VNEXTの会社紹介資料
2024/03/04
近年は、さまざまな分野でAIが積極的に活用され始めており、AIへの注目度も高まっています。
その中でも、人間の感情を読み取ることができる「感情認識AI」に大きな注目が集まっているのをご存知でしょうか。
本記事では、感情認識AIの基礎知識から種類や仕組み、活用事例などについて解説していきます。
目次
|感情認識AIとは?
まず、感情認識(感情分析)とは、人間の感情や気持ちの変化、表情などを読み取る技術です。
そして、顔の表情や声、文章などから感情を分析するAIを「感情認識AI」と言います。
人間の様々な感情(喜び、悲しみ、怒りなど)をAI自身が認識できるため、日本のみならず全世界で注目されています。
これまで、人間の感情を把握・分析するのは、およそ人間にしかできないものだと考えられていました。
しかし、近年はAIの技術が発展したことによって、人間の感情をも分析できるようになりました。そのため、機械も人間の感情や気持ちを汲み取った上で、個別対応が可能になってきているのです。
このようなAIの技術は、接客が必要となるサービス業やマーケティングなどにおいて特に重宝されるものとして、期待が寄せられています。
|感情認識AIが注目されている理由
人間の感情を読み取ることは、コンピューターには不可能であると思われてきました。
しかし、インターネット技術やAI分野が急速に進歩したことで、感情分析に必要なデータを大量に幅広く収集できるようになり、高精度なディープラーニング技術の発展とともに感情認識が実現可能になりました。
コールセンターでの通話分析や、オペレーター支援でのテキストマイニングツールでの会話内容でのネガティブワードの抽出による音声分析の感情認識技術が導入されたことをきっかけとして、その後多くの分野で活用されています。
今後さらに技術発展していけば、感情認識AIを医療分野への活用もできるのではと注目されています。
たとえば、うつ病やPTSDなど病気の診断が定量的に難しいメンタルヘルスの支援活用や、日常生活のストレスや体調判断にも役立つかもしれません。また、自動運転などの移動支援や、働き方改革支援にも利用が進められています。
このように、今後の活躍の幅の広さの期待から注目が集まっています。
|感情認識AIの種類と仕組み
現在の感情認識AIには、主に「文章」「声」「表情」「生体データ」という4つの種類が存在します。
― 文章の感情認識AI
― 音声の感情認識AI
― 表情の感情認識AI
― 生体データの感情認識AI
これら4つの感情認識AIの仕組みについて、詳しく見ていきましょう。
|「文章の感情認識AI」の仕組み
文章(テキスト)による感情分析においては、人間が入力した文章をAIが自然言語処理によって読み取り、分析することで感情を判断します。
単語や表現、言葉遣いを分析し、そこから文章を入力した人の感情が分かる仕組みになっています。
同じ物事を伝える場合でも、一人ひとり文章には少しずつ違いが生まれます。
そのため、文章に含まれている単語を分析したり、言葉遣いや表現を分析したりすることによって、その文章を入力した人間の怒りや悲しみ、喜びといった感情を判定可能です。
感情認識AIを活用したチャットボットは、多くのウェブサイトで既に導入されています。
判別可能な感情は、サービスによって異なり、大まかな分類でスピーディ、かつ大量に判別できるものもあれば、細かい感情まで認識できるものもあります。基本的な判定基準を学習させておくことで、AIが自動で日々データを蓄積させていきます。これによって、精度を高めることができるのです。
|「音声の感情認識AI」の仕組み
音声(声)による感情分析は、日本語や英語といった特定の言語に依存せず、「声の抑揚」や「声の大きさ」といった物理的特徴量をAIが分析することによって、感情を認識するという仕組みです。
人間のコミュニケーションでは、文字面だけでは読み取れない感情があります。
音声によって人間の感情を判定できるようになれば、声だけでコミュニケーションを図る必要があるコールセンターでも、ユーザーがどのような感情なのかを知ることができます。また、オペレーター側のストレスチェックなどにも活用することも可能です。
|「表情の感情認識AI」の仕組み
表情による感情分析においては、人間が普段のコミュニケーションで行っているものと同じように、顔の表情から相手の感情を読み取ることができるというものです。
その仕組みとしては、細かな動きの変化を捉えられるカメラを用いて、視線や瞳孔の大きさなどを読み取り、人の感情を推測するというもので、顔認証技術の応用とも言えるでしょう。
この表情による感情分析は、単純な喜怒哀楽だけを読み取るわけではありません。
たとえば、ある商品を見せられたときに本心から興味を示しているのか、それともあまり興味を示していないのか、といった微妙な違いを判定します。
ディープラーニングによって判定の精度が向上すれば、本人さえも気づかないような小さな心の動きも認識できるようになるでしょう。
「表情の感情認識AI」の代表例としては、Microsoftが提供している「azure Face api」が挙げられます。
このサービスでは、画像に含まれている人の顔を検出したり、認識したり、分析したりすることができる AI アルゴリズムが提供されています。そのため、AIの開発経験がない企業でも、手軽にAIを導入することが可能です。
|「生体データの感情認識AI」の仕組み
生体データによる感情分析は、生体情報、脳波、心拍数、バイタルといったデータをもとに、人の感情を認識していくという仕組みです。
表情の感情認識AIと同じように、カメラやサーモカメラを用いることによって、脈拍(心拍数)や皮膚の温度、放熱量などを収集できます。
最近では、専用の眼鏡やリストバンド、パッチといったウェアラブルデバイスを活用するケースも多くなりました。これらを用いて収集されたデータを解析することで、感情認識へとつなげていきます。
表情の感情認識AIは、カメラの視野内にいるときしか感情認識を実行できません。また、音声の感情認識AIも、人が音声を発したときにしか感情を認識できないという欠点があります。その点、生体データの感情認識AIは、ウェアラブルデバイスを装着していれば簡単にデータを収集できるため、さまざまな業態、働き方に対応できるのです。
|AIによる感情分析のメリット
AIの感情分析を導入するメリットとしては、次のようなものが挙げられます。
― 顧客満足度の向上
― 市場トレンド・自社情報を収集できる
― 従業員のストレス軽減
それぞれのメリットについて解説していきます。
|顧客満足度の向上
感情認識AIを活用することで、やり取りする顧客の満足度を向上が期待できます。
たとえば、電話対応において、顧客の感情を読み取ることが難しい場合があります。そういった際でも、AIは電話越しでは認識しにくい感情の機敏を察知できます。
顧客がどれくらいストレスを感じているのかを読み取り、状況を改善する対策を打つことも可能です。電話対応に慣れていない新入社員でも、適切な接客を実施でき、結果的に顧客満足度の向上に繋がります。
|市場トレンド・自社情報を収集できる
SNSでのつぶやきや掲示板での会話を感情認識AIで分析して、最新の市場トレンドや自社・競合に関する正確な情報分析が可能です。
たとえば、自社の商品やサービスに対する正確なフィードバックを、リアルタイムに低コストで収集できます。ネガティブなフィードバックに対しては、早期で炎上対策を打つことが必要でしょう。
同じ仕組みを使えば、競合企業の商品やサービスに関する分析も行えるため、マーケティングにも活用できます。これから流行する可能性の高い商品やサービスを見つけたり、競合他社に先んじて新規事業の開拓もできるでしょう。
あわせて、競合他社の評価も収集することで、「業界内での自社のポジションを明確にできる」「他社の優れた事例を参考にできる」など、幅広いマーケティング戦略設計を具体化可能です。
|従業員のストレス軽減
AIによる感情分析を活用することで、従業員のストレスを軽減することもできるでしょう。
AIを使って従業員の声から感情を推測し、ストレス度を判定して適切に対処できるようになります。落ち込んでいるか、怒っているか、イライラしているかなど、感情の変化をしっかりと読み取ります。
ストレス軽減の対策を早めに行うことで、離職率の低下につなげることもできます。
顧客だけでなく、従業員に対しても感情分析を行うことが有効です。ストレスを把握し、的確なメンタルケアを実施する必要があります。
|感情認識AIの活用事例
感情認識AIの仕組みや種類について分かったところで、それらは具体的にどのような場所で活用されているのでしょうか?
ここからは、感情認識AIの活用事例について詳しく紹介していきます。
|コールセンター
感情認識AIの代表的な導入先として挙げられるのが、コールセンターです。
コールセンターでは日常的にオペレーターと顧客の会話が発生します。その会話の中で、イントネーションやアクセント、声の高さなどをAIに分析させ、定量化することで、顧客の現在の満足度をオペレーターが把握できるようになります。
もちろん、オペレーター側の声も分析できるため、管理者がオペレーターのストレス度をチェックしたい場合などにも有効といえるでしょう。コールセンターの中には、感情的になった顧客の冷静さを取り戻すように促すなどの対応が必要な窓口も存在します。そのような顧客を対応する場合、オペレーター自身にストレスが蓄積されてしまうケースも少なくありません。
そのため、自動応答を可能にするチャットボットに優秀な感情認識AIが備われば、チャットボットが顧客の気持ちを汲み取りながら「感情的になった人間を落ち着かせる」という役割を担えるようになる可能性もあるでしょう。
|マーケティング
感情認識AIは、マーケティングなどのビジネスシーンにも適しています。
何かしらの商品・サービスを販売する場合、購入に至る最終決定はあくまでも顧客自身の手に委ねられているため、マーケティング担当者は販売促進しか行うことができません。
しかし、感情認識AIを活用すれば、商品に対して顧客がどのような感情を抱いているのか、より明確に知ることができるようになります。そのデータをマーケティングに活用すれば、販売促進の精度改善につなげていくことも可能になります。
感情認識AIを活用する場合には、顧客の感情が反映されるデータを準備しなくてはならないため、コールセンターの通話記録やサイト上のユーザーレビューなど、分析のために必要となるデータが必要となります。
しかし、これらのデータを用意できれば、感情認識AIはすぐに活用できるようになり、よりビジネス上の意思決定も効果的に行えるようになるでしょう。
|社内の雰囲気向上
AIの感情認識は、社内の雰囲気向上にも活用できます。
ある事例では、社内環境の可視化を行う目的で、社員のストレスレベルや笑顔レベルを計測する用途で感情認識AIを導入し、感情の数字が点数化されることで社内の雰囲気が可視化しました。
そして、このデータを活用し、離職対策や社内雰囲気の活性化を図れるようになったのです。
ストレスチェックなどを社内アンケートで実施する企業は多いですが、従業員にとっては、アンケート自体が面倒だったり、正直に回答することで評価に影響が出るのではないかという精神的負担があります。
音声や表情による感情認識AIを用いれば、アンケートより性格なデータが取得でき、従業員のストレス管理や社内の雰囲気を分析し、さまざまな対策ができるようになるでしょう。
|毎日のストレス管理
最近では、感情認識AIの活用によって毎日のストレス管理が行えるサービスも提供され始めています。
その代表例ともいえるのが、株式会社Empathが開発・提供している「Empath」というサービスです。
Empathは、音声などの物理的な特徴量を収集し、独自のアルゴリズムによって気分の状態を判定していくプログラムです。蓄積された数万人の音声データを活用することで、喜怒哀楽や気分の浮き沈みを判定します。
喜怒哀楽、気分の浮き沈みといった判定は、メンタルヘルスケアにおいて非常に価値のあるデータです。そのため、声の状態から、毎日のストレス管理という目的でも多く利用されています。
感情解析によって精神状態の測定結果を出すことで、ストレスチェックやメンタルトレーニングにつなげられる点は、企業の「働きやすい環境の実現」という目的を達成する上でも大きな価値があるでしょう。
|感情認識AIが及ぼす影響
今後、感情認識AIは精度がもっと上がる可能性があります。
現在AIが認識できる感情は「喜び」「悲しみ」など単一的な感情であることが多いですが、ここに長期的な気分の波やメンタルの様子などを記録できると、よりその人にあった活用ができるようになるかもしれません。
ただし、感情認識AIが使われるためにはまだ課題があります。
それは生体データや取得した個人情報によるプライバシーの保護や、それにともなう法律の整備などが必要なためです。この整備には、まだまだ時間がかかることが予想されます。
それでも、さらに感情認識AIが使われる幅が広がる可能性があります。
たとえば、コミュニケーションの取り方や、自分自身を見つめ直す機会など、ビジネス以外の場面でも使われるかもしれません。
感情認識AIが発展していけば、新たなる活用方法が見いだせるようになるでしょう。
|まとめ
感情認識AIとは、人間の感情を読み解くことができるAIのことです。
AIが発達している昨今、今後も益々発達が期待できる感情認識AIは、ビジネスに良い影響をもたらす存在として様々な場所で活用する様子が増えてきました。
もし、感情認識AIに興味があり「今後自社ビジネスへの活用を検討している」という方は、無料で使える感情認識AIがありますので、ぜひ試してみるのをおすすめします。
きっと、「感情認識AIとは何か?」の具体的な理解が深まるはずです。
弊社VNEXTでは、AIの開発だけでなく、研究開発(R&D)も行っています。
感情認識AIのエンジンも開発していますが、貴社の目的にあった感情分析AIをカスタマイズすることも可能です。
自社に感情認識AIの導入を考えている方は、一度VNEXTにご相談ください!
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