VNEXTの会社紹介資料
2023/08/18
昨今、Webサービスやアプリケーションなどの開発において、新たな手法として広まっているのが「ノーコード(no-code)」や
「ローコード(low-code)」と呼ばれている開発手法です。
これらは、一言で説明すると「プログラミングが得意でなくても、開発できる環境」のことです。
急速に発展するDXにおいても、ノーコード・ローコード開発は注目されています。
本記事では、ノーコード・ローコードの基礎知識から注目されている理由、それぞれのメリット・デメリットなどを解説していきます。
目次
|ノーコード・ローコードとは?
ノーコードやローコードに含まれる「コード」は、コンピューターで処理する内容を記述した「ソースコード」を指しています。
通常、Webサービスやアプリケーション、システムなどは、プログラミング言語でソースコードを記述(コーディング)して開発を行います。
一方、ローコードやノーコードは、ツールやプラットフォームを活用して、ソースコードの記述量を抑えて開発することができ、この手法を使った開発を
「ローコード開発」「ノーコード開発」呼びます。
以下では、ノーコード・ローコードの概要とそれぞれの違いを解説していきます。
|ノーコードとは?
ノーコードとは、ソースコードを記述することなく、Webサービスやアプリケーション、システムが開発できるものです。
ローコードとは違い、プログラミングに関する専門知識がなくても、開発を行えることが特徴です。
利用するツールは最初からテンプレートや機能が決まっており、ドラッグ&ドロップやマウスクリックなどの簡単な操作や文字入力をして、
画面上で操作が完結する「GUI(Graphical User Interface)」で直感的に開発を進めることができます。
その反面、最初からテンプレートや使える機能が決まっているため、それ以上の機能拡張はできず、ローコードと比べ柔軟性は低いです。
そのため、ノーコードは小規模なアプリケーションや、単一機能のシンプルなアプリケーション開発に向いています。
|ローコードとは?
ローコードとは、従来のようにゼロからプログラミングを行うよりも、少ないソースコードで開発ができるものです。
ローコードは、再利用可能なAPIや高い拡張性を持ったアーキテクチャを利用することで、機能を拡張することができます。
また、オンプレミス環境やクラウド環境にデプロイできる柔軟性を持っており、外部のソフトウェアと統合することもできるため、
広範囲なアプリケーション開発に活用できます。
プログラミングに関する一定の専門知識が必要となりますが、ノーコードよりも開発の自由度が高いのが特徴です。
|ノーコード・ローコードが注目されている理由
近年、IT系の展示会などで、多くの企業が「ノーコード」「ローコード」を掲げているのを目にしたことがある人もいるのではないでしょうか?
ノーコード・ローコードが注目されている理由は、以下の4つが挙げられます。
・DXの急速な発展
・IT人材不足
・求められる内製化
・クラウドサービスの普及
|DXの急速な発展
世界中でDXが発展していることが、ノーコード・ローコード開発が注目されている理由のひとつです。
Global Informationの市場調査レポートによると、DXの市場規模は年々拡大し、2022年の5,945億米ドルから、2027年には1兆5,489億米ドルに達すると
予測されています。
DXの発展にはITシステムの活用が不可欠ですが、システム開発には膨大な時間を要します。
ノーコード・ローコード開発では、そもそもゼロからソースコードを記述しなくてもいいため、開発期間の短縮にもなります。
結果として、ノーコード・ローコードツールを活用して、DXを進める企業が増えてきているのです。
|IT人材不足
現在、日本では深刻なIT人材不足が課題となっています。
そのため、非IT人材でも使いやすく、開発を進められるノーコード・ローコード開発が注目を集めています。
経済産業省が2021年に発表した「我が国におけるIT人材の動向」によると、日本ではIT人材がIT企業に勤める割合が高く、IT業界以外にIT人材が少ない
状況にあることがわかります。
また、みずほ情報総研株式会社が行った「IT 人材需給に関する調査」で、IT人材は2030年に最大で79万人不足すると試算されています。
IT人材がいない企業はIT企業に開発業務を外注せざるを得ない状況にあり、これによってますますITリテラシーの差が生まれることとなります。
このような状況では、システム開発が滞ってしまうため、業務効率化や社会の利便性向上に必要な施策を行えず、その対策としてノーコード・
ローコードツールを活用し、開発をする企業が増えてきました。
|求められる内製化
DXの活発化やIT人材不足と関連し、近年はシステム開発・運用の内製化を検討する企業が増えつつあります。
これは、経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」の "2025年の崖" がきっかけになっています。
2025年には21位年以上にわたってレガシーシステムを運用している企業が6割に達し、年間最大12兆円の経済損失が生じるシナリオが示されました。
これを「2025年の崖」と呼んでいます。
国内企業がDXを推進して国際市場で競争力を高めていくこと、そして「2025年の崖」というシナリオを回避するためには、レガシーシステムからの
脱却が不可欠です。
しかし、多くの国内企業はシステム開発や運用などのIT業務を委託している状況です。
このような状況では、レガシーシステムから脱却し、DXを推進していくことが困難になってしまうため、徐々に国内企業はシステム開発・運用を
内製化する方向になっているのです。
そして、システム開発・運用の内製化を実現するためのソリューションとして、ノーコード・ローコード開発への注目度が高まっています。
|クラウドサービスの普及
クラウドサービスが浸透したことも、ノーコード・ローコードが注目を集める理由です。
従来、システム導入といえば、自社サーバーで構築・運用を行うオンプレミス型が主流でしたが、近年はインターネットを介して利用するクラウド型の
システムが普及しています。
インターネットの普及が進み、クラウドサービスがオンプレミスと同等以上に浸透し、多くのクラウドサービスが受け入れられるようになりました。
結果として、企業としては、クラウドサービスであるノーコード・ローコードツールを受け入れる環境が整ったことで、これらを活用し開発する企業が
増えてきました。
|ノーコード・ローコードのメリット
ここまでは、ノーコード・ローコードの基礎知識と注目される理由を解説してきました。以下からは、それぞれのメリットを紹介します。
|ノーコードのメリット
・専門知識不要、誰でも開発に携われる
ノーコードの最大のメリットは、専門知識が無くても開発を行える点です。
ノーコード開発は、システム開発に必須のソースコードを書く必要がありません。
そのため、プログラミング言語のスキルを持たない人でも、ツールを活用することで業務に必要なアプリケーションを構築できます。
また、プログラム開発に特化した専門チームを構成せずにすむこともメリットです。
・開発スピードが早い
通常、システム開発を行う際は、以下の流れが一般的です。
・現場担当者:必要な機能に関する要件をまとめる
・システムエンジニア:要件定義やシステムの設計を行う
・プログラマー:コーディング作業を行い、実装していく
一方、ノーコードであればコーディングの必要がなく、専門知識を持たない現場担当者でも開発を進めることができるため、従来よりもスピーディーに
開発を進めることができます。
そして、工数削減にもなるので、開発コストを抑えることも期待できます。
・ツール内での機能の拡張が簡単
ノーコード開発の自由度は高くないものの、用意された範囲内であれば機能の拡張が簡単にできます。
あらかじめ用意されている機能であれば、アプリケーションを完成させた後でも拡張でき、完成してから拡張する際の操作方法も簡単です。
ただし、用意されていない機能については柔軟な拡張はできないという点は留意しましょう。
|ローコードのメリット
・汎用性と拡張性が高い
ローコードツールの多くは、簡素なコード記述でプログラム構築できます。
また、ノーコードツールと違いコーディングが可能なので、ユーザー裁量で自由な機能を実装することが可能です。
・利用目的が限定的ではない
ローコードツールは、上述のように、必須機能をユーザー側裁量で実装可能です。
プログラミングによって実現できるものであれば、拡張性を利用すれば、用途についても限定されません。
・既存システムとの連携が可能
優れた柔軟性があり、異なるソフトウェアやシステムとの連携が可能であることも、ローコードのメリットです。
オンプレミスやクラウド環境にもデプロイでき、外部のソフトウェアの統合にも活用可能で、社内の既存システムと連携するシステムの構築が可能です。
また、ローコードで作成したシステムから既存ツールへ自動的に通知する連携も可能なので、幅広い用途を持ち、広範囲な開発をしたい場合であっても
利用できます。
|ノーコード・ローコードのデメリット
それぞれメリットはあるものの、デメリットも存在します。次は、ノーコード・ローコードのデメリットを紹介します。
|ノーコードのデメリット
・自由度や拡張性が低い
ノーコード開発の最大のデメリットは、自由度や拡張性の低さです。
通常の開発であれば、コードを追加することによってさまざまな機能をアプリケーションに実装できます。
しかし、ノーコード開発が可能なツールはコーディングが不要になる分、使える機能やテンプレートが最初から決まっています。
ツールによって、はじめから提供されているもの以上には、機能が拡張できません。
・大規模開発に向いていない
ノーコードは、上述のとおり、あらかじめ機能やテンプレートが決まっているため、提供されている機能以上のものは作れません。
そのため、大規模なシステムで要求されることの多い複雑な機能は実現できないことが多いです。
また、小規模な開発であっても、作りたいアプリケーションの機能が利用可能かどうかの確認が必要です。
開発に適したツールかどうかを選定する時間がかかることも注意しましょう。
|ローコードのデメリット
・通常のプログラミングと比較すると自由度が低い
ローコードで開発すると、通常のコーディングが必要な方法と比べ、自由度は低いです。
ノーコードよりは拡張性が高いものの、開発ツールが提供するパーツやコード入力可能範囲の中でしかプログラミングできないためです。
また、セキュリティ管理がプラットフォーム依存になってしまうことが多いことにも注意が必要です。
・一定のプログラミング知識が必要
ローコード開発は、システム開発のハードルを下げられる手段ではあるものの、ノーコードと違って最低限のコーディングを行う必要があります。
そのため、一定のプログラミング知識がないと開発ができません。
|DXを加速するノーコード・ローコード
ノーコード・ローコード開発は、DXを推進するための手段としても大きな期待が寄せられています。
DXを実現する上で重要なポイントは、主に以下の2つが挙げられます。
・システム、アプリケーション開発の迅速化と導入の迅速化
・上記を実現するためのシステム内製化
日本企業の場合、システムやアプリケーションなどの開発業務は、社内リソース不足や開発ノウハウがないといった理由で、
外注することが多い傾向にあります。
しかし、外注の場合、自社のビジネスを詳細に把握しているわけではないため、「要件を事細かく伝える必要がある」「修正や機能の追加が
必要な時に迅速に対応できない」など、スピード面で課題が生じやすいデメリットがあります。
そこで、ノーコード・ローコードが注目される理由で説明したように、内製化をしたいという企業が増えてきました。
自社開発であれば、ユーザー部門のニーズも把握しやすく、また改修する必要が生じた際にも外注の場合より迅速な対応が可能になります。
この内製化に踏み切るためには、開発に必要なスキルを持ったIT人材が必要になります。
しかし、これまで開発業務を外注していた企業は、内部に開発できる人材がいないという問題に直面しています。
その課題を解決できる手段のひとつが、ノーコード・ローコード開発というわけです。
ソースコードを書く必要がない、あるいは最小限の記述でシステムやアプリケーションを開発できるノーコード・ローコード開発であれば、
学習コストを抑えて開発ができる人材を育成することが可能になります。
また、DXにおけるノーコード・ローコードはアジャイル開発との相性もいいです。
アジャイル開発とは、計画/設計/開発/テストのプロセスを何度も反復し、試行錯誤しながらシステムやアプリケーションを開発していく手法です。
DXではユーザーニーズやビジネス環境の変化に迅速に対応することが求められるため、プロジェクトの途中で仕様が変更されても柔軟に対応ができる
アジャイル開発に注目が集まっています。
このように、ノーコード・ローコード開発はDXを実現するための手段として、導入が進んでいます。
|ノーコード・ローコードツールを選ぶ際のポイント
以下では、ノーコード・ローコードツールを選ぶ際のポイントを3つ紹介します。
|用途や機能が自社のプロダクトに合っているか
ノーコード・ローコードツールは、各ツールによって開発に適した分野が異なります。
導入する際は、開発目的を明確にして必要な機能を洗い出し、自社の目的と用途にあったツールを選ぶようにすることが重要です。
|セキュリティポリシーが自社と合っているか
ノーコード・ローコードツールで開発したシステムのセキュリティポリシーは、利用するプラットフォームのポリシーに従うことになります。
そのため、自社ポリシーに準拠しているプラットフォームを選ぶ必要があります。
|モバイル端末に対応した開発が行えるか
スマートフォンやタブレットなど、モバイル端末に対応した開発が可能かどうかも、ツールの選定時にチェックしておきたいポイントのひとつです。
近年では、スマートフォンやタブレットを利用するユーザーがほとんどです。
Webサービスや EC サイトなど、ユーザーニーズからの利用用途を考慮した場合、スマートフォンなどのモバイル端末の対応は、もはや必須と言っても
過言ではありません。
|おすすめのノーコード・ローコードツール
最後に、導入を検討したいノーコード・ローコードツールを厳選してご紹介します。
|ノーコード・ローコードツール
・Salesforce Platform
Salesforceとは、セールスフォース・ドットコム社が提供する、全世界で15万社以上の企業が導入している統合CRMプラットフォームです。
ノーコード・ローコードで簡単にアプリケーションを開発できるのはもちろん、CRMデータやその他のデータ活用から接続されたシステム全体の
自動化まで実現可能です。
顧客の要望に応じた業務アプリケーションを自由に開発できるため、顧客満足度の向上や業務効率化にも効果的です。
・SAP Build
SAP Buildは、SAP社が提供するノーコード・ローコードツールです。
アプリケーション構築の「SAP Build Apps」、プロセス自動化の「SAP Build Process Automation」、ビジネスサイトのデザイン機能となる
「SAP Build Work Zone」の3つで構成されており、目的によって使い分けができることが特徴です。
中でも、「SAP Build Apps」はWEB アプリケーションやiOS / Android等のアプリケーションを作成することができるサービスです。
GUIベースでデータ項目・ボタン・アイコンなどをドラッグ&ドロップで配置し、直感的にアプリケーションを作成することができます。
|ノーコードツール
・AppSheet
AppSheetは、Google社が提供するノーコードツールです。
主な機能として、テキストはもちろん、位置情報、図形、バーコードスキャンなど、さまざまな種類のデータを収集できます。
データ収集はオンラインでも、オフラインでも可能です。
また、Google AIと組み合わせた業務プロセスの自動化や、過去のアプリデータを利用した学習も利用できます。
対応デバイスも、パソコン、モバイル、タブレットそれぞれが利用可能です。
・ASTERIA Warp
ASTERIA Warpは、アステリア株式会社が提供する『誰でも、もっと ASTERIA Warp』をコンセプトにした、専門的な技術がなくても利用できる
ノーコードツールです。
Excelをはじめ、G Suite、Salesforce、kintone、Twitterなど100種類以上の豊富な接続先により簡単・柔軟な連携が可能です。
複数システムへのデータ入力作業や受発注処理業務、Excelデータの更新作業など、現場の定型作業を自動化することで作業コストを削減が期待できます。
|ローコードツール
・Power Platform
Power Platformとは、Power AppsやPower BIなどMicrosoft社が提供しているアプリケーションの総称で、業務フローの改善やチャットボットの導入、
ビジネス状況を正確に可視化するなどさまざまな用途があります。
Power Platformは5つのサービスで構成されており、「Power Apps」と「Power Pages」はローコード開発ができるアプリケーションです。
・Power Apps:実用的なビジネスアプリケーションを開発するサービス
・Power Pages:Webサイト作成サービス
これらは、テンプレートが豊富に用意されており、ドラッグ&ドロップの簡単操作でアプリケーション構築が可能です。
Microsoft 製品を導入している企業であれば、既存システムと同様の感覚で使用・導入できるためおすすめです。
・kintone
kintone は、サイボウズ株式会社が提供するローコードツールです。
サンプルアプリが100種類以上あるため、社内で必要となる様々な業務システムを自社で制作が可能な、業務改善向けのツールとなっています。
テンプレートを利用すれば、必要なカスタマイズを行うだけの直感的な操作が可能です。
また、日本語対応なので英語などの壁がないためチーム単位での活用もできます。
|まとめ
〜 DX化が必須となる現代だからこそ、ノーコード・ローコードが重要視されている 〜
現代において、システム開発の方法は多様化しており、技術者以外でも開発に携わることが求められています。
しかし、プログラミング開発は複雑で、専門の技術者でなければ対応できないことが、従来では一般的でした。
今回ご紹介した、ノーコード・ローコード開発であれば、専門的知識が少なくても開発に携わることが可能になるため、DX化が求められる現代では
導入すべき開発手法と言っても過言ではないでしょう。
ただし、ノーコード・ローコードツールは通常の開発手法より自由度や柔軟性がないことは注意すべき点です。
選ぶツールによっては希望している機能を全て実装できない可能性もあるため、開発する目的と要件を明確にし、ノーコード・ローコード開発で
実現できるものなのかを見定める必要があります。
本記事でノーコード・ローコードの基礎知識やそれぞれのメリット・デメリットなどを把握し、目的に合わせて最適なノーコード・ローコードツールを
検討してみましょう。
|VNEXTはノーコード・ローコード開発にも対応
ノーコード・ローコードは、内製化のために活用する手段と解説してきましたが、実際のところノーコード・ローコード開発を外注する企業も
少なくありません。
弊社VNEXTでは、ノーコード・ローコード開発にも対応しており、受注数も多いです。
理由としては、「業務分析を専門家の視点から行ってほしい」や「内製化したいが慣れるまでは伴走してほしい」といった課題があるからです。
他にも、システム開発自体を外注する際に「開発期間を短縮したい」という要望から、案件に合ったノーコード・ローコードツールを利用して
開発することもあります。
VNEXTでは、大規模システムに応じたノーコード・ローコードプラットフォームにも対応しています。
・SAP Build
・OutSystems
・Mendix など
ノーコード・ローコード開発を検討されている方、お困りの方はぜひ一度VNEXTにご相談ください!
▶︎ お問い合わせはこちら:https://vnext.co.jp/contact.html?view=contact
▶︎ ノーコード・ローコード開発の詳細: https://vnext.co.jp/service-nocode-lowcode
また、VNEXTの「ラボ型開発」は上述で挙げた「アジャイル開発」にフィットしたプランです。
詳しくはこちら:
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