VNEXTの会社紹介資料
2023/10/20
新しい概念やアイデアを創出する際は、そのアイデアが本当に実現可能かどうか、どの程度のパフォーマンスを引き出せるのか、などを
検証する必要があります。
その概念を実証する作業がPoC開発です。主にIT業界で用いられますが、他の産業でもPoC開発を行うケースが増えてきています。
本記事ではPoC開発とは何か、PoC開発の基礎知識やPoC開発を行うメリットと注意点、成功させるためのポイントなどについて解説します。
目次
|PoC開発とは?
PoC開発のPoCとは「Proof of Concept」の略称で、日本語ではコンセプト実証、あるいは概念実証という意味があります。
新しいシステムやアプリを開発する際、現在のアイデアが実現可能か、どのくらいの実効性があるのかを検証しなければなりません。
PoC開発では、新しいアイデアを取り入れた実物を作成し、実際の導入環境に類似した状況で検証を実施。
その結果を基に、アイデアの実効性や実現性を調べます。
近年は主にAIやIoTを用いた製品、サービスを開発する際に用いられるケースが多いようです。
|プロトタイプとの違い
PoC開発と混同されがちな言葉が「プロトタイプ」です。
どちらも新しいアイデア、概念を取り入れたシステムやサービスを開発する前段階で行う点は共通しています。
しかし、PoC開発がアイデアや概念の実現性を検証することを目的にしたものであるのに対し、プロトタイプは、アイデアの方向性や実現性が
ある程度確定された状態で試作品を作る工程を意味します。
順番としては、まずPoC開発でアイデアや概念の実現性・実効性を検証してから、プロトタイプの作成に取りかかるという流れです。
PoC開発が不十分なままプロトタイプの作成に着手すると、手間や時間、コストを無駄にしてしまう可能性が高いので注意しましょう。
|PoC開発の流れ
PoC開発は大きく分けて4つのステップです。
|Step1:企画
まずは、PoC開発で何を検証するのか、どのような成果を得たいのか、などを細かく設定する企画からスタートします。
企画の方向性が定まらないと、この後に続く効果・効用や実現性の検証などの軸がぶれてしまう可能性があるため、大切です。
たとえば、事務作業の効率化のために、AIを取り入れたシステムを開発したいと考えている場合を想定してみましょう。
システムによってどのくらいの作業を自動化できるか、業務時間や人材をどのくらい削減したいのかなどを目標に設定し、
具体的に数値化して検証します。
検証する目的などを設定したら、PoC開発を実施するハード・ソフト環境の決定と、検証用データの準備を行います。
検証はできるだけ実際の環境に類似させる必要があるので、環境面の準備は特に念入りに実施しましょう。
|Step2:効果・効用の検証
検証用データと環境を準備できたら、効果・効用の検証を開始します。
新しいアイデアや概念を取り入れて製作した実物を、本番と似た環境下で実際に使用し、当初設定した目的にもとづいて検証データを取得します。
基本的には企画段階で設定した検証項目に沿って進められますが、PoC開発では想定外の事態が発生する可能性もあることに留意してください。
その場合でも検証は最後まで実施する必要があるので、どのようなトラブル、想定外の事態が発生したのかも詳細に記録しておきましょう。
|Step3:実現性の検証
主に技術面において、新しいアイデアや概念を実現できるかどうかを検証します。
たとえば、IoTを取り入れた製品の場合、センサーが実際の環境下でも想定どおりにデータを収集できるか、きちんと電波が届くか、などを調べます。
このフェーズでは、システムを実際に利用するユーザー(ターゲット)による実地検証が必要不可欠です。
IoTを取り入れたロボット掃除機なら、実際に家庭で使ってもらい、問題なく利用できるかどうかを試してもらいます。
利用環境によって得られる結果も異なるので、実現性の検証は複数のユーザーに依頼することが大切です。
自社の従業員に検証を頼むだけでなく、モニターなどを募って一般ユーザーに使ってもらい、フィードバックを得る方法もあります。
|Step4:課題の検証・洗い出し
検証結果を基に、実現性や実効性における課題・問題点を洗い出しましょう。
当初設定した目的や目標と照らし合わせて、思ったような成果が出なかった、想定外の動きをした、などの項目をピックアップし、その原因を探ります。
また、ユーザーからのフィードバックを検証すると、開発サイドでは思いも寄らなかった角度からの課題や問題点が見つかることもあるでしょう。
予算や実現性などを考えると、全ての課題や問題点を解決するのは容易ではありませんが、検証で得られたデータやフィードバックを分析すれば、
原因や改善点を見出すきっかけになります。
市場ニーズなども踏まえ、優先的に解決すべき課題・問題点の原因と対策を検討し、改善・修正を加えていきましょう。
|PoC開発のメリット
PoC開発を行うと、以下のようなメリットを期待できます。
|工数や人員コストの削減につながる
新しいアイデアや概念から製品やサービスを生み出す場合、想定外の事態やトラブルが発生することがあります。
ときには多大なコストを費やしておきながら、アイデアや概念を形にできず、計画が頓挫してしまうことも少なくありません。
PoC開発であらかじめ検証しておけば、実現性のある開発のみに集中して着手できるため、不要な工数をカットできます。
工数を削減できれば、工程に割く人員も少なくできるので、人件費の節約にもつながります。
|システムの実現性を検証できる
新しいアイデアや概念が形になるかどうかは実際に試してみないと分かりませんが、実現性が曖昧な状態のまま試行錯誤しても、
いたずらにコストや時間を費やしてしまいがちです。
PoC開発を行えば、システムが実現可能かどうかをあらかじめ検証できるため、技術的な問題で計画を断念せざるを得なくなったり、
想定外の軌道修正を余儀なくされたりするリスクを低減できます。
システム開発には、人材や予算、時間など相応の投資が必要になります。これらを無駄にせず、投資対効果を最大限に引き出しやすくなるのも
PoC開発のメリットです。
|費用対効果を検証できる
システムやアプリ開発において、どのくらいの費用対効果を見込めるかは大切なポイントのひとつです。
アイデアや概念を実用化にこぎつけても、それを利用するユーザーのニーズに合致していなければ、大幅な赤字を生み出す原因となります。
先述したように、PoC開発の試作品を一般ユーザーに提供し、実際に使用してもらうことで、製品に対する具体的な意見を聞くことができるでしょう。
このように一般ユーザーにPoC開発の一端を担ってもらえば、開発サイドが想定しているニーズと、実際のニーズとのギャップが判明し、
課題や問題点が浮き彫りになります。
一般ユーザーからのフィードバックを基に、システムに改善や修正を加えれば、ギャップが埋まってより費用対効果の高いシステムやアプリの開発を
実現できるでしょう。
|PoC開発の注意点
PoC開発を行う上で気を付けたいポイントは大きく分けて2つあります。
|情報漏洩に対するリスクが大きい
PoC開発では、自社の従業員や一般ユーザーに実物を使ってもらい、検証データを取得する必要があります。
しかし、PoC開発の段階で作るシステムや製品はあくまで試作品であり、まだ世の中には流通していないものです。
開発段階のアイデアが外部に漏れてしまうと、競合他社にアイデアを盗用されるなど、大きな損失を招く原因となる場合があります。
PoC開発を実施する際は、社内に向けて情報保護のルールや規定を周知させ、万が一にも外部に情報が漏洩しないよう注意喚起しましょう。
また、社外の一般ユーザーに検証を依頼する場合は、契約書や誓約書に情報を第三者に漏洩しない旨を明記しておくことが大切です。
|検証回数が増えるとコストがかさむ
PoC開発における検証は入念に行う必要がありますが、あまり回数がかさむと、そのぶんコストも増大します。
PoC開発の目的には、検証によって無駄な工数や費用を省くことも含まれます。必要以上に検証回数を重ねると、PoC開発のメリットも損なうことに
なるので注意しましょう。
そもそも、PoC開発はあくまで検証なので、100%の保証があるわけではありません。実現性や実効性をある程度確保できれば、PoC開発の目的は
達成となりますので、検証回数は必要な範囲内に留めておきましょう。
|PoC開発が必要なケース
PoC開発が必要になる代表的なケースを3つご紹介します。
|AIの活用・開発
AIを開発するためには、あらかじめ立てた仮説を実現できるかどうかを確かめる必要があります。
AI開発におけるPoCでは、まずモックアップと呼ばれる仮モデルの開発を行い、機械学習やディープラーニング(深層学習)を正しく活用していくために
必要なデータの質・量を十分確保できているかどうかを検証します。
データを蓄積したAIがどのくらいの精度を出せるか、費用対効果に見合うスピードで処理を行えるかどうかなどの点を検証し、データを基に分析します。
近年、AIは企業から家庭まで幅広いシーンで活用される身近なテクノロジーとなりましたが、その可能性は無限大かつ未知数です。
検証を行わずに開発に着手すると、想定していた成果や効果を得られないおそれがあります。
AIは万能テクノロジーと思われがちです。しかし、実際は特定の問題を解決することに特化した技術であり、当該課題を解決するために搭載すべき
機能を絞り込んだ上で、その構想に実現性があるかどうかを検証する必要があります。
PoC開発はニーズに特化したAIを開発するために必要不可欠な工程と言えるでしょう。
|ブロックチェーン開発
ブロックチェーンとは、ブロックと呼ばれる単位でデータを管理し、チェーンのように連結してデータを保管する技術のことです。
仮想通貨のひとつであるビットコインの実現化にあたって開発されたテクノロジーですが、近年は医療業界や流通業界、不動産業界などさまざまな
産業でも導入されはじめています。
しかし、非金融業界でのブロックチェーン導入例はいまだ少なく、実現性や管理方法が曖昧なままシステム開発を進めて失敗する例も少なくありません。
PoC開発を行えば、ある程度の実現性や実効性を確保できるため、開発をスタートした途端に頓挫するリスクを低減できます。
|新サービスの検証(DX)
近年、働き方改革などの影響から、DX化を推進する企業が増えてきています。
DXとは、デジタル技術を活用して企業を変革し、競争力の優位性を保つことです。
AIやIoTなどを利用することで、アナログ業務を自動化したり、ビッグデータを活用して新たな価値を生み出したりすることを意味します。
ただ、一言にDXといっても、その目的や手段はさまざまです。
自社のニーズや課題に合わせてDX化を進めていくには、PoC開発で検証を行い、現場で求められている技術やシステムを優先的に開発していく必要が
あります。
DXは小規模のものから段階的に進めていくのが基本なので、PoC開発で実現性や実効性を確認しながら、少しずつDX化を進めていくのがポイントです。
|PoC開発を成功させるためのポイント
PoC開発を成功させるために押さえておきたいポイントを3つご紹介します。
|スモールスタートからはじめる
PoC開発のメリットは、余計な工数やコストを省けるところにあります。
検証作業に必要以上に手間や時間、コストをかけすぎると本末転倒になりますので、開発期間や開発コスト、担当する人員はなるべく小規模で
はじめるのが基本です。
企画段階でPoC開発にかける期間やコスト、人員をある程度決めておくと、規模が大きくなりすぎるのを防ぐことができます。
|本番環境を想定して検証する
PoC開発での検証精度を高めるには、より本番に近い環境下で検証を行う必要があります。
たとえば、業務で利用するシステムを開発する場合は、当該現場に導入し、実際と同じ条件下でシステムを利用します。
現場とかけ離れた環境下で検証を行った場合、いざ本物の現場に導入したときに想定外の動きをしたり、うまく動作しなかったりする恐れがあるので
注意しましょう。
同じ場所で使用するだけでなく、システムの使い方やユーザーの行動に影響を与える要因(天候や時間帯、気温など)をピックアップし、それぞれの
環境下でどのような結果をもたらしたかを検証することも大切です。
実際の現場に導入するのが難しい場合は、類似した環境を準備する必要があります。再現性が低いと、検証の精度が低くなって有用性の高いデータを
取得できなくなることを念頭に置いておきましょう。
|実績のある開発会社を選ぶ
PoC開発で精度の高い検証を行うには、適切な目的や検証項目の設定、検証環境の整備、検証の実施および課題の洗い出し、改善など、さまざまな
ステップを踏む必要があります。
中には専門的な知識や技術、経験が必要になるものもあるため、PoC開発をスタートするのに手間取る可能性があります。
そんなときは、PoCを請け負っている開発会社に相談・依頼するのがおすすめです。
ただ、PoC開発に関する経験や実績は会社ごとに異なるので、より豊富な実績を持つところを厳選することが大切です。
特にAIやDX、ブロックチェーンといった新しい分野でPoC開発を行う場合、相応の知識や実績のある会社を選ばないと工数や費用がかさんでしまう
恐れがあるので注意しましょう。
PoC開発の実績の有無に関しては、公式サイトをチェックするか、ヒアリング時に確認できます。
|まとめ:PoC開発はVNEXTにご相談ください!
PoC開発は、アイデアや概念の実現性を検証するために行うものです。
PoC開発を行えば、新しいアイデアや概念を取り入れたシステムを開発するにあたり、工数や人員コストの削減、費用対効果の検証などを実現できます。
特にAIやブロックチェーンといった新しい分野でシステム開発する際は、PoC開発による検証が必要不可欠です。
検証不足で余計な工数やコストをかけないためにも、PoC開発をきちんと行い、必要に応じて修正や改善を行うことを検討しましょう。
弊社VNEXTでは、PoCから上流工程・設計・構築〜運用・保守まで、ワンストップサービスでお客様をサポートしています。
これまで幅広い分野のPoC開発を行ってきた経験や知見・ノウハウがあり、より効果的なPoCを実施することが可能です。
PoC開発をご検討の際は、VNEXTへお気軽にご相談ください。
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