VNEXTの会社紹介資料
2024/03/04
日本国内でのシステム開発の契約形態は、請負型が主流ですが、オフショア開発ではそれ加えて、「ラボ型」が注目されています。
ラボ型開発とは、「一定の開発期間にわたり、社外にエンジニアチームを構築して開発を委託する開発形態」のことです。
本記事では、ラボ型開発の特徴やメリット・デメリット、請負型開発との違いなどについて解説していきます。
目次
|ラボ型開発とは?
ラボ型開発とは、一定の開発期間にわたり、社外にエンジニアチームを構築して開発を委託する開発形態のことです。
別名「ラボ契約」「ODC(オフショア開発センター)契約」とも呼ばれます。
一般的には、委託先の企業と3ヶ月~1年間といった中長期の契約を結び、その間チームのエンジニアは、依頼元の企業の案件のみを扱います。
つまり、社外に自社専属の開発チームを持つということです。
契約の形態としては、「準委任契約」(民法第656条)に該当します。
準委任契約の場合、「契約期間中に決められた業務を行うこと」だけを約束するもので、「仕事を完成させること」「成果物が依頼元の満足する結果を出すこと」は求められません。(ただし、契約書にその旨記載した場合はまた別です)
そのため、「案件が継続的に発生するが、自社内では人的リソースが足りない」という場合などに、その不足を補うため、優秀なエンジニア集団を外部に一定期間確保できる方法として利用されています。
また、委託側の指示のもとに開発業務を行うため契約期間中であれば、プロジェクトの進捗状況に応じて開発内容を変更することも可能です。
|ラボ型開発のチーム体制
ラボ型開発では、社外に自社専属のチームを構築し、開発を進めていきます。そのため、チーム体制や指示系統は下図のようになるのが一般的です。
ラボ型開発を請け負う企業では、エンジニアチームを編成するとともに、チームを取りまとめるPMやブリッジSEをアサインします。
このチームは、契約期間中は委託側専属なので「社内の開発チームと同様のチームが社外にある」とイメージしてください。
ですので委託側は、ラボのブリッジSEに対して、自社のPMに出すような作業指示を出して開発を進めることになります。
|請負型開発との違い
開発を外注する場合、特にオフショア開発では主に「ラボ型開発」と「請負型開発」の2種類の契約形態があります。
そこで、どちらの方法を選べばいいか判断できるように、ラボ型開発と請負型開発の特徴を比較しておきましょう。案件の内容・費用・期間などの条件ごとに、どちらが適しているかが異なります。
委託側の目的や責任の所在、開発体制などそれぞれ特徴がありますが、おおまかにまとめると下記のケースが向いているといえるでしょう。
ラボ型開発:リソース不足、システムの要件や仕様は、開発しながら詰めていきたい
請負型開発:システムの要件や仕様は決まっているため、それを納期までに完成してほしい
|ラボ型開発が注目されている理由
ラボ型開発が注目されている理由は、主に以下の2点が挙げられます。
― 継続的なIT人材の確保ができる
―スモールスタートでオフショア開発を導入できる
オフショア開発を導入する目的として「IT人材の確保」と「コスト削減」がありますが、特に、日本のIT人材は既に不足しており、経済産業書のレポートによると、2030年までに40~80万人のITエンジニアが不足するとされています。
このような背景から、日本のIT人材は需要が高まっており、優秀な人材であるほどエンジニア単価も年々増加しています。
ラボ型開発は、自社の社員として雇用するのではなく、一定期間のみエンジニアチームを組む方法から、コスト面も含め上記の課題を解決する手段として注目されています。
また、案件の予算でみた場合、請負型は「500〜1,000万円」の規模での開発が多いですが、ラボ型は月ごとの予算が設定されているケースが一般的で「50〜100万円」の開発規模が大半を占めています*。*当社調べ
このように、まずはラボ型でスモールスタートし、軌道にのったら規模を大きくするなど、グロースしていく環境にあることも注目されている理由となっています。
|ラボ型開発のメリット
ここからは、ラボ型開発のメリットとデメリットについて解説していきます。
まず、ラボ型開発のメリットは以下の5つが挙げられます。
― 一定期間、優秀なエンジニアを確保できる
― 開発コストを抑えられる
― 仕様変更や修正が柔軟にできる
― 開発のノウハウを蓄積できる
― コミュニケーションが円滑にとれる
それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
|一定期間、優秀なエンジニアを確保できる
ラボ型開発の特長であり、1番のメリットといえるのは「長期間にわたって優秀なエンジニアチームを確保できる」ことです。
請負型の場合、こちらが希望する納期までの間、優秀な人材を確保できるとは限りません。
発注先の企業が並行して請け負っている他社の案件にも、リソースを割かなければならないからです。
特に、PL以上の人材は、優秀であるほど他社からのアサイン希望も集中しがちです。
こちらが「前回のプロジェクトでリーダーを務めてくれた〇〇さんに、またお願いしたい」と申し出ても、すでに他社案件に携わっていた、というケースもあり得ます。
一方ラボ型であれば、契約期間中のエンジニアチームは委託側の専属になります。
基本的に、途中でメンバーが抜けたり変わったりすることはありません。そのため、優秀なメンバーを長期間確保し、情報やノウハウを共有しながら開発を進めることができます。
|開発コストを抑えられる
ラボ型開発は「エンジニアの人数 × 期間」での契約のため、期間中は仕様変更や修正を依頼しても、原則的に追加費用は発生しません。
請負型であれば、新たに見積もりをし直して加費用が発生することもよくあるので、ラボ型の方が低コストで自由な開発が進められるといえるでしょう。
また、オフショア開発のラボ型であれば、国内エンジニアと比較すると安いため、国内エンジニアを雇用するよりも、採用にかかるコストを軽減できます。システム開発における人件費は、一般的に全体のコストの7割を超えるとも言われるため、人件費を抑えることは開発コストの大幅カットにつながるというわけです。
|仕様変更や修正が柔軟にできる
請負型開発が案件やプロジェクトごとの契約であるのに対して、ラボ型開発は「エンジニアの人数 × 期間」での契約です。
契約期間中であれば、そのチームは依頼元の指示に沿って作業を行います。
そのため、開発途中で仕様を変更したり、修正が必要になったりした場合でも、新たに見積もりを取り直すことなく、基本的には契約時の費用の範囲内で柔軟に対応してもらうことができます。
もし、契約時には要件も仕様も明確に決まっていない状態であっても「開発しながらシステムの内容を詰めていく」という方法も可能です。
|開発のノウハウを蓄積できる
ラボ型開発では、長期間同じメンバーのチームで開発に携わるため、委託側と受注側の間で共通の開発ノウハウが蓄積されていきます。
そのため、徐々に開発スピードやクオリティが上がっていくことが期待できます。
一方、プロジェクトごとに新たなチームを組む請負型では、その度に一から認識のすり合わせをしなければなりません。
それが必要ない分、ラボ型の方が工数や時間を大幅にカットできるといえるでしょう。
|コミュニケーションが円滑にとれる
また、チームが固定化することでコミュニケーションも円滑になります。同じメンバーで継続的に作業していると、共通の経験値が積まれていきます。
これは、チームのメンバー間にも、委託側と受注側との関係にも言えることで、長期間にわたって何件かの案件をこなしていくうちに、お互いの認識も近づき、話が通るのも早くなります。
その結果、開発スピードやクオリティの向上が期待できるでしょう。
|ラボ型開発のデメリット
多くのメリットがあるラボ型開発ですが、その反面デメリットも存在します。ラボ型で契約をする際は、デメリットもきちんと把握しておきましょう。
ラボ型開発のデメリットは、主に以下の3つが挙げられます。
― チームビルディングの時間が必要
― 発注が少ないと費用対効果が低くなりやすい
― 発注元のマネジメントが必要になる
|チームビルディングの時間が必要
まず、チームを立ち上げるに際して一定の準備期間がかかります。
数ヶ月から1年間という中~長期間にわたって自社案件を専属で任せるため、ただ人を集めてすぐに開発にかかってもらうというわけにはいきません。
最初に、チームメンバーを選定する必要があります。
自社の希望するスキルを持っている人材を見極めて、チームを編成しますが、開発会社によっては依頼元が自由に選べないケースもあるので、こちらの要望を聞いてくれるところを探しましょう。
チームメンバーが決まったら、指示系統の確立や、依頼元独自の開発プロセスやノウハウのレクチャーなど、社内でプロジェクトを立ち上げる際と同様の準備が必要です。
そのため、ラボ型開発を依頼する際には、この準備期間も見込んでおかなければなりません。
|発注が少ないと費用対効果が低くなりやすい
ラボ型開発は、一定期間中に専属チームを確保する契約形式のため、契約期間中は人材のリソースを無駄にしないよう、一定量の仕事を発注する必要があります。
もし契約期間中に、チームに依頼する案件がなかったとしても、「その分だけ費用を割り引いてほしい」というわけにはいきません。
期間中に依頼した案件が1件でも10件でも、基本的には費用は変わらないのです。
そのため、発注する案件が少なければ、ラボ型のコストパフォーマンスは低く、個別に請負型で契約した方が費用総額が抑えられるケースも出てきてしまいます。
「継続して常に案件が発生する」「常に人員不足である」という状態であれば、ラボ型はコストパフォーマンスが高いといえますが、そうでなければ請負型も検討してみる必要があるでしょう。
|発注元(委託側)のマネジメントが必要になる
ラボ型と請負型では「受注側(発注先)が何をするか」が異なります。
請負型では、開発会社が組んだチームに対して、受注側は要件定義書や仕様書を渡して発注し、その後の開発はチームに任せます。
一方、ラボ型の場合は、発注元(委託側)の担当者がチームに対して指示を出したり、各段階でチェックをするなど、自社内での開発と同様のマネジメントが必要です。
専属チームを抱えることのメリットとともに、そのマネジメント負荷が発生するというデメリットも覚悟しておく必要があります。
|ラボ型開発が向いているケース
ラボ型開発のメリットとデメリットを把握したところで、具体的にどのようなケースにラボ型が向いているのかを解説していきます。
|定期的に発注する案件がある場合
まず、前述のように「定期的に発注したい案件が発生する場合」は、ラボ型が向いています。
「開発案件が途切れないのに、人員はつねに不足している」という状況で、もし請負型開発を外注すると想定してみましょう。
1件ごとに依頼先を選定して、依頼内容を説明し、見積もりをとって契約書を交わさなければなりません。
それに対してラボ型なら、上記の手順は1回で済むので、依頼元の時間や手間、ストレスは少なく抑えられるでしょう。
|仕様変更や修正が予想される場合
ラボ型開発は、仕様変更や修正が柔軟にできることが特長です。
そのため、「仕様の変更や修正が予想される場合」もラボ型がおすすめです。
契約期間内であれば、追加費用が発生せずに対応してもらえるためです。
請負型に比べてコストが抑えられるのはもちろん、長期間同じチームで作業することで開発ノウハウを共有できるため、こちらの指示に対する理解も早く、柔軟で適切な作業が期待できるでしょう。
|既存のアプリやサービスを運用・改修する場合
ラボ型開発は、「既存のアプリ・サービスの運用・改修」にも適しています。
既存のWebサービスやアプリには、日々の運用に加えて機能改善や改修、仕様変更など膨大な作業が不可欠です。
しかし、新たに人材を採用したり外注したりするのはコストがかかります。そこでオフショアのラボ型契約を結ぶことで、国内よりも安い人件費で優秀な人材を確保しやすくなるのです。
チームへ既存のWebサービスやアプリに必要な改修作業、運用作業の負担を依頼すれば、それまでかかっていた負担も減らせます。
|アジャイル型開発の場合
請負型は「ウォーターフォール型」向けであるのに対し、ラボ型は「アジャイル型開発」にも適しています。
ウォーターフォール型開発とは、開発の最初の段階で要件や仕様を詳しく決めて、すべてが完成してからシステムをリリースする手法です。
一方で、アジャイル型開発は、要件や仕様はざっくりと決めるだけで開発をスタートし、短期間で設計、リリース、テストを繰り返しながら改修、改善を進めていく手法です。
アジャイル型は、作業途中の変更や改修を前提としているため、変更の度に新たに見積をとったりチーム体制を変更したりする必要がないラボ型開発とは好相性です。
|ラボ型開発を依頼する方法と注意点
ラボ型開発を依頼する際は、以下の点に注意する必要があります。
|委託する開発会社の実績は十分か
大前提として、開発会社側に十分な実績や経験があるかといった点を十分に確認することが大切です。こちらが依頼したい開発案件のジャンルと、開発会社側が得意としている開発案件のジャンルのすり合わせもしっかり行いましょう。
また、オフショア開発会社といっても、ラボ型開発を行っていない会社もあるため、合わせてこの部分も確認しましょう。
|コミュニケーション体制を確認する
システム開発を成功させるためには、チームと密にコミュニケーションをとることが大切です。
特に、ラボ型開発は海外に専属チームを持つことになるため、「どのような経路でやり取りを行うのか」「どれぐらいの頻度でミーティングやフィードバックを行えるのか」というコミュニケーションルートは事前にしっかり確認しておく必要があります。
|契約書を作成する
当たり前のことになりますが、どのような契約を結ぶ時でも、必ず「契約書」を作成してください。
特に、海外の企業と交渉する場合は、契約書を作成しないと「言った言わない問題」に発展してしまう可能性があります。いざというときに証拠となるものを準備しましょう。
|開発で揉めそうな点は、あらかじめ明確に規定する
開発工程の中で起きる問題に対する責任の所在に関しては、両社が納得する形を取らないといけません。
契約してから揉めてしまうと、開発業務の遅れや最悪の場合打ち切りにつながる可能性もあるので、しっかりと話し合い必ず書面で残しておきましょう。
|ラボ型開発サービス資料の紹介
ラボ型開発の概要やVNEXTのラボ型開発サービス、開発事例を掲載した資料をご用意しております。
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|まとめ:それぞれの特徴を掴んで、効果的なオフショア開発契約を結ぼう
ここまで、ラボ型開発の概要やメリット・デメリット、請負型開発との違いについてご紹介しました。
「ラボ型」と「請負型」双方の特徴を掴んで、自社にとってどの契約がベストなのかを判断しましょう。
日本でのシステム開発といえば、「請負開発」という文化が根強く残っています。
そんな日本のクライアントの要望に応えるようにVNEXTでは様々な開発手法をとっています。
たとえば、お客様の課題とニーズに合わせ、ベースのシステム開発を「請負型」で行うことで集中的に開発を行い、リリース後の運用を「ラボ型」にすることでコストを抑えるなど柔軟に対応しております。
案件や要望に対して、多様なスタイルで開発型を提案することがVNEXTの強みでもあります。
>> VNEXTのラボ型開発サービスの詳細はこちら
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