VNEXTの会社紹介資料
2023/12/14
DX推進が叫ばれる中、「2025年の崖」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?
「2025年の崖」とは、経済産業省がDXレポートで提示したキーワードで、2025年以降に予想されている膨大な経済損失に関する問題のことを指します。
本記事では、DX推進に大きな影響を与えるとされる2025年の崖について、起こり得る問題とともに、乗り越えるための対策方法について解説します。
目次
|2025年の崖とは?
2025年の崖とは、経済産業省が2018年9月に発表した『DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~』に記された言葉です。
昨今、あらゆる産業においてデジタル技術を活用したビジネスの推進が求められている一方、複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムを
使用している企業も多数存在します。
そして、企業がDXを推進していくためには、データ活用のために既存システムが抱える課題を解決していくことが求められています。
また、IT人材の不足が2025年までに約43万人にまで拡大すること、多くの企業で利用されているERPの代表的ソリューション「SAP」の標準保守期限が
2025年末で終了(その後、2027年末まで延長)することなど、2025年までに解決すべき課題が山積している現状を指摘しています。
この状況を改善できず、DXが進まないと国際競争力を失う問題を指しており、2025年以降に大きな経済損失が発生すると予測されることから、警鐘を
鳴らす意味を込めて「2025年の崖」と呼んでいます。
|2025年の崖による損失
DXレポートでは、2025年の崖により毎年最大で12兆円の損失が日本国内で生じ得ると予測しました。
独立行政法人情報処理推進機構のまとめによると、2014年の日本国内のシステム障害による損失額は4.96兆円でした。
また、日経BP社「日経コンピュータ 2017.8.3」によると、2010年代のシステムダウンの原因別割合において、レガシーシステムに起因して起きたものは
合計79.6%とされています。
この4.96兆円×79.6%から、レガシーシステムに起因したシステム障害による経済損失は年間約4兆円に上ると推定されます。
また、日本情報システム・ユーザー協会の「企業IT動向調査報告書2016」によると、 企業が21以上前から同じ基幹系システム(業務に直接関わるシステ
ム)を利用している割合は20%、11年から20年間利用している企業の割合は40%となっています。
この状態のまま10年後の2025年を迎えた場合、基幹系システムが21年以上稼働しつづけている企業の割合は60% に達すると予測されています。
年間4兆円の損失とレガシーシステムの割合を掛け合わせることで、年間最大損失12兆円という数字は算出されています。
引用:DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~(経済産業省)
|DXが急務となっている理由
なぜ、こんなにもDX推進が叫ばれているのでしょうか?
今起きている市場の変化のキーポイントとなるのが、以下の3つです。
・IoT等を通じて活用できるデータが爆発的に増加ししている
・AI、クラウド、マイクロサービスやクラウドを活用したアジャイルアプリケーション開発の台頭
・ブロックチェーン、AR/VR 等データを扱う新たなデジタル技術の活用
あらゆる産業において、これらの新たなデジタル技術を活用して、これまでにないビジネス・モデルを展開する新規参入者が登場し、デジタル・ディスラ
プションと呼ばれるゲームチェンジが起きつつあります。
このような環境において、各企業は「競争力維持・強化」のために、DX をスピーディーに進めていくことが急務となっているのです。
DX を実行するにあたっては、新たなデジタル技術を活用して、どのようにビジネスを変革していくかの経営戦略そのものが不可欠です。
しかし、DX の必要性に対する認識は高まり、そのための組織を立ち上げる等の動きはあるものの、
「ビジネスをどのように変革していくか」
「そのためにどのようなデータをどのように活用するか」
「どのようなデジタル技術をどう活用すべきか」
について、具体的な方向性を模索している企業が多いのが実情です。
日本でDXに取組んでいる企業の割合は2021年度調査の55.8%から2022年度調査は69.3%に増加、2022年度調査の米国の77.9%に近づいており、
この1年でDXに取組む企業の割合は増加しています。
ただし、全社戦略に基づいて取組んでいる割合は米国が68.1%に対して日本が54.2%となっており、全社横断での組織的な取組として、さらに進めて
いく必要があります。
|2025年の崖での課題
経済産業省が警鐘を鳴らす「2025年の崖」が示す、現状の課題は下記の6つが挙げられます。
― ITシステムの老朽化
― 新しい技術に対応できない
― IT人材不足・システム維持管理費の高騰
― サイバーセキュリティ等リスクの高まり
― 各種システムのサポート終了
― IT市場の急速な変化
それぞれについて詳しく解説していきます。
|ITシステムの老朽化
ITシステムの導入には大きな初期投資が必要となるため、業務に大きな変更がなければ既存のITシステムを長く使い続ける傾向が見受けられます。
しかし、時間が経てば経つほどシステムの老朽化は進み「レガシーシステム」となります。
レガシーシステムとは、長年にわたり使用されてきた古いままのシステムのことを指します。
技術面の老朽化、システムの肥大化・複雑化、ブラックボックス化などの問題があり、その結果として経営・事業戦略上の足かせ、高コスト構造の
原因となっています。
DXの推進には、社内外の環境変化にスピーディ対応することができることが必要である一方、日本企業のITシステムには「レガシーシステム」が多く
存在しており、大きな課題の一つといわれています。
|新しい技術に対応できない
既存システムの問題点を解消せずに放置した場合、新しい技術が出てきたとしても、既存システムに取り入れることができません。
その場合、市場の変化に対してスピーディかつ柔軟に対応したビジネス・モデルの変更を行うことができず、企業はデジタル競争に負けてしまう
可能性があります。
|IT人材不足・システム維持管理費の高騰
かつて大規模なシステム開発を行ってきた人材の多くが定年退職を迎えており、属人的なノウハウの多くが社内から失われ、システムのブラック
ボックス化を加速させています。
2025年にはIT人材不足問題が深刻化し、先進の技術を学んだ若い人材を老朽化・複雑化したシステムのメンテナンスを担わせようとしても、能力が
活かしきれません。
さらに、既存システムの維持管理費が高額化することで、IT予算の9割以上を占めると予想されています。
短期的な視点でシステム開発を行った結果、長期的に抱えることとなった高い保守費や運用費を「技術的負債」と呼びますが、この技術的負債が蓄積
されることで、企業はコスト上、既存システムの維持や新システムの導入が困難となっていきます。
|サイバーセキュリティ等リスクの高まり
上記のように、先端ITを扱うことのできるIT人材の不足や企業の中心として働いてきた社員が退職・高齢化しています。
結果、システムの運用・保守を行う人材が不足し、サイバーセキュリティや有事の際のシステムトラブル等のリスクが高まることも指摘されています。
|各種システムのサポート終了
既存の各種システムのサポート期間が終了することも課題となっています。
Windows 10のサポート終了やERPの代表的ソリューション「SAP」の標準保守期限が2025年末で終了(その後、2027年末まで延長)などがあります。
企業は、サポート期間終了に伴い、既存システム全体の見直しをする必要性が出てきました。
|IT市場の急速な変化
企業を取り巻く技術やITサービス・デジタル市場も大きく変化しています。
クラウド活用の進展とともに、従来型のITサービス市場が成熟する中で、デジタル市場が形成されてきています。
経済産業省によると、デジタル市場とは、取引にまつわる市場機能が高度にデジタル化されており、ヒト・モノ・情報・カネの流れが動的に
組み合わさり、様々なサービス・活動が実現する市場と述べられています。
また、2016年は従来型のITサービスへの投資額がクラウド等への投資額に比べ多い状況でしたが、5Gの実用化や、アジャイル開発が主流になって
いること、AI技術の一般利用が広く普及していること等を背景に、2030年にはクラウド等への投資額が従来型のITサービスへの投資額を超えると
予想されています。
このようにIT市場は急速に変化しており、変化に対応していくことが重要といえるでしょう。
|2025年の崖のキーポイントは「レガシーシステム」
DXレポートでは、2025年の崖が発生する大きな原因として、レガシーシステムの存在を挙げています。
たとえば、以下のようなシステムがレガシーシステムに該当します。
・事業部門ごとに構築され、柔軟なカスタマイズができないシステム
・サポートの終了が発表されている、もしくは既に終了したシステム
・部分的な改修を繰り返した結果、複雑化し特定の人しか利用できなくなってしまったシステム
このようなレガシーシステムが残っていると、部門を横断したデータ活用ができなかったり、運用・保守に高いコストがかかってしまったりと、
事業成長の妨げになります。
また、レガシーシステムではデータを正しく利活用できないことが多いため、DX推進を阻害する要素としても注意しなければいけません。
「2025年の崖」を解決すると同時に、DX推進を進めるためには、このようなレガシーシステムからどのように脱却するかがポイントとなります。
レガシーシステムの状況を調査した『DX白書2023』によれば、87.8%の日本企業はレガシーシステムを保有している、ということが分かっています。
同調査によると、日本でDXに取り組んでいる企業の割合は毎年増加しており、2021年度調査の55.8%から2022年度は69.3%に増加しています。
しかしながら、レガシーシステムは未だ企業に残存しているのが現状です。
|レガシーシステムが残存した場合に起こる問題
DXを推進せず、レガシーシステムを残したまま2025年を迎えた場合には、どのような問題があるのでしょうか。
ここでは、システムを利用する企業(ユーザー企業)とシステムを提供する企業(ベンダー企業)のそれぞれで起こり得る問題について解説します。
|システムを利用する企業(ユーザー企業)側
ユーザー企業では、IT知識を持った人材が不足しがちなため、自社のシステムがレガシー化していることに気づきづらいという問題があります。
システムが限界を迎えた段階になって、初めて発覚するというケースが少なくありません。
このような状態でDXを推進しても、データを利活用することができないため、以下のような問題が発生します。
― 爆発的に増加するデータを活用しきれず、競争力が低下する
― 多くの技術的負債を抱え、業務基盤そのものの維持・継承が困難になる
― サイバーセキュリティや事故・災害によるシステムトラブル、データ滅失、流出などのリスクが増加する
レガシーシステムが残存した場合、システムの運用・保守にコストが必要です。
しかし、システムの肥大化・複雑化・ブラックボックス化などによって社内での運用・保守が難しくなるため、メンテナンス費用が高額化することが
予想されます。
各種システムのサポート期間が終了することも問題です。
レガシーシステムから脱却できない状態でシステムのサポート期間が終了すれば、技術的負債を抱えるとともに、現状の業務プロセスにも支障をきたす
ことが考えられるでしょう。
その結果、業務基盤そのものの維持や継承が困難になってしまいます。
|システムを提供する企業(ベンダー企業)側
ベンダー企業においては、運用・保守といったレガシーシステムへの対応に社内のリソースを奪われ、成長が見込まれるクラウドベースのサービス開発
などの、注力すべき他のサービスへ割く余力が不足するという問題が生じます。
IT技術は絶えず進歩しているため、古いプログラミング言語を使ったシステムの需要は年々減少しています。
長期的には業績悪化や競争力の減少、人材不足につながる恐れがあります。
過去のプログラミング言語を理解できる従業員も年々減少するため、保守業務が属人的になり技術の継承も難化します。
また、レガシーシステムのサポートを継続し、それが主力業務となることにより、下請けとしての立場から脱却できないという事態が起こります。
これもベンダー企業にとっては望ましくありません。
このように、レガシーシステムからの脱却は必要不可欠であり、対策が必要となります。
レガシーシステムからの脱却ポイントについては、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
▶︎【レガシーシステムとは】DXとの関係と問題点、脱却するポイントを解説!
|2025年の崖への対策
ここからは、2025年の崖を乗り越えるために企業が取るべき対策方法について解説します。
自社で取り組む際の参考にしてください。
引用:DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~(経済産業省)
|デジタルガバナンス・コードの活用
「2025年の崖」を解決するために、デジタルガバナンス・コードの活用が挙げられます。
経済産業省は、DX推進に向けた企業の自主的な取り組みを促すために、経営者が取るべき対応をデジタルガバナンス・コードとして提示しました。
デジタルガバナンス・コードは、自社が抱えている課題を洗い出すことや、DX推進への取り組み状況を評価する際のガイドラインとして利用すること
も可能です。
デジタルガバナンス・コードを構成する要素は、以下の4つです。
― ビジョン・ビジネスモデル
― 戦略
― 成果と重要な成果指標
― ガバナンスシステム
デジタルガバナンス・コードは、経済産業省から配布されていますので下記よりご覧ください。
|DX推進指標の活用
『DX推進指標』とは、経済産業省が作成した「企業が自社のDXの進捗状況を評価するための指標」です。
経営者や社内の関係者が自社のあるべき姿と現状の間にあるギャップに気づき、取るべき対応策に関する共通認識を持って必要な行動ができるよう、
気づきの機会を提供する目的で経済産業省により策定されました。
この指標は各項目について、経営幹部や事業部門、IT部門などの関係者が集まり議論をしながら回答することを想定しており、自社のDX推進状況を
自己診断することに役立ちます。
DX推進指標を活用してDXを推進する際は、以下の手順で進めていきます。
① DX推進指標のガイダンスを読み込む
② 現状把握を行う
③ 目標設定を行う
④ 戦略を立案する
⑤ 体制や仕組み作りに活用する
DX推進指標を活用することにより、企業内で組織階層や部門をまたいでの共通認識が生まれる、施策の進捗管理や評価を客観的にできるといった
効果を得られます。
|情報の「見える化」・分析スキームの構築
レガシーシステムの放置により生じるセキュリティリスクや経営上の不利益について、経営者がしっかりと認識できるようにすることが必要です。
既存システム刷新などの必要な決断を経営者が行えるようにするには、情報の「見える化」が求められます。
たとえば、ITシステムの現状を把握できるよう、技術的負債の対象と度合いを具体化するなど、経営上の課題として認識しやすい指標を作成します。
指標が望ましい値にならなかった場合に取るべき行動まで設計すると効果的です。
また、自社のDX推進指標の検討や診断を行う分析スキームの構築も、経営者による自社の現状把握に役立ち、2025年の崖克服の一助となり得ます。
|レガシーシステムからの脱却
レガシーシステムを刷新し、ビジネスモデルの変化に迅速に対応できるようなシステムを構築することもDX実現のため重要です。
一方で、システムの刷新には多大なコストと時間がかかり、リスクを伴います。
また、刷新したシステムが再度レガシー化する可能性も否定できません。
ITシステム刷新の際には、こういったコストやリスクを抑えながら、設定した目的を実現できるものにする必要があります。
DXレポートでは、リスクを最低限に抑えるために次のことを提示しています。
① 刷新後のシステムが実現すべきゴールイメージを共有すること
② 不要なシステムを廃棄し、刷新前に軽量化すること
③ マイクロサービス技術などの活用で将来的な拡張性を確保すること
④ 事業部間の協調領域における共通プラットフォームの構築
①と②についてはDX推進ガイドラインでのチェックがおすすめです。
|ユーザー企業とベンダー企業の関係構築
解決策の一つとして、ベンダー企業との関係見直しも挙げられます。
従来、ウォーターフォール開発と呼ばれる、上流工程から順番に下流工程へと開発が進められる開発手法が日本ではよく利用されており、経済産業省が
公表したモデル契約も存在します。
しかし、この契約は既存システムの再構築を想定しておらず、ウォーターフォール開発自体も柔軟なシステムの提供に適した形式ではありません。
そのため、今後は継続的なシステムの再構築やアジャイル開発などのDXに適した形態へと契約を見直し、ベンダー企業との新たな関係を構築することが
求められます。
|まとめ:レガシーシステムからの脱却ならVNEXT
「2025年の崖」で言及されているキーポイントは「レガシーシステム」です。
レガシーシステムは、DX推進の足枷にもなっており早急に対応を求められています。
弊社VNEXTでは、レガシーシステムに対応するためのソリューションを提供しています。
レガシーシステムが足枷になっている理由で多いのは、
「レガシーシステムとのデータ連携が困難」
「ドキュメントが整備されていない」
「既存システムの運用・保守にリソースが割かれ、新たな技術を活用するのにリソースが不足している」
「セキュリティ上のリスクが高まる」
「技術的な制約や性能に限界がある」
といった、技術面やリソース面が挙げられます。
このような課題に対し、VNEXTでは「マイグレーション」や「システム再構築」をはじめとしたサービスで、レガシーシステムからの脱却を支援して
おります。
レガシーシステムでお悩みを抱えている方は、お気軽にVNEXTまでご相談ください!
▶︎ お問い合わせ:https://vnext.co.jp/contact.html?view=contact