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2024/06/10
アプリ開発を行う上で、気をつけなければならないことは、世の中にはさまざまなOSが存在しているということです。
この点を解決するには、iOSやAndroidなど複数のOS上で同じ仕様のアプリケーションを動作させることができるプラットフォームである
「クロスプラットフォーム」を用いるという方法があります。
本記事では、クロスプラットフォームとは何か?そのメリット・デメリットや代表的なツールなどについて解説していきます。
目次
|クロスプラットフォームとは?
クロスプラットフォームとは、iOS、Android、Windows、macOSなど異なるプラットフォーム上で、同じ仕様のアプリケーションを動かせるプログラムのことです。
iPhoneやAndroid端末でアプリを使う場合、App StoreやGoogle Playなどのアプリケーションストアからアプリをインストールすることがあります。このようなアプリケーションはネイティブアプリと呼ばれます。従来、ネイティブアプリを開発するには、OS本来のシステムで開発を行う必要があり、それぞれのOSやデバイスごとのネイティブ環境を用意しなくてはなりませんでした。
たとえば、iOS向けにネイティブアプリ開発を行うのであれば、XCodeという開発環境が必要で、プログラミング言語はObjective-CやSwift。AndroidであればAndroid Studioという開発環境で、プログラミング言語はJava(近年はKotlinも多い)を使う必要があったのです。
しかし近年、iOSやAndroid、WindowsやMacなど、デバイスやOSが異なる環境でも、同じ仕様のアプリケーションを動かすことができるプログラムおよびその開発環境やフレームワークなどのツールがリリースされています。これがクロスプラットフォームです。
クロスプラットフォームを使うと、複数のOS向けのアプリの大部分を、1つの環境1つのプログラミング言語で開発することが可能になります。
ちなみに類似のプログラムとして、マルチプラットフォームがあります。マルチプラットフォームは、複数のプラットフォームに対応していますが、個々のOSに対して開発を要するため、手間とコストがかかるのが特徴です。
|クロスプラットフォームのメリット
クロスプラットフォームを使うことで、アプリの大部分を、1つの環境および1つのプログラミング言語で開発することが可能になります。これによって、どのようなメリットやデメリットをもたらすのかみていきましょう。
|一度の開発でiOS・Androidの両方に対応できる
クロスプラットフォームを使うことで、開発の大部分を共通化することができ、iOSやAndroid向けのアプリを効率的に作ることができます。
iOSやAndroidに特有の機能を利用する場合や、複雑で細かな仕様が必要な場合は個別に開発を行う必要がありますが、それ以外のデータベースへのアクセスや通信処理などのロジック部分や、データをやりとりする部分のプログラムの共通化を行うことが可能です。
|エンジニアの確保がしやすい
従来は、OSのネイティブコードに対応したプログラミング言語を、OSごとに詳細まで習得する必要がありました。クロスプラットフォームを用いると、大部分のプログラミングは1つの言語で記載すればよいため、開発のためのプログラマー確保がよりしやすくなるでしょう。
|開発工数やコストを削減できる
クロスプラットフォームによるソースコードの共通化は、従来OSごとに記載していたソースコードの大幅な削減をもたらします。
バグを修正する際も、1つのソースコードの修正をiOS・Androidの両方に使うことができるようになるので、開発工数および開発費の削減が見込めます。同様に機能追加も行いやすくなり、保守や品質向上にもつながるでしょう。
|クロスプラットフォームのデメリット
さまざまなメリットのあるクロスプラットフォームですが、同時にデメリットも存在します。開発においてデメリットも把握しておく必要があります。
|エラーの所在が不明確になる場合がある
クロスプラットフォームでは、各OSごとの不具合が見つけにくいといったデメリットがあります。
各OSの仕様が少しずつ異なることから、ある一部のOSのみの修正をしなければならなくなることもあります。その場合、共通プログラムの部分的な対応だけでは改修が難しくなるため、結果として、不具合の出たOSに対応する言語を扱えるエンジニアが修正を行うケースも出てくるでしょう。またモノによっては管理が煩雑になることも考えられます。
|1つのOSだけで不具合が発生する場合がある
iOSとAndroid向けのアプリケーションを開発する際、どちらか一方のみでOS依存のエラーが発生する場合があります。また、クロスプラットフォームによっては、エラーがネイティブアプリにアクセスする部分での発生かどうかの切り分けが必要になる場合もあります。
クロスプラットフォームのプログラミング言語のみでは対応できないこともあるので、OSに対応するプログラミング言語を使える専門家の手配が必要な場合もあるでしょう。
|最新OSへの対応が遅くなる場合がある
iOSやAndroidなどのOSアップデートがあると、アプリが適応している古い仕様に関しては最新OSではサポート対象外となる場合があります。つまり、iOSやAndroidのOSのアップデートがあると、開発したアプリを最新OSでも動作するよう対応をしないと、アプリをユーザーに継続利用してもらうことが不可能となる場合があります。そのため、アプリ開発では最新OSへの対応は必須です。
最新OSのアップデートが近づいた場合、自社アプリはどこまでOSアップデートの影響を受けるかを確認し、対応したいところです。ネイティブ環境では、開発者向けにベータ版が公開されるので先行して動作確認が可能になります。
一方、クロスプラットフォームで最新OSに対応するには、OSがリリースされた後、各クロスプラットフォームがそのOSに対応するのを待たなくてはなりません。OSリリース直後に対応してくれるクロスプラットフォームもありますが、最新OSへの対応が遅くなる場合も考えられます。
|クロスプラットフォームの種類
一口にクロスプラットフォームといっても、それを実現する仕組みは複数存在します。ここでは代表的な以下の3種類についてご紹介します。
・ネイティブ型
・ハイブリッド型
・独自レンダラ型
それぞれについて詳しくみていきましょう。
|ネイティブ型
・OS上のシステムを操作する「ネイティブ型」
ネイティブ型は、OSプラットフォーム上の描画エンジンを利用するタイプです。フレームワークからOSのUI部分を操作する感覚のため、扱いやすいでしょう。また、後述するほかのタイプと比べ、処理が高速なのも特徴です。
ネイティブ型のクロスプラットフォームの開発環境は、iOS、Android、Windowsなど複数のプラットフォームで動作するクラスライブラリや、ランタイムが装備されている必要があります。
また、オフライン環境でも利用が可能なアプリ開発に向いているタイプでもあります。
|ハイブリッド型
・WebView上でネイティブ機能を利用する「ハイブリッド型」
WebViewとは、OS上で動作するソフトウェアで、WebページをSafariやChromeなどのブラウザと同じように表示する機能をもち、スマホのアプリに組み込まれています。WebViewを利用したソフトウェアは、OS上で動作しWebページを表示するため、ハイブリッド型と呼ばれています。
OSの機能を直接活用して、クロスプラットフォーム開発をすることは難しいですが、Web上の機能であれば、HTMLやCSS、JavaScriptなどを駆使して容易に開発できるでしょう。ただし、機能の一部をWebに頼る分、処理速度が遅いのが難点です。また、ネイティブ型ほど高度な機能も実装できません。
|独自レンダラ型
・自前でレンダリングする「独自レンダラ型」
プログラミング言語を解釈し、描画するシステムのことをレンダリングエンジンといいます。
たとえば、WebブラウザやWebViewは、HTMLレンダリングエンジンによってHTMLを解釈・描画します。上述したネイティブ型、ハイブリッド型は、OSのレンダリングエンジンやWebViewを用いているのが特徴です。一方、独自レンダラ型は、その名のとおり独自のレンダリングエンジンを利用しているため、OSに関係なく活用できます。
ネイティブ型は、OSへの適合によるクロスプラットフォームです。それに対して独自レンダラ型は、OSに依存しないことでクロスプラットフォームを実現する方法であり、主にゲーム開発に向いています。
|代表的なクロスプラットフォームのツール
複数のOS向けにアプリを作成できるクロスプラットフォームのサービスにはどのようなものがあるでしょうか。代表的なツールを紹介していきます。
|Flutter
Flutter(フラッター)は、Googleが開発したオープンソースのクロスプラットフォーム用フレームワークです。
Flutterのプログラミング言語は、Googleが開発した言語であるDartを採用しています。Dartとは、JavaScriptの問題点を改善し、置き換えるためのWeb開発用言語として2011年に開発されたもので、サーバーやデスクトップ向けアプリケーションの開発も可能です。
Flutterの特徴としては、独自UI型のため、プラットフォームに依存しない共通のUIデザインの作成が容易であることや、iOSとAndroid用に標準で多くのUIセットが提供されていることなど、UIの自由度が高いことが挙げられます。
欠点としては、Dart言語の開発者が少ないことです。DartはJavaScript言語の代替を目指して開発されたため、JavaScript経験者にとって扱いやすい言語ですが、他のプログラミング言語に比べると解説記事や日本語の情報もまだ少なく、わからないこととを調べるのに時間がかかることがあります。
ですがFlutterはGoogleの開発チームが、Google PayのモバイルアプリをFlutterでリリースしたことでも話題を呼んでおり、今後もGoogleが力を入れていくであろうフレームワークであることが伺えます。
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|React Native
React NativeはMeta Platforms(旧Facebook)が開発したオープンソースのフレームワークです。
ReactというWebアプリを構築するためのフレームワークをそのまま引き継いで、クロスプラットフォームとして設計されました。Reactと同様にReact NativeはJavaScriptを使用しているため、Web技術を使いつつ、内部ではネイティブのレンダリングAPIが呼び出されるため、ネイティブ環境と同じようなUIが提供できるのが特徴です。
普段ReactやJavaScriptを使っているエンジニアであれば、ネイティブ開発の経験がなくても開発に従事しやすいのもポイントです。
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|Xamarin
Xamarin(ザマリン)は、Microsoftの「.NET Framework(ドットネットフレームワーク)」という、機種やOSによらず、さまざまな種類のアプリケーションを構築するための環境を使用したオープンソースのプラットフォームです。
Microsoftが開発したプログラミング言語であるC#であらゆるネイティブAPIの処理を書けるので、ネイティブアプリとほぼ同じことを実現できます。C#の特徴である、リレーショナルデータベースや XML に対する操作をプログラミング言語で記載できるLINQや、無名のメソッドを簡単に記述できるラムダ式を使いながらアプリを開発できることは、C#や.NET Frameworkの開発者にとっては大きなメリットです。
また、従来のC#はWindows向けのプログラミング言語でしたが、Mac向けの開発環境Visual Studio for Mac上でXamarinを用いることで、Macでも開発が行えるようになっています。
|Unity
Unityは、Unity Technologiesが作成するゲーム用開発プラットフォームです。プログラミング言語はC#を基本としており、C#を使うことができれば、iOS・Androidなどのスマホアプリに限らず、Nintendo SwitchやPlayStation 4など幅広いゲーム開発を行うことができます。
Unityでは、2Dのみならず3D描画や、サウンド再生などの要素も兼ね備えています。また、アセットストアという、ほかのユーザーが作成したプログラムの部品や素材が購入できる場所も提供されており、自分で作成するには時間がかかる3Dモデルや音楽などを入手できます。
また、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)コンテンツの制作を行うことができるのも、Unityの特徴です。
|まとめ:クロスプラットフォームは複数のOS向けアプリ開発の実現手段
デバイスやOSが異なる環境で動作するアプリケーションを開発することができる「クロスプラットフォーム」は、活用することで開発工数や費用の削減が可能となる、アプリ開発の選択肢の1つです。
各OSごとにネイティブアプリ開発が難しい場合でも、クロスプラットフォームを使うことでさまざまなOSアプリ開発への実現が可能になるかもしれません。
自社で制作したいアプリの方針や、開発者の得意とするプログラミング言語を把握した上、クロスプラットフォームの利用も検討してみてはいかがでしょうか?
|クロスプラットフォーム開発をご検討中の事業担当者様へ
弊社VNEXTでは、FlutterやReact Nativeなどのクロスプラットフォームを活用したアプリ開発も行っております。クロスプラットフォームを活用したアプリ開発はDXにも繋がります。
今回の記事を読んで、クロスプラットフォーム開発に興味を持った、利用を検討したい方はお気軽にVNEXTまでお問い合わせください!