえば、社内で使用している既存システムがどのようになっているのか、その管理にかかっている人的リソースはどのくらいか、部署ごとに
管理している情報資産などを可視化し、現状の課題を洗い出します。
そこから、「何を」「どのように」変革したいのか、DXに取り組む目的を明確化することが重要です。
可視化と明確化が完了したら、課題解決に向けてDX推進プロジェクトを担えるDX人材を確保しましょう。
|Step2:部分的なデジタル化
次は、特定業務の効率化やコスト削減、アナログな情報をデジタル化して、データを蓄積できる環境を整えるためにデジタル技術を導入します。
これを「デジタイゼーション(Digitization)」といいます。
アナログ作業や手作業が多く発生している業務がある場合、SaaSや業務システム、ツールなどを導入して、このデジタイゼーションを推進していく
必要があります。
しかし、目先の業務を効率化するだけの目的で外部サービスやツールを導入してしまうと、複数のツールを契約することによる機能の重複や、
コスト増加などのリスクがあることも把握しておきましょう。
自社の全体や外部環境、ビジネス成長を視野に入れて、長期的な目線で最適化していくという意識を持つことが重要です。
|Step3:業務フロー全体の最適化
そして、デジタルツールを用いて業務フロー全体を最適化し、自組織の生産性を高めるノウハウが蓄積できる状態にします。
これを「デジタライゼーション(Digitalization)」といいます。
業務効率が高まり、会社全体の生産性が向上するとともに、DXに対する期待値やDX実現によってもたらされるメリットを社内に周知することが
できるでしょう。
また、これにより業務上で発生しているさまざまなデータを取得できるようになります。
データを蓄積できると、そのデータを利活用し、経営に活かすことができます。
各現場担当者が見ているダッシュボード上の数値が経営指標に繋がっており、さまざまな立場の社員が共通の数値を参照できる状態を構築することが、
データ利活用の理想形です。
もし、部署ごとに別の業務システムを使っており、データがバラバラに分断されている状態の場合、社内で使用するITツールの一元化、システム間の
連携から着手していく必要があります。
|DX推進事例
実際に、DXに取り組み成功した企業や自治体は多くあります。以下では代表的なDX推進事例を5つご紹介します。
|Amazon
DXの世界的な成功例とされているのが、Amazon(アマゾンドットコム)です。
Amazonは、もともとインターネットで書籍が買えるWEBの本屋からスタートしました。
このAmazonがトランスフォーメーション(変革)させたものは、消費者がインターネットを通じて、さまざまな商品をAmazonのサイトから購入する
ことができるようしたことです。
つまり、Amazonは「消費者にモノを売る」というサービスを、「店舗へ買い物に行く」という消費者行動を「デジタル化」により、
大きく「変革」したのです。
また、商品ページの下に、「よく一緒に購入されている商品」や「この商品を買った人はこんな商品も買っています」などの文言とともに、関連性の高い
商品が表示される「レコメンド機能」もいち早く取り入れました。
Amazonは、消費者の行動、販売のアドバイス、商品・サービスを「デジタル化」によって大きく「トランスフォーメーション(変革)」したことで、
「DXのお手本」と言われています。
|Airbnb
Airbnbは2008年設立した、世界中の民泊を提供している個人や企業と、宿泊先を探すユーザーをマッチングさせるサービスです。
活用しているデジタル技術は、他のホテル予約システムとほぼ同じですが、新たな市場である民泊にフォーカスした点が新しい取り組みでした。
現在では、同じシステムを難民に滞在先を提供する支援プログラムにも使用しています。
|株式会社あきんどスシロー
回転寿司のチェーン店として有名な株式会社あきんどスシローは、スシローの店舗DXが進んでいます。
デジタルを活用して省人化され、少人数での店舗運営を実現し、DXによって店舗運営を効率化することで、売上・利益の向上に努めています。
主な取り組みは以下のとおりです。
・発券機
・自動案内システム
・注文用タッチパネル
・セルフレジ(持ち帰り時に活用)
・自動土産ロッカー(持ち帰り時に活用)
・Webサイトリニューアル
店舗には多くのお客様が来店し、長いときには待ち時間が100分を超えるケースもあり、こうした課題を解決するためにWebサイトやアプリの
リニューアルを進めました。
Webサイトのリニューアルでは、PCの閲覧者が多いと想定し制作されていましたが、実際は9割以上のユーザーがスマートフォンを利用していました。
そのため、スマートフォンで見やすいデザインに変え、UX(ユーザー体験)の向上を図りました。
結果、売り上げにも大きな影響をもたらすことになりました。
|東京都三鷹市
東京都三鷹市では、デジタル事業の施策は行っていたものの、DX推進の大きな軸はありませんでした。
しかし、2020年よりDX推進を本格化させるため、「みらいをつくる三鷹デジタル社会ビジョン政策」を打ち出し、今後のDX実現へ向けてのビジョンを
確立したところ、やるべきことの明確化に成功しました。
現在では、保育所の入所手続きにRPA(人が行っていた作業を自動化)やAI-OCR(手書きなどの文字をテキストデータ化させるツール)を活用し、
約40%ほどの大幅な業務効率化の実現に向けて取り組んでいます。
さらに、人々の生活を豊かにするため、駅前に公衆Wi-Fiを設置するといった取り組みも実施中です。
|神戸市 × kintone
兵庫県神戸市は、サイボウズ株式会社と連携し「kintone(キントーン)」を導入しています。
kintoneは、業務内容に合わせて自由にカスタマイズできる業務改善プラットフォームです。
この導入によりペーパーレス化の実現だけでなく、脱FAXや紙文書の回覧、押印、紙資料からコンピューターへの転記などの手作業が不要となりました。
また、人為的ミスの削減により業務効率の向上も得られています。
|まとめ
「DX」は、企業が解決すべき課題であり、最重要視するべきこと
DXという言葉の本来の意味は、「最新のデジタル技術を取り入れ、人々の暮らしを豊かで快適な環境へ変革させること」です。
しかし、ビジネス面では近い将来、企業が解決すべき課題と認識されています。
変化の激しい時代に取り残されるのか、データとデジタル技術の活用により企業を変革し、競争力の優位性を保っていくのか、
企業にとっての分岐点になる取り組みともいえるでしょう。
DXを推進していくためには、膨大な時間と労力がかかります。
すぐに結果が出るものではないため、長期的なプロセスを考え、「DXによって何をしたいのか」「どのようになりたいのか」のビジョンを描きましょう。
そのためには、自社を見つめ直し、経営戦略をしっかりと固め、社内の理解・協力を得たうえで一丸となって取り組んでくことが大切です。
|VNEXTは「DX × オフショア開発」のITパートナー
弊社VNEXTでは、企業様の「DX推進」を支援するために、ITパートナーとして伴走していくスタイルを提供しています。
これまで、スタートアップから大手企業まで320社以上のパートナーと600件を超える多数のサービス実績があります。
また、15年以上にわたりオフショア開発サービスを提供して蓄積された知見とノウハウを活かし、提案段階からデジタル領域の知見を持つPMが参画し、
プロの視点から既存事業のデジタル化を企画・設計をサポートます。
開発プロジェクトでは、業務分析から要件定義・設計などの上流工程はもちろん、UI/UXデザインで付加価値を向上、開発〜運用・保守、
そして、インフラ構築までワンストップサポートを提供しています。
DXを検討している方やDXに関するお悩みがある方は、ぜひVNEXTにご相談ください!
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