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2023/10/20
近年、次世代のインターネットとしてWeb3.0に注目が集まっています。
Web3.0とは、ブロックチェーン技術を使用した分散型インターネットのことです。
2018年頃から普及し始めた新しい概念ですが、特定の管理者を置かずにデータを管理できるところが大きな特徴として知られています。
本記事では、Web3.0の基礎知識やWeb3.0の主な特徴、現状の課題、トレンド技術などについてわかりやすく解説します。
目次
|Web3.0とは?
Web3.0とは、ブロックチェーン技術を採用した分散型インターネットのことです。
イギリスのコンピュータ科学者であり、仮想通貨のPolkadot(ポルカドット)やKusama(クサマ)の創設者でもある、ギャビン・ウッド氏が
提唱した概念として知られています。
特定の企業に利益や権利が集まっている中央集権型のインターネットとは異なり、分散型インターネットは特定の管理者を置かず、データや情報を
分散化し、個人が情報を管理できるところが特徴です。
|Web3.0が注目されている理由
Web3.0が注目を集めるようになった理由は、従来の中央集権型のインターネットに大きな課題があったためです。
Web3.0の前には、Web1.0とWeb2.0があり、時代とともに変化や革新を繰り返してきました。
Web1.0は、HTMLと呼ばれるコードを使って作成されたテキストを中心としたサイトが主軸となっていた時代です。
ユーザーは企業や個人が開設したホームページを訪問し、コンテンツを閲覧します。
しかし、ユーザー自らアクションを起こすことはできなかったため、コミュニケーションはホームページ運営者からの一方通行だったのです。
Web2.0になると、動画サイトやSNSなどが普及し、ユーザーは情報を見るだけでなく、コメントやメッセージという形で自ら情報を発信できる
ようになりました。
これにより双方向のコミュニケーションが可能になりましたが、動画サイトやSNSを提供する企業にデータや個人情報などが集約するため、
プライバシーやセキュリティが課題となっていました。
そのようなWeb1.0、Web2.0の課題を解決するために誕生したのが「Web3.0」です。
Web3.0は特定の企業や管理者に依存せず、データを管理したり、個人間で送金を行ったりすることが可能になりました。
Web3.0なら、特定の企業や管理者に権利や利益を独占される心配がなく、中央集権型インターネットからの脱却を実現しています。
|Web3.0とブロックチェーン技術の関係性
ブロックチェーン技術とは、ネットワーク上にある端末同士を直接接続し、暗号技術を用いて分散的に処理・記録するデータベース技術のことです。
データがブロックと呼ばれる単位で管理されており、ブロック同士を鎖(チェーン)のように繋げて管理する仕組みになっています。
ブロックには、直前のブロックを元に算出されたハッシュ値が書き込まれており、互いに整合性が取れる状態になっています。
仮に第三者が過去のデータを改ざんしようとした場合、ハッシュ値の整合性が取れなくなるため、データ改ざんを速やかに検知し、
対処することが可能です。
また、ブロックチェーン技術ではすべての取引データを複数の端末が管理し、適宜同期を行うことで情報を共有します。
特定の企業や管理者を置かないWeb3.0では、こうした仕組みを採り入れたブロックチェーン技術が必要不可欠となっています。
ブロックチェーン技術については、【ブロックチェーンとは?】基礎知識と特徴、活用事例を徹底解説!も参考にしてください。
|Web3.0の特徴
Web3.0の主な特徴やメリットを5つのポイントに分けて解説します。
|仲介組織なしで通信できる
Web3.0では、サーバーを介さず、ユーザーの端末同士を直接接続するP2P(ピア・ツー・ピア)という通信方式を採用しています。
Web2.0以前は、特定の企業が提供するサーバーを介するクライアント・サーバー方式によって、企業とユーザー間はデータのやり取りを
行っていました。
クライアント・サーバー方式の場合、当該サーバーがサイバー攻撃を受けたり、アクセスが集中してサーバーがダウンしたりすると、
セキュリティ面や通信障害などの問題が発生するのです。
Web3.0なら、特定のサーバーを介さずにネットワーク通信を行えるため、セキュリティや通信の安定性が向上します。
|セキュリティの向上
従来の中央集権型インターネットでは、サービスを利用するために、サーバーを運営する特定の企業に個人情報を登録する必要がありました。
そのため、運営主体がサイバー攻撃を受けると、預けた個人情報が外部に漏洩したり、内部のデータが改ざんされたりするおそれがあります。
個人情報の漏洩に関してはサイバー攻撃を受けたときだけでなく、運営主体のミス(パソコンの紛失・置き忘れや誤作動など)によって発生する
可能性もあります。
一方、Web3.0の場合、ネットワーク上の取引情報はすべてのユーザーが分散して保持しており、ハッシュ値による改ざんチェックが可能です。
ハッシュ値の仕組みにより、誰かがデータを改ざんしようとすると他のユーザーが持つデータとの整合性が取れなくなるため、不正はすぐに
検知されてしまいます。
いわば、ユーザーが相互に監視している状況のため、ひとつのサーバーですべてのデータを管理している中央集権型インターネットと比べると、
セキュリティ面の向上を期待できます。
|グローバル市場の確立
Web2.0以前では、サービスを提供する特定の企業に権利が集中しているため、国や地域によってサービスが分散される傾向にありました。
また、企業によって情報の検閲が行われたり、一定のルールの下、アカウントが凍結されたりすることも珍しくありません。
Web3.0は特定の企業や管理者によらない非中央集権型のインターネットなので、その企業がある国や地域に縛られず、世界中のユーザーと
コミュニケーションを取ることができます。
その代表例がメタバースで、コンピュータの中に構築された仮想空間で世界中の人々と交流し、仮想通貨でやり取りするビジネスが成立する
こともあります。
Web3.0を活用すれば、狭い範囲ではなく、世界中を相手にしたグローバル市場を確立しやすくなるのです。
|サービスが安定する
インターネットサーバーは、アクセスが集中すると処理しきれず、通信が遅延したり、サーバーがダウンしたりすることがあります。
サーバーがダウンすると、一切データにアクセスできなくなるため、日常やビジネスに大きな支障を来す原因となります。
サーバーダウンの原因はアクセス集中だけでなく、第三者からのサイバー攻撃や、システム移行時の不具合なども要因となるため、
リスクは総じて高めです。
Web3.0なら、サーバーを介さずにユーザー同士で直接つながって通信できるため、ひとつのサーバーにアクセスが集中してダウンする心配は
ほとんどありません。
サイバー攻撃やシステムの不具合などのリスクも分散されるぶん、通信の安定性や通信速度の向上なども期待できるところが利点です。
|データの所有権がユーザーにある
Web2.0までの中央集権型インターネットでは、データの所有権はサーバーの管理者である企業や管理者が保有しています。
サービス提供者が所有するデータを削除してしまった場合、ユーザーはそのデータを二度と取得できなくなり、不利益を被る可能性があります。
ユーザー全員がデータを保持するWeb3.0なら、特定の管理者が勝手にデータ全体を削除することはできないので、データの消失リスクを軽減する
ことが可能です。
|Web3.0の現状課題
従来の中央集権型インターネットに比べて多数のメリットがあるWeb3.0ですが、一方でいくつかの課題も抱えています。
ここではWeb3.0が現状で抱えている主な課題を3つご紹介します。
|利用するまでのハードルが高い
Web2.0までに用いられていた技術は比較的難易度が低く、インターネットやWebに関する知識がさほどない初心者でも気軽に利用できました。
しかし、Web3.0はブロックチェーン技術や、仮想通貨をはじめとする暗号資産などの新しい概念を採り入れているため、使用するには相応の知識や
技術が必要となります。
専用のソフトやツール、Web3.0に適したハードの導入などが必要になるのはもちろん、インターネットやWebに精通した人材の確保も不可欠です。
十分な環境が整わないままWeb3.0に移行しようとすると、現場に混乱を招いたり、思わぬリスクを被ったりする可能性があります。
|トラブルは自己責任となる
従来の中央集権型インターネットでは、企業が特定の管理者となり、サービスに関するさまざまなサポートを提供しています。
例えば、IDやパスワードを忘れた場合は運営会社に連絡して再発行が可能です。また、サービスに関してわからないことがあったり、
トラブルが発生したりしたときは、問い合わせればアドバイスや支援を受けられます。
一方、Web3.0は特定の管理者を置かないぶん、何かあったときはすべて自分で解決しなければなりません。
わからないことがあれば自分で調べる必要がありますし、トラブルがあったときは個人で対処することになります。
特に注意したいのは仮想通貨を巡るトラブルで、詐欺をはじめとする犯罪行為が横行する可能性も指摘されています。
Web3.0は、従来の方法に比べるとセキュリティ性の高い仕組みを採用していますが、トラブルが発生するリスクはゼロではなく、
ユーザー側の自己防衛は必要不可欠です。
Web3.0はWeb2.0以前に比べるとまだ歴史が浅い新しい概念なので、トラブルの対処法や自衛法の事例も少なく、自己解決の手段を確立しにくいのも
注意点のひとつです。
|法的な整備が行われていない
日本はマウントゴックス事件やコインチェック事件などを受け、世界に先駆けて暗号資産に関する利用者保護を含む法規制を導入した国として
知られています。
しかし、Web3.0に関する規制は現時点で不十分といわざるを得ず、暗号資産の該当性の解釈指針策定が急務とされています。
暗号資産の該当性とは、ブロックチェーン上で発行されるデジタルアイテムやコンテンツなどのうち、同種のものが複数存在するものについて、
それが暗号資産にあたるかどうかを明確化することです。
また、暗号資産を活用したWeb3.0関連サービスを事業とする企業が暗号資産交換業に該当するかどうかも、現時点では不明瞭なままです。
さらに、税制の問題もあります。現行の税制では暗号資産を時価評価し、評価損益は課税の対象となります。
税負担の重さから、Web3.0関連事業の国内での起業はハードルが高くなっており、スタートアップしにくい環境になっているのも大きな課題です。
政府はこれらの課題について議論を開始していますが、いつ法整備が実施されるのかの見通しがついていないのが実状です。
|Web3.0に関するトレンド技術
Web3.0に関する技術は複数ありますが、ここでは特に注目度の高いトレンド技術を3つご紹介します。
|NFT(非代替性トークン)
NFTとは、Non-Fungible Tokenの頭文字を取った略称で、日本語では非代替性トークンと呼ばれています。
従来のデジタルアイテムやコンテンツは、比較的容易に改ざんやコピーを行えるため、実物のような資産価値はないとみなされていました。
しかし、ブロックチェーン技術を採り入れたWeb3.0により、唯一無二の価値を付与することが可能になりました。
NFTによってデジタルアイテム、コンテンツは価値を持つ資産となり、新たなビジネスの確立を実現しています。
実際、NFTを取引できる国内企業も複数あり、今後の市場拡大も期待されています。
|DeFi(分散型金融)
DeFiとは、Decentralized Financeの略称で、日本語では分散型金融を意味します。
ブロックチェーン技術を使って構築された分散型の金融サービスで、特定の銀行を介さずにサービスを利用できます。
DeFiの特徴は、お金の引き出しや振込などを行う際の手間やコストを大幅にカットできるところです。
従来の金融サービスでは、特定の管理者である銀行がお金や取引の情報を管理しており、ユーザーがお金を引き出したり、
振り込んだりするときには所定の手数料を支払う必要がありました。
また、銀行という仲介業者を間に挟むぶん、余計な工数が増えてしまい、場合によってはタイムラグの原因になります。
Web3.0を採り入れたDeFiなら、ユーザー同士が直接取引を行えるため、工数や手数料を節約することが可能です。
近年は銀行サービスだけでなく、DeFi保険と呼ばれる保険サービスも流通し始めています。
|DAO(分散型自律組織)
DAOとは、Decentralized Autonomous Organizationの略称で、日本語では分散型自律組織を意味します。
ブロックチェーン上で共同所有・管理する自律した組織のことで、独自のルールを設定し、運営していきます。
従来の組織ではトップ(意思決定者)が存在し、上層部から下層部へ、トップダウンで指示が出される仕組みが一般的でした。
一方、DAOはブロックチェーンの性質上、特定の意思決定者は存在せず、組織を構成するメンバーの投票によって意思決定が行われます。
また、インターネット上で構築される組織なので、国や地域などの垣根にとらわれず、インターネット環境下であれば誰でも自由に
参加できるのが特徴です。
メンバーはお互いに会社で顔を合わせることはありませんが、ブロックチェーンを活用することにより相互監視を行うことが可能で、
不正や改ざんのない透明性の高い運営が可能です。
|まとめ:Web3.0は新しい価値を創造する分散型インターネット
Web3.0は、従来のWeb1.0やWeb2.0とは異なるまったく新しい概念を採用した分散型インターネットです。
ブロックチェーン技術を活用することで、セキュリティ性が高く、かつ安定した通信サービスを利用できる仕組みになっています。
また、特定の企業や管理者を介さず、ユーザー同士が直接接続することで、取引にかかる手間とコストを大幅に省けるところもメリットのひとつです。
一方で、利用までのハードルが高いことやトラブルを自己責任で解決する必要がある、法整備が整っていないなど、簡単に導入できない点が
現状の課題となっています。
特に導入面に関しては、相応の知識や経験が求められますので、実績のある業者にサポートを依頼した方がよいでしょう。
弊社VNEXTは、日本におけるソフトウェア受託開発で15年以上の実績があり、長年培ったノウハウにより、お客様のニーズに沿った
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