VNEXTの会社紹介資料
2023/10/09
自社にとってシステム開発を外注する場合、イメージ通りの成果物が出来上がってほしいものです。
しかし、開発業務を発注する側と受注する側での認識のズレから思い描いていた内容とは異なる成果物が納品されてしまうトラブルも少なくありません。
このようなトラブルを回避するためにも、提案依頼書ともいわれる「RFP(Request for Proposal)」の作成は必要不可欠です。
本記事では、RFPの基本や作成する目的、RFPの書き方のポイントについて解説していきます。
目次
|RFP(Request for Proposal)とは?
RFPとは、「Request for Proposal」の略で、日本語では「提案依頼書」と言います。
企業がシステムの導入や開発業務を委託する際に、発注先を選定するために、候補となるシステム開発会社に具体的な提案を依頼する文書です。
RFPに記載する内容は、システムの目的や概要、要件や制約条件などを記述します。
RFPでは、以下の3つの要求を明示することが必須です。
① システムの開発目的(業務要求、技術要求、運用要求)
② 開発の予算
③ 納期と開発スケジュール
RFPは、WordやPowerPointの資料で作成されることが一般的ですが、システムの規模によって作成枚数も異なり、数ページのものから数百ページに
のぼることもあります。骨の折れるような作業と思われがちですが、システム発注の際には必ず用意しておきたい書類です。
|RFPを作成する目的
RFPを作成する最大の目的は、「発注者側の考えをシステム開発者側に漏れなく伝え、相互理解を深めるため」です。
「ミーティングで希望を伝えればいいのでは?」と思うかもしれませんが、システム開発を依頼するのであれば用意しておくべき書面です。
これまでは、発注者側が、口頭で説明したイメージや要求を開発会社が汲み取ってプロジェクトが開始することもありました。
しかし、近年では情報システムで処理する業務が増え、構造が複雑化し、口頭だけの説明だけでは抜け漏れや認識相違が発生したりするケースが
増加したことにより、RFPの作成は必須とされています。
RFPがない場合、以下のような問題が多々見られます。
◇ 複数の開発会社に依頼した際、それぞれがシステム要件を独自に解釈してしまい、異なる観点からシステム提案を受ける可能性がある
◇ システム開発会社の比較・選定が難しくなる
◇ 伝え漏れが発生し、提案に不足が生じてしまう
◇ 発注側が重視している点をシステム開発会社が理解できていない
◇ 発注側がシステム開発の目的を把握できていない
このような問題を回避するためにも、発注者自身がシステムに求める内容を整理したRFPを作成し、システムの完成イメージをシステム開発会社に
伝えることで、認識齟齬がなく発注側が期待する通りのシステムを導入することができます。
|RFPのメリット
RFPを作成するメリットは大きく3つ挙げられます。
1. 発注側の要望を正しく開発側に伝えることができる
口頭で希望要件を伝えても、正確に伝わらなかったり、伝え漏れが発生してしまいます。
RFPにより希望を整理することで、不足なく正しい情報を伝えられます。
また、文書として残しておけるため、トラブル防止にも役立ちます。
2. 言った・言わないのトラブルを回避できる
口頭で要望を伝えたり、あいまいに口約束したりしていると、後から「言った」「言わない」のトラブルが起こりやすくなります。
このようなトラブルでプロジェクト進行が止まってしまい、うまくいかないケースもあります。
その点、RFPは条件を明文化しているため、このようなトラブルを回避できるでしょう。
3. 自社の現状を見直すことができる
RFPを作成するためには、自社の現状を客観的に見なおす必要があります。
そのため、自社をしっかり分析することができ、今まで見つからなかった課題や解決すべきことが見つかることがあります。
RFPの作成をきっかけにこのような気づきがあれば、企業の成長につながる有益なものとなり、相乗効果を生むでしょう。
|RFPとRFIの違い
RFPと間違いやすいものの一つに「RFI」があります。
RFIとは、「Request for Information」の略で、日本語では「情報提供依頼書/情報依頼書」と言います。
RFIはRFPと同様に、発注側が開発側に対して提出する書面ですが内容が異なります。
内容としては、開発会社の会社情報や実績、提供可能なサービスの情報などの提示を求める書類です。
端的に言うと「あなたの会社にシステム開発依頼を検討しているので、会社や技術の情報を教えてください」といったものがRFIとなります。
いずれも適切なシステム提案を受ける上で必要な書類といえますが、RFIは一次選考のための書類、RFPは二次選考のための書類という場合が多いです。
また、企業情報や実績、提供可能なサービス情報などはWebサイトから得られるため、RFIを省略するという企業もあります。
|RFPに記載する内容
以下は、RFPに記載する主な項目一覧となります。
これらの要素を盛り込んだRFPの構成(目次)は下図のようになります。
もちろん、RFPを作成する企業の置かれた状況や目的によって、構成要素は異なります。
|RFPの作成までの流れ
RFPの作成からシステム開発に着手するまでは、主に次のような流れで行います。
- プロジェクトチームの編成
- 開発目的の明確化
- 自社内の現状確認
- 解決策の立案
- RFPの作成・提出
以下では、それぞれの段階でどのようなことを行うのかを説明していきます。
|1. プロジェクトチームの編成
RFPを作成する際は、プロジェクト担当者1人だけで進めず、RFPが必要となるプロジェクトを進めるためのチームを編成しましょう。
複数メンバーで進める理由は、分かりやすく明確なRFPの作成には、社内情報の洗い出しや共有が求められるためです。
システムの開発・導入にあたって、導入するシステムがどの部署にどのような影響を与えるのかといったヒアリング、ミーティングも必要になります。
また、開発着手後やシステム導入後の社内トラブルを回避できるメリットもあるため、複数メンバーでプロジェクトを進めることが望ましいです。
|2. 開発目的の明確化
チームを編成した後、プロジェクトで開発するシステムの目的を明確にします。
「なぜそのシステムを導入するのか」「どのような課題を解決したいのか」などの軸を設定することで、外注先に要件をしっかり伝えることができ、
開発後は社内でそのシステムを有効に扱うことができます。
|3. 自社内の現状確認
システム開発の目的を確認した後は、社内の現状における課題の把握が必要です。
プロジェクトチーム内外を含めた各レイヤーから多角的な情報を集め、それぞれがどのような課題を抱えているのか認識をすり合わせましょう。
同時に、どのレイヤーが抱える課題から率先して取り組むべきか、優先順位を設定することでより目的に沿ったシステムを開発・導入しやすくなります。
|4. 解決策の立案
課題の把握と解決すべき優先順位を設定したら、次は具体的な解決策を立案します。
解決策を立案する際は、先を見据えて「システムで課題を解決すれば本来の目的を達成できるのか」を軸に考えるのがポイントとなります。
システムを導入するかどうかだけに論点を設定せず、幅広い視点から解決策を模索していきましょう。
|5. RFPの作成・提出
課題の解決策までまとまったら、本格的にRFPの作成に移ります。
ここまでの内容をふまえ、明確な意思伝達ができるようドキュメント化し、開発会社へ提出しましょう。
|RFPを書く際のポイント
最後に、RFPを作成する際に押さえておきたい書き方のポイントをご紹介します。
以下の3つのポイントを考慮して作成することで、円滑にRFPを作りやすくなり、開発会社側の理解も明確になります。
- プロジェクトの目的・背景を明確にする
- さまざまな立場の人から意見をもらう
- RFPは手段と考える
ここでは、3つのポイントについて詳しく説明します。
|1. プロジェクトの目的・背景を明確にする
RFPの作成にあたり最も重要なのが、「システムを使って何を実現したいのか?」「どのような課題を解決したいのか?」といった、プロジェクトの
目的・背景を明確にすることです。
システムの目的を明確にしないままプロジェクトを進めてしまうと、「完成したシステムがイメージしたものと違う」や「導入したのに使われない
システムになってしまった」などの失敗に陥る可能性があります。
このようなトラブルを未然に防ぐために、開発側と目的・ゴールを共有してしっかりと認識を合わせておくことが重要です。
そのため、RFPを作成する際は必ず「プロジェクトの目的・背景」を明確化しておきましょう。
|2. さまざまな立場の人から意見をもらう
システムの導入は、少なからず社内で現在利用している他システムへ影響を及ぼします。
そのため、RFPを作成する際は経営層、管理職、ユーザー部門など、社内のさまざまな立場の人から意見を集めることが重要です。
もし、1人でRFPを作成した場合、思わぬ抜け漏れが発生する可能性があります。
他に検討すべき項目はないか、要件に抜け漏れがないかをヒアリングし、話し合いながらRFPをブラッシュアップしていきましょう。
|3. RFPは「手段」と考える
RFPを作成する目的は、「発注者側の考えをシステム開発者側に漏れなく伝え、相互理解を深めるため」であり、これを伝えるための「手段」です。
RFPは手慣れた人であっても、全く抜け漏れのないものを作成することは難しいものです。
最初から完璧なRFPを作ろうとせず、開発会社との問い合わせを何度か繰り返しながら、徐々にブラッシュアップしていくものと考えましょう。
RFPは、開発会社に良い提案をもらってシステム開発を進めてもらう「手段」です。
完璧なRFPを作ろうとするあまり、RFP作成が目的になってしまえば、本末転倒になってしまうので注意しましょう。
|まとめ
RFPをしっかり作成することで、開発会社に対して要件を適切に伝えることができます。
そのため、発注者側の希望や課題を確実に伝えるために、RFPは大変重要です。
RFPを作成することは、完成度の高いシステムを納品してもらうことにもつながります。
ざっくりとした要求を開発会社に伝えて任せきりにしたりせず、発注者自らがRFPを作成することで、自社がシステムに求めているものを再認識する
こともできます。
システム開発を依頼する際には、RFPを作成し、イメージ通りのシステム開発を成功させましょう。