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【物流DXとは】物流業界が抱える課題や物流DXの現状、DX取り組み事例

2023/12/04

今後の物流業界を変革する手段として「物流DX」が注目されています。

 

現在の物流業界は、労働力不足の顕在化やコロナ禍の影響などの社会情勢、2024年問題への対策といった背景から、よりDX推進の取り組みが

急務となっています。

 

本記事では、物流DXの概要物流業界が抱える課題物流DXの取り組み事例などついて解説します。

 

 目次 

● 物流DXとは?

 ▶︎ 社会実装に向けた国土交通省の物流DX事例

● 物流業界が抱える課題

 ▶︎ 人手不足の顕在化

 ▶︎ 小口配送の増加に伴う業務の非効率化

 ▶︎ 低賃金・長時間労働による従業員への負担

 ▶︎ SDGsへの対応

 ▶︎ 2024年問題への対処

● 物流DXの現状

● 物流DX推進に必要な取り組み

 ▶︎ 物流のデジタル化

 ▶︎ 物流の自動化・機械化

● 物流DXの取り組み事例

 ▶︎ 倉庫のデジタル化

 ▶︎ 倉庫の自動化・機械化

 ▶︎ 配送のデジタル化

 ▶︎ 配送の自動化・機械化

● まとめ

● 物流DXならVNEXT

 

|物流DXとは? 

物流DXとは、国土交通省の『最近の物流政策について』において「機械化・デジタル化を通じて物流のこれまでのあり方を変革すること」と定義

しています。

 

簡潔に言うと、IT技術を活用してサプライチェーン全体の変革を行うことです。

 

国土交通省では、具体例として下記の2つの目標を提唱しています。

◆ 既存のオペレーション改善・働き方改革を実現

◆ 物流システムの規格化などを通じ、物流産業のビジネスモデルそのものを革新

 

また、同資料の中では物流DXを推進する手段として「物流分野のデジタル化」「物流の自動化・機械化」を挙げており、これらを相互に連携させる

ことで情報やコストが可視化され、業務プロセスが標準化されるとしています。

 

 

|社会実装に向けた国土交通省の物流DX事例 

上記の国土交通省が掲げる物流DXの2つの目標達成に向け、過疎地域を対象に取り組まれている事例をご紹介します。

 

※長崎県五島市で検討中のドローン配送イメージ(出典:国土交通・最近の物流政策について)

 

長崎県五島市の離島では、本土と島の港同士を船で1日3往復することで生活物資を配送し、島の港から車の往復で配送先へ届けています。

 

しかし、人口減の影響などにより将来的な船舶の減便による生活物資を配送する手段の確保が必要となる可能性があり、物資の受け取りのための

負荷の軽減も課題となっています。

 

そこで国土交通省は、本土から離島の集落まで直接ドローン配送をする事業の実装に取り組んでいます。

この取り組みにより、既存オペレーションの改善が期待されています。

 

|物流業界が抱える課題 

物流業界には、以前から労働力の不足や従業員の負担過多などの課題がありましが、コロナ禍で社会情勢が大きく変化したことにより、より旧来の

課題が深刻化しています。

 

|人手不足の顕在化 

厚生労働省が2021年に実施した『労働力経済動向調査』においても、物流業界における労働力不足が深刻化していることが言及されています。

※労働力不足の割合を示したグラフ(出典::厚生労働省・労働力経済動向調査)

 

また、全日本トラック協会が行った『トラック運送業界の景況感』に関するアンケートに、約7割の企業がドライバー不足と回答しており、

市場が順調に拡大する一方で、労働力不足による配達員への負担増が大きな問題になっています。

 

原因としては、EC市場の成長による物流の多頻度化少子高齢化による業界全体として働き手不足が挙げられます。

 

|小口配送の増加に伴う業務の非効率化 

全国の運送業者が扱う営業用トラックの積載効率は約40%まで低下しています。

これは輸送効率の指標の1つで、トラックの荷室の半分以上が空になっており、非効率な状態になっていることを示しています。

 

旧来の物流業界は、BtoBの大口配送をメインに効率化を測ってきましたが、amazonや楽天などの台頭により、EC市場のBtoCやCtoCの小口配送が

増加しています。そのため、効率の前にスピードと即時性が重視されるようになっています。

 

また、コロナ渦によりオンラインショップの利用増加に伴い、小口配送の需要はさらに高まり、非効率化の改善が課題となっています。

 

|低賃金・長時間労働による従業員への負担 

上記で述べたように、近年は荷室の積載率(輸送効率)より配達までの時間を優先しています。

 

少ない荷物を高頻度で輸配送することで、荷主からの運賃は下げざるを得ず、低賃金・長時間労働による従業員への負担は増加する一方です。

 

結果的に、きつい仕事なのに給料は安いという状況が生まれ、若年層の労働力確保が困難となり、業界全体の高齢化が加速しています。

 

|SDGsへの対応 

SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略称で、日本語に直訳すると「持続可能な開発目標」という意味を表します。

 

SDGsには2030年までに達成すべき17の目標が掲げられており、これらは2015年に開催された国連サミットにおいて採択されました。

 

17の目標のうち「地球環境の保護」において、物流業界は環境への配慮が必須となっています。

 

具体的には、CO2の削減やカーボンニュートラルなどクリーンな物流を可能にする取り組みが必要になります。

 

特に、環境負荷が大きいのはトラック輸送です。

日本の物流を支えるトラック輸送ですが、未来に向けた取り組みとして、環境に配慮した車両(電気自動車や天然ガス車)の導入という方法があります。

 

ただし、導入費用のインパクトが大きいため、全体の99%を中小企業が担うトラック運送業にとって一斉に導入を進めることは現実的ではありません。

 

そのため、トラックの荷室積載率向上による輸送回数の削減や、鉄道や船舶へのモーダルシフトといった物流を広域に捉えた取り組みが必要です。

 

|2024年問題への対処 

「2024年問題」とは、2024年から自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限が960時間に設定され、トラックドライバーの働き方が変わることで

生じるさまざまな問題のことです。

 

ドライバーの長時間労働を見直すことを目的としていますが、ドライバー1人当たりの走行距離が短くなることにより、企業の利益減少やドライバーの

収入減少、送料の値上げなどの問題が懸念されています。

 

新たな労働力確保のためには、働く環境の整備が必要です。

これまで述べた課題も含め、業務の効率化を主軸とした対策が急務であり、その手段として「物流のDX化」への取り組みが注目されています。

 

|物流DXの現状 

IPAが2023年2月に発表した『DX白書2023』によると、業種別のDX取組状況の調査において、運輸業・郵便業で「DXを実施している」と回答した

企業は16.9%でした。

 

金融業は25.2%、情報サービスを含むサービス業は24.1%となっており、他業界と比較しても低い数字と言えます。

 

一方で、「2019年から実施している」と回答した企業が1.8%だったのに対し、「2020年から実施している」と回答した企業は3.0%でした。

 

全体的な割合は少ないものの、年々物流業界でもDXへ取り組む企業が増加していることがわかります。

 

|物流DX推進に必要な取り組み 

物流DXを推進するために、どのような取り組みが必要になるのでしょうか?国土交通省が推奨している2つの取り組みをご紹介します。

 

|物流のデジタル化 

※SIPスマート物流サービス(出典:国土交通・最近の物流政策について)

 

国土交通省は、物流のサプライチェーン全体を最適化し、「モノの動き(物流)」「商品情報(商流)」のデータを活用した新しい産業や

付加価値の創出を目的とした「SIPスマート物流サービス」の構築を積極的に取り組んでいます。

 

また、サプライチェーン上のさまざまな業種が持つ物流・商流データを見える化し、個社・業界の垣根を越えてデータを蓄積・解析・共有する

「物流・商流データ基盤」を構築することで、ビジネスモデルに大きな変革をもたらせます。

 

|物流の自動化・機械化 

※物流分野における新技術の活用(出典:国土交通・最近の物流政策について)

 

近年は物流業界においても、AIIoTなどの最新技術を活用した物流の自動化・機械化が進んでいます。

 

国土交通省では、With/Afterコロナ時代における新しい生活様式に対応した非接触・非対面型の物流システムの構築や物流の生産性の向上のため、

この流れをさらに加速させることが必要だと言及しています。

 

具体的には、AIによる行動提案で船員をサポートする自動運航船や、後続車無人システムを活用したトラックの隊列走行の実証実験を実施しています。

 

また、無人搬送機やドローンによる荷物配送など機会化する取り組みも行われており、システムやロボットによる従来のオペレーションの改善や

働き方の改革が期待されています。

 

|物流DXの取り組み事例 

日本国内の物流業界でも既に「物流DX」に取り組んでいる企業があります。

ここでは、上述の「デジタル化」「自動化・機械化」を行っている取り組み事例をご紹介します。

 

|倉庫のデジタル化 

◆ 株式会社シーエックスカーゴ 

倉庫業・トラック運送業である株式会社シーエックスカーゴでは、物流容器在庫管理システムで複数拠点の混在パレットを一元管理しています。

 

同社では、全国の在庫保管センター間輸送や出荷時などに使用するパレットの複数種類が混在し、管理システムも一つではないため、パレットの

効率化や管理負荷の軽減が必要となっていました。

 

そこで、クラウド型の物流容器在庫管理システム「epal」を導入し、複数拠点に存在する複数種のパレットの一元管理をすることで、パレットの

在庫管理の負担を低減することに成功しています。

 

◆ 三菱商事株式会社 

BtoB向けのサービス提供をしている三菱商事株式会社は、倉庫への一括問合せから入出荷管理までできる倉庫利用サービスを導入。

 

従来は、倉庫利用者にとって利用せずとも倉庫保管の固定費が発生し、コスト削減や委託先倉庫の価格評価が課題であり、倉庫提供者も空きスペースや

遊休スペースの収益化が課題でした。

 

そこで、利用者と提供者の倉庫需給を最適化するべく、シェアリング型倉庫利用サービス「WareX」を運用することで、倉庫検索・従量課金・設備や

人の手配が不要で、顧客の倉庫利用をサポートしています。

 

「WareX」が倉庫提供者と利用者をつなぐプラットフォームとなることで、利用の手間解消やコスト削減といった利用者のニーズと遊休資産活用という

提供者のニーズを合致させ、物流産業全体の活性化につながっています。

 

|倉庫の自動化・機械化 

◆ トランコム株式会社 

物流センター構築運営サービスや輸送マッチング・配送サービスを事業としているトランコム株式会社では、次世代物流センターで保管・ケース

ピッキング業務の自動化に取り組んでいます。

 

同社では、長時間労働や重筋作業の改善が課題となっていました。

 

そこで、物流センター構築運営サービスの一環として、有軌道無人搬送台車(RGV)を用いた自動倉庫・搬送ロボット(AGV/AGF)・ピッキング

ロボットなど、さまざまな先進技術を組み合わせた次世代型物流施設(自動化)の取り組みを推進しています。

 

この取り組みの効果として、空間の有効活用・既設倉庫へ適用可能・BCP対応ができ、従来より1/3のコストで大幅な省人化を実現しています。

 

|配送のデジタル化 

◆ 湯浅運輸株式会社 

物流事業を行っている湯浅運輸株式会社は、輸送業務のデジタル化によりペーパーレス化と事務員の業務効率化を実現しています。

 

傭車台数増加に伴いアナログ管理に限界がきており、諸業務の省力化・効率化と事務員の負担軽減、またコンプライアンス強化が必要な状況でした。

 

そこで、輸送業務支援ソリューション「SSCV-Smart」の導入で運行指示書などの輸送業務をデジタル化することで、ペーパーレス化と業務効率化に

よる事務員の負担軽減を実現。

 

運行指示書は改善基準告示に準拠し、トラックが休憩可能な場所を考慮した運行ルートと運行計画の作成ができるようになりました。

 

これにより、ケアレスミスやそれによるコンプライアンス違反を防ぐとともに事務員の負担を軽減、受発注業務・見積書発行等の諸業務についても、

SSCV-Smartの中で業務が完結することにより、書類整理の時間削減とペーパレス化を図ることができています。

 

◆ 山九株式会社 

物流・機工・メンテナンスを行う山九株式会社では、AI-OCRの導入で点検記録などの手入力業務をデジタル化して省力化を進めています。

 

同社は、業務に関わる多種多様な手書き紙帳票(作業日報や請求書、点検記録等)の手入力にかかる業務時間の削減が引続きの課題でした。

 

そこで、読みにくい手書き文字も自動で読み取って手入力作業を省力化できる「AI-OCR」を導入したことで、手書き帳票類を精度高く自動で

読み取ることができるようになり、入力にかかる業務時間の削減、残業を伴う担当者負荷の軽減が実現しました。

 

▶︎あわせて読みたい:【OCRとは】文字をデジタル化して業務効率化!〜AI-OCRについても解説〜

 

|配送の自動化・機械化 

◆ 山梨県小菅村 

山梨県小菅村では、ドローン配送による新スマート物流「SkyHub」の社会実装を進めています。

 

そして、2021年11月1日より、オンデマンド配送サービス専門コンビニ「SkyHub Store」と地域が連携した買物・配送代行サービス「SkyHub Delivery」が

定期的なサービスとして開始しました。

 

住民は買い物に村から片道約40分かけて市街地のスーパーへ行かなければならない一方で、物流業界にとってもEC化率が進み個宅配送が増加する中、

非効率な輸送により採算が取りづらい過疎地域への配送効率化は物流各社共通の課題でした。

 

この課題を解決すべく、荷物を搭載時も未搭載時も重心を一定に保つ技術「4D GRAVITY」を採用したドローンによる配送サービスである「新スマート

物流SkyHub」をセイノーホールディングスとエアロネクストが小菅村の協力を得て共同開発。

 

小菅村への荷物を物流各社共同でまとめて運び、村内に新設の「ドローンデポ」に集約後、村内の8つの集落へ、陸路、ドローン配送、貨客混載など

さまざまな方法を組み合わせて配送するサービスを始めました。

 

このサービスは、「物流の効率化」と「地域住民の生活の質」の両方の向上を図る新たな物流の仕組みにもなっています。

 

|まとめ:物流DXは物流業界に変革をもたらす!

物流DXとは、「機械化・デジタル化を通じて物流のこれまでのあり方を変革すること」と定義され、つまり「IT技術を活用してサプライチェーン全体の

変革を行うこと」です。

 

現在の物流業界は、労働力不足の顕在化やコロナ禍の影響、2024年問題といった社会情勢などの背景からよりDX推進の取り組みが急務となっています。

 

物流DXは、システム導入=課題解決ではありません

たとえば、自社が抱える課題を洗い出し、解決策としてシステム導入があったとすると、システムを導入して属人化した業務を誰もが行えるようにする

ことが目的となります。

 

ノウハウやプロセスを標準化し、DXについて正しく理解をした上で、サプライチェーン全体で取り組みを共有することが大切になります。

 

|物流DXならVNEXT 

弊社VNEXTでは、レガシーシステムからのマイグレーションやAI・IoTなどの先端技術を活用し、オペレーション改善や業務効率化を実現するなど、

物流DX支援をしております。

 

たとえば、物流業界で業務負担となっているものを以下のようにDX化ができます。

 

・荷物の仕分:AI-OCRで宅配先、荷物の種類などを検知・データ化

・点呼業務に時間がかかる:点呼結果をクラウドで一括管理

・トラック運送業界のマッチング:求貨求車ニーズをマッチング

・トラックドライバーの交通ルール遵守状況を見える化:AIで運転状況をスコアリング

・配車管理のデジタル化

・トラック予約システムの導入

・AIを活用したオペレーションの効率化 など

 

2024年問題の対策に困っている、自社の業務フローをDX化したいなど、さまざまな課題やお悩みがあるかと思います。

 

物流DXを検討されている方は、一度お気軽にVNEXTまでお問い合わせください!

▶︎ お問い合わせ:https://vnext.co.jp/contact.html?view=contact