VNEXTの会社紹介資料
2024/01/04
モダナイゼーションとは、レガシーシステムを現代の技術やビジネス環境に適応した新システムへと刷新することです。
DX推進に不可欠なプロセスであるモダナイゼーションは、「2025年の崖」を目前にした今、ビジネス界で注目を集めています。
本記事では、モダナイゼーションの概要、マイグレーションとの違いやメリット、進め方のポイントについて解説します。
目次
|モダナイゼーションとは?
モダナイゼーション(Modernization)とは、「近代化・現代化」という意味をもった言葉です。
導入から長い期間が経過した旧型のシステムであるレガシーシステムを、最新技術や現代のビジネス環境に対応可能な新システムへと刷新することを
指します。
長年同じシステムを使い続けている場合、システムが老朽化し、業務効率の低下を引き起こしたり、実際の業務プロセスにシステムが対応できないと
いった問題が発生します。
このような問題を解決する手段の1つが「モダナイゼーション」です。
モダナイゼーションでは、レガシーシステムに蓄積された情報資産はそのまま活かし、システムのソフトウェアやハードウェアなどを新たなものへと
置き換えることで、業務効率の向上やセキュリティ強化、グローバル化時代におけるビジネスの競争力強化などを目指します。
|レガシーシステムとは
レガシーシステムとは、長年にわたり使用されてきた古いままのシステムのことを指します。
20~30年前から使われ続けている企業の基幹システムなどは、レガシーシステムの典型です。
かつては企業の業務を支える重要な役割を果たしていましたが、技術の進歩により、現代のビジネスニーズに対応できなくなってきています。
システムを長年使い続けていると、業務の変化に応じて機能追加や仕様変更を重ねることになります。
その結果、システムが複雑化したり、維持管理に莫大なコストを要したりと、使い勝手もコストパフォーマンスも悪いシステムへと変化してしまいます。
また、そのシステムへ対応できる人材が退職してブラックボックス化してしまうことも、レガシーシステムの大きな問題点です。
レガシーシステムについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をあわせてご覧ください。
▶︎【レガシーシステムとは】DXとの関係と問題点、脱却するポイントを解説!
|モダナイゼーションとマイグレーションの違い
モダナイゼーションと混同されやすい言葉として、「マイグレーション」があります。
いずれもシステム変更やアップグレードを伴う点では共通しますが、モダナイゼーションは最新技術やビジネス環境に合わせてシステム全体を最適化
することを意味します。
一方、マイグレーションは、既存のシステムを新たなシステムに置き換えることを意味します。
両者の違いは、「既存システムを活用して刷新する」か「既存システムを別の環境で再現するか」です。
モダナイゼーションは、企業内にあるハードウェアやソフトウェアなどを最新化した上でシステムを構築するため、機能や性能が最適化されます。
マイグレーションは、ハードウェアやソフトウェア、業務データなどを完全に別の環境に移行することで、既存システムと変わらない機能を利用できます。
どちらもメリット・デメリットが存在するため、自社にとってどちらの対策が有効であるかは、レガシーシステムの特性や状態などを事前に確認し、
しっかりと検討することが必要です。
マイグレーションについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をあわせてご覧ください。
▶︎【マイグレーションとは】意味や種類、メリットと成功するためのポイントを解説!
|モダナイゼーションが注目されている背景
モダナイゼーションが注目されている背景には、経済産業省が「DX(デジタルトランスフォーメーション)レポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」で「2025年の崖」について言及したことが関連しています。
2025年の崖とは、IT人材の不足や、レガシーシステムを長年使ってきたことによって引き起こる経済損失やリスク等を表すために、上記のレポート内で
使われている言葉です。
2025年までにレガシーシステムの刷新を進められなかった場合、日本は国際的な競争力を失い、2025年以降に最大で年間12兆円の経済損失が生じると
予測されています。
2025年の崖、レガシーシステムについては、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
▶︎ 経済産業省が警鐘を鳴らす「2025年の崖」とは?課題と対策方法を徹底解説!
▶︎【レガシーシステムとは】DXとの関係と問題点、脱却するポイントを解説!
|モダナイゼーションの目的とメリット
次は、モダナイゼーションを行う目的とメリットは以下が挙げられます。
― 柔軟性・俊敏性の向上
― コスト削減
― データの利活用促進
― 生産性向上
― セキュリティ強化
― 属人化の解消
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
|柔軟性・俊敏性の向上
レガシーシステムは、古いテクノロジーやスキル要員の不足などにより、ビジネス環境の変化に対応するための柔軟性や俊敏性が不足している場合が
あります。
システムをモダナイズすることで、これらの問題を解消し新業務・新商品の投入を迅速化できます。
|コスト削減
レガシーシステムは、ハードウェアやソフトウェアの運用・保守に多額のコストがかかります。
システムをモダナイズして、より効率的な新しいテクノロジーを活用することでコストを削減でき、新規開発への投資が可能になります。
|データの利活用促進
レガシーシステムは、事業部門ごとの分断、複雑なシステム連携や厳格なセキュリティー、ガバナンスの制約などにより、データ資産へのアクセスに
困難を抱えている場合が多々あります。
システムをモダナイズすることで、データへのアクセスを容易にし、新たなビジネスの洞察や顧客体験の創出が期待できます。
|生産性向上
システムをモダナイズすれば、最新のテクノロジーに最適化されたシステムの導入ができ、生産性が向上します。
ハード面では、最新機器を導入することで端末の起動がスムーズになったり、消費電力が抑えられたりします。
また、ソフト面では、豊富な機能を搭載したアプリケーションへの適応や、データ処理スピードの向上といった効果があります。
|セキュリティ強化
企業に求められるITセキュリティのレベルは、数十年前とは比較にならないほど高まっており、レガシーシステムにおけるセキュリティ対策では対応
しきれないことも増えています。
また、テクノロジーの進化とともにサイバー攻撃も進化しています。
現在の脅威に対応するには、最新のセキュリティツールの搭載と、それを可能にする環境整備が欠かせません。
モダナイゼーションは、最新のセキュリティ対策に対応し、リスクを低減できることが可能になります。
|属人化の解消
長期間にわたり機能追加や改修を繰り返してきたレガシーシステムは、そのプロセスを知る社員しか対応できない複雑なシステムへと化しています。
モダナイゼーションによってレガシーシステムから脱却し、業務を標準化することで属人化からの脱却も期待できます。
|モダナイゼーションの活用領域
モダナイゼーションを活用できる領域には、どういったものがあるでしょうか。
たとえば、以下のようなものが挙げられます。
・ユーザーインターフェース(UI)
レガシーシステムのユーザーインターフェースを更新して、使いやすさやユーザーエクスペリエンス(UX)を改善できます。
・アプリケーション
レガシーシステムのビジネスロジックや機能性、構造を最適化・最新化して、組織の現在のニーズや要件を満たします。
・データ
レガシーシステムに格納されたデータの管理やアクセスの方法を更新して、パフォーマンス、スケーラビリティー、セキュリティーを向上させます。
・オペレーション
自動化やAIなどを活用して、ビジネスプロセスを改善しながら、新しい働き方を可能にすることで、ビジネスの効率性や生産性が向上できます。
|モダナイゼーションの手法
モダナイゼーションの手法としては、主に以下の4つがあります。
モダナイゼーションで達成したい目的や、割り当てられる予算・期間に応じて選択しましょう。
― リホスト
― リライト
― リビルド
― リプレイス
|リホスト
リホストは、既存システムのアプリケーションやデータを、古いハードウェアやOSから最新のシステム基盤へ移行する手法です。
ソフトウェアやデータはそのままに、ハードウェアのみ取り替えるイメージで、オンプレミスからクラウドへと移行するケースもあります。
ハードウェアとOS・ミドルウェアに絞った移行となるためコストを抑えられ、業務継続性も高くなります。
その反面、基本的にレガシーシステムのネガティブな部分もそのまま引き継がれる傾向があります。
|リライト
リライトは、古い言語から新しい言語へとプログラム言語を書き換え、既存システムをそのまま使用する手法です。
ソースコードの書き換えには自動変換ソフトを使う方法もありますが、コードや設計を分析し解読する作業が発生することもあります。
問題なくリライトするには、高い技術力が求められるでしょう。
|リビルド
リビルドは、既存システムの仕様を維持しながら、新しい技術に基づいてシステムを再構築する手法です。
新システムの設計・実装の選択肢が広がり自由度の高い手法ですが、他の手法と比べて多大なコストがかかることが難点です。
|リプレイス
リプレイスは、既存のシステムを新たなシステムへ移行し、置き換える手法です。
システムを全面的に刷新するため、他の手法と比較してコストや作業負荷が高くなります。
しかし、移行過程で業務プロセスの見直しやビジネスモデルへの最適化も行えるため、長期的視点で見るとDX推進にもっとも効果的な
モダナイゼーションの手法と言えるでしょう。
|モダナイゼーションの進め方
モダナイゼーションのプロセスは、以下の5つのステップで進めていきます。
Step1:現状の可視化・対象・予算の決定
Step2:置き換えるシステムの検討
Step3:移行計画を立てる
Step4:必要な人員を決める
Step5:計画を実行する
各ステップについて、詳しく解説していきます。
|Step1:現状の可視化・対象・予算の決定
モダナイゼーションの最初のステップは、システムの現状を可視化し、モダナイゼーションの対象を見定めることです。
まずは、自社のシステムがどのような状態にあるか、現場でどのように運用されているかなどを細かく分析し、現状を把握します。
その上で、「維持しなければならない部分」「変えても問題のない部分」「変えなければならない部分」を切り分け、モダナイゼーションの対象と
優先順位を見極めます。
対象と優先順位が決まったら、課題の大きさに応じて予算・適応範囲を決めていきます。
|Step2:置き換えるシステムの検討
次に、置き換えるシステムの比較検討に入ります。
それぞれのシステムには異なるメリット・デメリットがあります。
たとえば、クラウドシステムには柔軟性やスケーラビリティなどのメリットがあります。
一方、セキュリティやカスタマイズ性を最優先したい場合は、オンプレミスのシステムを選択する方が最適な場合もあるかもしれません。
複数のシステムのメリット・デメリットを比較しながら、自社の課題解決に適したシステムを選択しましょう。
|Step3:移行計画を立てる
置き換えるシステムが決まったら、システムの移行計画を具体的に立てます。
選んだ手法によって、対象システムすべての刷新を同時に行うのか、スモールスタートで段階的に行うかが変わってきます。
いつまでにモダナイゼーションを完了させたいのか、ゴールを見据えたうえで、どのタイミングで何をすべきか明確にすることが重要です。
このとき、旧システムから新システムへの移行期間も設定しましょう。
移行中、業務にどのような影響があるのか、影響に対してどのように対処するのかも具体的に決めておきます。
たとえば、一括でシステム移行を行う場合、移行期間中はシステムを一時的に停止する期間が必要になります。
システムを停止できない場合は、旧システムと現行システムを並行運用する方法もあります。
計画段階で詳細かつ無理のないスケジュールを立てておくことが、モダナイゼーションを成功させるポイントです。
|Step4:必要な人員を決める
各工程の作業量や内容に応じて、必要な人数と、どのようなスキルを持った人が適任なのか等を決めます。
予算と合わせて考えなければならないため、場合によってはスケジュールの調整や、予算自体の調整を行う必要も出てくるでしょう。
必要な人員が明確になったら、実際にメンバーをアサインしていきます。
|Step5:計画を実行する
最後に立案した計画を実行します。
新システムへ移行した後は、他の社内システムに不具合が出ていないかを確認します。
新しいシステムと既存システムを連携する際は、必ず単独で動作確認を実施した後に連携します。単独で動作確認をしておかないと、連携が上手く
できなかった際に、どちらのシステムに原因があるのかを把握しづらくなるためです。
新しいシステムへの移行が完了したら、旧システムを凍結する流れになります。
|モダナイゼーションのポイント・注意点
モダナイゼーションを成功させる上でのポイントは、主に次の4つがあります。
|目的の明確化
モダナイゼーションへの取り組みは、対象の決定から導入する技術や手法の決定、予算・人員・スケジュールの計画、実行まで、いくつもの意思決定が
求められます。
一貫性のある適切な判断を迅速に下すには、モダナイゼーションを行う目的を明確化しておくことが重要です。
目的の明確化は、細かな判断の指針となるだけでなく、経営層に必要な費用や人員を説明する局面や、現場に協力を求める局面でも役立ちます。
|リスク評価・対策
モダナイゼーションはDX推進に不可欠なプロセスである一方で、リスクも伴います。
レガシーシステムを前提として動いていたアプリケーションの操作に支障が出たり、移行過程でデータが破損する可能性なども考えられます。
システム全体にどのような影響があるか、リスク評価を必ず行い、適切な対策を講じる必要があります。
|コミュニケーションの確保
モダナイゼーションはシステム全体に影響を与えるため、部門横断的なコミュニケーションが求められます。
モダナイゼーションを成功へ導くには、既存システムがどのように使われているか、実際に業務を担当する現場の声をヒアリングする必要があります。
実際に業務を行う現場の人たちの意見を吸い上げることによって、実用的なシステム設計と現実的な移行計画の立案ができるようになります。
現場にとって不要な機能ばかりをモダナイゼーションしていても、コストばかりがかかってしまい効果的ではありません。
定期的に意見聴取や情報共有の場を設け、モダナイゼーションのプロセス全体を通して円滑なコミュニケーションを確保することが大切です。
|無理のない計画を立てる
モダナイゼーションを実施する上で、無理のない計画を立てることも大切なポイントです。
モダナイゼーションを早急に成功させたいがために無茶な計画を立てると、担当社員に負担がかかったり、想定よりもコストが増加したりします。
その結果、途中で頓挫する可能性が出てきてしまいます。
社内のリソース状況を見て、バッファを持たせたスケジュールを立てたり、リホストなどで段階的に刷新を進めたりと、無理のない計画を立てて着実に
実行するようにしましょう。
|まとめ
「2025年の崖」を目前に、DX推進は急務となっているのが実情です。
DXを効果的に実現するためにも、単なるシステムの置き換えに留まらないモダナイゼーションが必要とされています。
モダナイゼーションにはさまざまな手法がありますが、最も重要なポイントは目的の明確化です。
どの手法を選択するか、どれくらいのコストと時間をかけて進めるか、どのようなシステムを選択するかなど、モダナイゼーションのプロセス全体を
通して意思決定を迫られる場面が多々あります。
モダナイゼーションを実施するためには、まずは自社のシステムの課題を可視化し、課題解決に有効な手段を選ぶ必要があります。
そのためには、業務に合わせたシステムを構築する方法のほか、システムに合わせて業務を変えていくという方法も検討するといいでしょう。
モダナイゼーションは、業務を効率化するだけでなく、インフラやソフトウェア保守などのコスト削減効果も期待できます。
本記事でご紹介したモダナイゼーションの手法や実施手順をぜひ参考にしてみてください。
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